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冬と、蜜柑と、『somnium』。
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●午前中
そのお店、『somnium』に
御巫 時子
が立ち寄ったのは、朝の散歩の途中の事だった。
冬の冷たく爽やかな空気の中で、行き会った鳥と共にのんびり散歩をするのは気持ちが良い。まして今日は寒さも少し和らいでいて、絶好のお散歩日和。
故にいつもより長い散歩の道すがら、共に過ごした鳥に「ありがとうございました」と律儀に頭を下げて別れてから、実は少しばかり久しぶりの店の扉へと手をかけた。軽く押すと、からん、と古風なベルの音がする。
「おはようございます……」
そっと扉の中へと体を滑り込ませた時子は、そこに居た顔なじみの店主夫婦のいつもと変わらぬ姿に、にっこりと微笑んだ。変わらず元気そうな2人の顔が見れて、ひと安心だと胸を撫で下ろす。
いくら散歩が日課といっても、雪が降ったり風が強い日はあまり遠くに行けない。故に少し来れずにいたのだけれど――と思う気持ちはあちらも同じだったのか、あらいらっしゃい、と迎えてくれる声が少し弾んでいるように聞こえた。
それにぺこんと頭を下げて、時子はさっそくショーケースへと足を向ける。そろそろ新作スイーツが出てるかな、と楽しみに覗き込んだ時子に、今日は蜜柑デーなのよ、と伊都子さんがにっこりした。
蜜柑デー、と呟いた時子は、実際にそれらのスイーツを目にして、うーん、と唸り声を上げる。
(どれも美味しそうで悩みますね……)
蜜柑大福も気になるし、蜜柑入りの牛乳寒天も美味しそう。他にも様々な蜜柑スイーツが時子を次々と誘惑して来て、これ、と簡単に決められない。
どうしましょう……としばし幸せな悩みに沈んだ時子は、ようやく蜜柑ケーキと蜜柑ジュースを注文した。他のスイーツは次に来た時の楽しみにとっておこう――冬はまだ長いのだから、また蜜柑デーもあるだろうし。
それからふと、『いつも通り』の店内で『いつも通り』ではないものに気が付き、時子は少し首を傾げた。
「そういえば理子さんは?」
そう、いつもなら店の手伝いをしていることが多い木原夫妻の孫娘、木原 理子の姿が今日は見えないのだ。せっかく『somnium』に来たのだし、これらの蜜柑は理子のお土産だというから、どうせなら一緒に食べたいのだけれど。
そう、尋ねれば伊都子さんが「ちょっと待っててね」とふうわり微笑んだ。そうして店の奥、住居スペースへと続く入り口を覗き込んで何事か叫んだかと思うと、すぐに理子が姿を見せる。
どうして呼ばれたのだろうと、不思議そうな顔をしていた理子は、すぐに時子に気付いて「あッ、時子さん!」と笑顔になった。
「おはようございます、理子さん……よろしかったら、ご一緒にケーキを食べませんか……?」
そんな理子を誘ってみたら、理子は少し考える素振りを見せてから、はい、と頷く。聞けば学校の課題をやっていたのだけれど、ちょうど行き詰っていたのだとか。
故にイートインスペースで、時子は理子と向き合って座り、早速蜜柑スイーツを堪能する事にした。冬休みの間の出来事などを話しながら、2人で楽しく蜜柑スイーツを堪能した時子は、課題に戻るという理子に手を振って、雑貨コーナーの方も見て回る事にする。
伊都子さん手作りの鳥さんの小物があれば欲しいな……、と見て回っていると、小鳥の可愛らしいピンを発見して顔を綻ばせた。これを頂きましょう、と持って行ったレジで、ふと思いついて一緒に持ち帰りで蜜柑ゼリーと蜜柑の焼き菓子を購入する事にする。
(こちらは3時のおやつと、食後のデザートに……ふふ、今日は蜜柑づくしですね……)
とても良い買い物が出来た、と満足にほっこりする時子である。お会計を済ませながら、だから時子は伊都子さんに微笑んだ。
「とても美味しかったです……。また寄らせていただきますね……」
時子の言葉に、あら嬉しい、と伊都子さんも微笑みを返してくれた。それに小さく頭を下げて、からん、と店を後にする。
そうしてよく晴れた冬空の下、再び歩き出した時子と入れ違うように、少し小柄な――だが同じく小柄な時子と比べれば同じくらいの背丈の女性が、からん、とベルを鳴らして店内に入ってきた。そろ、と何とはなしに視線をあちこちへさ迷わせたのは、どんなお店なのだろうという好奇心と、ここで合ってるよね……? という不安のせいだ。
ちょっとどきどきしている胸を鎮めるように、ぎゅっ、と胸の辺りを握りしめて彼女、
志鷹 柚葉
は「こんにちは……」と声を紡ぐ。そんな柚葉に「あらあら」と少し目を丸くした伊都子さんが、にっこり微笑んで「いらっしゃいませ」と優しく迎えてくれた。
ほっ、と息を吐く。姉が書いてくれたメモを見ながら来たのだと言えば、あのお嬢さんの、と得心した様子でご主人にも声をかけて、今度は2人で温かい笑顔を見せてくれた。
それにまた安堵して、自らも笑顔になった柚葉である。学業が忙しくてなかなか来れなかったのだけど、漸く来店できたのがとても嬉しいし、こうして暖かく迎えてもらえたのも嬉しい。
幾つもの嬉しさを噛み締めながら、モーニングとミルクティー、デザートに蜜柑のロールケーキを注文して、席に着く。少しして、運ばれてきたメニューに「わぁ」と小さな歓声を上げた。
「いただきます」
小さく手を合わせて、いそいそとロールケーキを口に運べば、口いっぱいに広がった懐かしい甘さに、つい顔が綻んだ。心にある不安も溶けてゆくようだと、あたたかな吐息をほう、と零す。
思い返せば――否、わざわざ思い返すまでもなく、こうして少しゆっくりと過ごすのは久々の柚葉である。それは前述の通り学業が忙しいからで、それがなぜなのかといえば、来月の看護師国家試験を受験するからで。
看護師の資格を得るための大切な試験。もし落ちてしまったら、という不安がここずっと柚葉の心に棲み着いている――そうしたら内定も取り消しになるし、今までたくさん甘えさえてくれた兄と姉に恩返しすることも出来なくなるし――『彼女』との大切な約束も守れなくなって、しまう。
ぎゅっ、と小さく胸元を握りしめた。そこに今もまだ鮮やかに在る、約束を想った。
『――これからは柚葉ちゃんが佑都を支えてあげてね』
佑都――兄・
志鷹 佑都
を案じたその言葉は、なぜだか別れの言葉にも聞こえたものだ。その響きに惑いながらも柚葉は、……はい、と応えたのだった。
あれからもう数年が経つというのに、その出来事は今なお常に心に在る。『彼女』のお見舞いに行った時の、大切な言葉が胸に響き続けている――
――ふぅ、と息を吐いた。せっかく息抜きにやって来たのに、これじゃ何をしてるんだか。
ふる、と小さく首を振って、食べ終えた食器を下げるべく立ち上がった。せっかくだから雑貨も見てみたいな、とそのまま足を雑貨コーナーへ向ける。
主に伊都子さんのセンスで揃えられた、中には手作りの品もあるというその雑貨コーナーは、まるで商品そのものがインテリアのようにも感じられる陳列をしていた。それらを見て回るだけでも楽しいと、棚の間を歩いていたら猫と北欧柄のポーチを見つけて、せっかくだから色違いで購入する事にする。
それをレジに持って行き、お会計をお願いしていたら、ふわぁ……と小さな欠伸が口を突いて出た。はっ、とたちまち真っ赤になって、マフラーに埋もれるように顔を半分隠し、情けない声を絞り出す。
「す……すみません……」
最近は学校、卒論、国試対策で寝不足気味の柚葉である。そこに、このお店でのんびりとした時間を過ごして、しかもそれがとても心地よく、居心地も良かったものだから、つい――
いやでも、だからって人前で欠伸をするのはダメだろう。うぁぁぁぁ、と内心で頭を抱えながら真っ赤になる柚葉に、伊都子さんがにっこり微笑んだ。
良かったら、とお釣りと一緒に手渡されたものを見てみれば、フルーツ味のガム。え、と顔を上げた柚葉に、おまけよ、と伊都子さんが目配せする。
おまけ。それが本当か嘘か、伊都子さんの言葉からは読み取れない。
「――ありがとうございます。ごちそうさまでした」
故に柚葉は頭を下げて、お会計を済ませて店を出た。ガムだけじゃない、他にも何だか色々、元気をもらってしまった気がする。
さて、と『彼女』が居る空を仰いだ。冬の色の、少しばかり低く感じられて、けれども抜けるように爽やかな青の美しい、空。
(……よし。がんばろう!)
ぐっ、と掌のガムを握りしめて、柚葉は自宅への道を歩き始めた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年07月11日
参加申し込みの期限
2020年07月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年07月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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