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冬と、蜜柑と、『somnium』。
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●夜
「こんばんは」
からん、と扉のベルを鳴らしながらそう告げた、
志鷹 佑都
に伊都子さんが、あら、と柔らかな笑顔を浮かべた。
「いらっしゃいませ。今日は可愛らしいお嬢さんとご一緒なのね」
「お友達で看護師のまりえちゃんです」
「はじめまして。衛藤まりえです」
そんな伊都子さんに紹介する、佑都の言葉にぺこり、と
衛藤 まりえ
は笑顔で頭を下げた。それは決して、初対面の相手への社交辞令だけではない。
以前に佑都の姉でもある
志鷹 若菜
がこの店のことを教えてくれてから、ずっと来てみたかったのだ。お店自体にも興味を惹かれたし、彼女が柔らかに語るその場所を見てみたいという気持ちも、あって。
だから互いに仕事続きの正月が明けた今日、シフトの休みが重なったから一緒に行かないかと、誘った佑都に誘われたまりえは、ぜひ、と頷いた。そうしてやって来たこの店で、迎えてくれた伊都子さんの笑顔と、それに対する佑都の表情を見て、なるほどな、と何だか解らないけれど納得した気持ち。
そんなまりえを佑都が、座ろうか、と促した。普段はこのままカウンターで注文してから席に着く事も多いのだけれど、今日は初めてのまりえもいるから、お品書きを受け取り窓際の席に向かい合って座る。
いつもなら心地良い木漏れ日が差し込んでくるこの場所からは、今日は木洩れ陽の代わりに綺麗な月が見えた。その光を浴びながら、さて今日は何があるかな、といかにも手作りなお品書きを広げる。
毎朝、高明さんの作るスイーツに合わせて伊都子さんが手書きしているというお品書きは、たまに孫娘の描いたイラストも出てきて、見ているだけでも少し面白い。そのお品書きを一緒に覗き込んだまりえは、うーん、と口の中だけで唸った。
どれも美味しそうで、簡単には決められそうにない。幾つも食べられはしないから、どれか1つだけ――そう思うのだけれども、次から次へと美味しそうなメニューがまりえを誘惑して止まないのだ。
さんざん迷った末、仕事を頑張った自分へのご褒美に、と清水の舞台から飛び降りる様な気持ちで、一番豪華なスイーツに決めた。
「蜜柑のパフェにします。……クリスマスに友達の結婚式で食べたばかりなんですけどね……」
けれどもつい、言い訳するようにそう付け加えてしまうのは、身に染み付いた倹約意識のなせる業だ。普段は高いスイーツは我慢して、あまり買わないものだから、どうしてもその辺が気になってしまう。
どれ? とまりえの言うパフェを見た佑都が、美味しそうだね、と頷いた。それから自分の分は、とお品書きをぱらぱら捲り、ふむ、と考える。
「俺はコーヒーと蜜柑のオペラケーキ(ブランデー入り)にしようかな……」
「先生……今日は違う飲み物にしたほうが……」
そうして呟いた言葉に、だがまりえが気遣わしげに眉を寄せた――最近、よく休憩中に濃いめに淹れたコーヒーを飲んでいる佑都の姿を見かけている。まりえが見ている間だけでも身体が心配になるほどなのだから、プライベートではどれほど飲んでいるのだろう。
それでなくとも最近は疲れ気味の様子だから、今日くらいは少しでものんびりしてもらいたい。だからせめて、佑都の心身が休まりそうなお茶を――と再びお品書きをめくったまりえは、以前に若菜が教えてくれた胃炎に効くというブルーマロウ、バタフライピーを見つけて、これだ、と笑顔になった。
「先生、このブルーマロウティー、一緒に飲んでみませんか? レモンで色が変わるみたいです」
「そう? なら、そうしてみようかな」
そうしてぱっと顔を綻ばせ、佑都を見上げてそう提案したまりえに、提案された佑都はにっこり頷いた。察してやって来た伊都子さんにそれらの品を注文してから、ところで、とまりえに話を向ける。
「そのお友達の結婚式、どうだった?」
そうして尋ねられた言葉に、まりえがさらに顔を綻ばせた。それがですね、と楽しげに、見ているこちらも楽しくなってしまいそうな様子で、式や披露宴の様子を語り始めたのだけれど。
うん、うん、と打たれる相槌も適切で、話しやすい。それでついつい楽しくなって、あれこれと話していたまりえはふいに、はっと目を見開いて口をつぐんだ。
佑都の過去を、思い出す。こんな話は面白くないどころか、彼の心の傷を抉ってしまうだけではないか?
そう、気が付いてしまってまりえは慌てて、脳内で必死に別の話題を探し、何とか絞り出すことに成功した。
「お……お友達がお酒の美味しいお店を教えてくれたんです。今度一緒に行きませんか?」
「あ、うん……?」
唐突に変わった話題に、佑都が目を丸くしながら頷く。なんだろうと目を瞬かせて、まりえのどこか必死の表情を見て、……ああ、気を使ってくれたのか、と気付いて小さな苦笑を零した。
話を振ったのはこちらなのだから、まりえが気にしなくていいのに、と思う。その一方で、例えそう断ったとしても彼女はこうして気にするのだろうな、と思う。
そんな、暖かくて微妙な空気を優しく動かしたのは、注文した品を運んできた伊都子さんだった。いつものように「お待ちどおさま」と微笑んでケーキとお茶を並べ、ごゆっくりね、と穏やかに去っていく、伊都子さんの背を何とはなしに見送って――2人、顔を見合わせ笑顔になる。
「お疲れでした、いただきます」
その空気を逃さぬうちに、2人で手を合わせて早速、美味しいケーキを頂くことにした。はぐ、と揃って1口含んでみれば、優しい甘さが疲れた二人の心身に染み渡る。
美味しい、以外の言葉が浮かばない素朴な美味しさ。んー、と心行くまでその甘さを味わってから、ティーカップに注がれたブルーマロウへと視線を移す。
運ばれて来た時は澄んだ青だったお茶は、次第に薄紫へと変化していくのが特徴だ。さらに、ティーカップに添えられたレモンを絞れば、そこから優しいピンク色が広がっていく。
その不思議で美しい変化に、わあ……! とまりえが歓声を上げた。
「綺麗……! まるで夜明けの空みたいですね……」
「そうだね」
それに小さな呟きを返し、佑都もまた掌に包み込んだ、優しいぬくもりのカップの中に現れた穏やかな夜明けの空を見つめた。その向こうにある、キラキラした瞳で自身のカップを見つめるまりえの笑顔に、そっと心が温かくなる。
――瞳を閉じた。
亡き最愛の人の記憶を心の奥底に封じ、彼女の居ない現実に抗うように、ただ仕事に己の命を捧ぐ日々を送ってきた佑都である。次第に心が呼吸を忘れ、常に味わい続けていた独り、泥沼に沈んでいく感覚――それは苦しくて、それなのに奇妙に心地良くもあって。
酒が縁で出逢った女性と時折、どれだけ激しく体を重ねようと乾いた心が潤うことはなく、満たされるのは疲弊した躰と内に溜まった欲望だけだった。何時しかそれが当たり前になって、けれども心はいつも餓えたまま救いを求め、救われたいと願う自分を嫌悪して――(だって彼女はもうこの世に居ないのに)――
先生? と耳に響く声に瞳を開けば、まりえが少し心配したようにこちらを覗き込んでいた。大丈夫、と安心させるように笑んで見せれば、あまり納得してない様子で「ならいいんですけど……」と呟く。
本当なんだけどな、と小さく苦笑した。こうして自分の事を案じてくれるまりえの気持ちは、本当に有り難くて――暖かくて。
「さ、ケーキ食べちゃおう。まりえちゃんのパフェも美味しそうだ」
「あ……そうですね。すごく豪華で美味しいです」
にっこりと笑顔を浮かべ、ほらほらと促した佑都に、まりえも頷き笑顔を浮かべて見せた。そうして、見るからに豪華な蜜柑パフェをすっかりお腹に収めてしまうべく、スプーンを差し入れる。
そっと口に運んだパフェは、甘く、程よい酸味が効いていた。
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あとがき
担当マスター:
蓮華・水無月
ファンレターはマスターページから!
いつもお世話になっております、または初めまして、蓮華・水無月です。
この度はご参加頂きまして、本当にありがとうございました。
お誘い合わせの上でご参加下さいました皆様、何となくお越しくださいました皆様、『somnium』でのんびりと過ごすお話はいかがでしたでしょうか。
意外な一面になったのか、それとも大切なお子様のキャラクターを掘り下げるお話になったのか――
様々なテイストのお話を、蓮華自身も高明さんや伊都子さんと一緒にお店の中で見つめているような気持で、のんびり書かせて頂きました。
お届けさせて頂きましたリアクションが、皆様に僅かなりとも楽しんで頂ける物であれば、心から嬉しく思います。
またのご縁がございましたら、どうぞ宜しくお願いいたします(深々と
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年07月11日
参加申し込みの期限
2020年07月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年07月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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