氷のホテル☆星ヶ丘クリスタルガーデン｜リアクション

氷のホテル☆星ヶ丘クリスタルガーデン

●氷とともに描く２人の時間

　城山水樹のもとに期間限定イベント『星ヶ丘クリスタルガーデン』のペアご宿泊券が届いた。水樹はさっそくＮＹＡＩＮＥで恋人のヒュー・ヒューバートに連絡を取った。

『ヒュー。いま時間大丈夫？』
『大丈夫だよ』
『星ヶ丘クリスタルガーデンに行かない？　ペア宿泊券が当たったの』
『いいね。予定を見てみる』

　お互いのスケジュールを確認すると、２人ともちょうど２日間休みが取れるタイミングがあった。この２日に行く約束をして、あとは当日を待つばかり。早くくればいいのにと願いながら日々は過ぎていく。

　そして当日を迎える。
　水樹とヒューは２人並んでホテルへ向かう。ホテルの前に立った水樹は、その佇まいに驚嘆の声を漏らす。

「綺麗……」

　なにか洒落た言葉も思い浮かばず、思ったままに口にした。なかに入ると、調度品や飾りつけなど、美しく輝いている。氷でできているということを忘れてしまいそうだ。
　部屋に荷物を置きに行くと、２人ともその美しさに目を奪われる。壁や柱のレリーフ。青や白の間接照明。それらが作り出す幻想的な空間。なんと表現したらいいか分からなかった。

「凄く綺麗……」
「そうだね」
「凄く綺麗で……えっと、我ながら語彙が貧弱……」
「言葉にするのは難しいね。こんなことならカメラ持ってくればよかったかな」

　２人ともその景色に夢中だった。
　もっとも、ヒューは氷でできた部屋に感心する水樹を見て、彼女のほうが何百倍もきれいだと感じていた。

「部屋は思ったより寒くないよね」
「みたいだね」
「ちゃんと着込んでいれば大丈夫かな」

　部屋の感想やこれからのことを話し合う２人。
　ホテル前の庭園を散策して、それからレストランに行こうとなったので２人は部屋を後にした。

　庭園のなかを２人で手をつないで散策する。お互いの指を絡めているので距離も近い。
　するとふとしたとき──同じ身長で目線も同じ高さなのでどうしてもお互いの瞳が合う、視線が重なる。そうなると２人の反応は決っている。まだ始まったばかりの恋に戸惑うふたり──そんな関係がもう１年以上も続いている。
　傍から見れば、ちょっと変じゃないか、とか思わせるかもしれないけど、これが２人にとっての自然体。絡めた手はそのままに、歩き続けた。

　イルミネーションガーデンは色とりどりの電飾で飾り付けられていて、部屋の中とはまた違ったキラキラ感があってこれまた綺麗だった。散策を楽しんだ後はレストランへ。メニューを見ながら２人は何を頼もうか考える。

「どれもおいしそうで迷うわ……ヒューは？」
「僕はこれにしようかな」

　ヒューは黒毛和牛ハンバーグステーキとホットコーヒーを指さした。水樹はメニューを見ながら苦悩している。どれも美味しそうで迷っているのもあるが、モデルという仕事柄、食事には気を使う。
　散々迷った末に、豚肉とポルチーニのパスタとホットコーヒーを注文する。ダイエットは後で帳尻を合わせれば大丈夫と言い聞かせた。

「イルミネーションガーデン、綺麗だったわね」
「うん。かまくらも新鮮だったよ」
「あそこにいたとき、猫がいっぱい集まってきたよね。可愛かった」
「猫も寒かったのかな」

　そんな会話をしながら食事を楽しむ。どの料理も美味しく、会話も弾む。
　食事を終えると２人はお風呂へ向かった。屋外にある個人用の浴室で、そこから眺める星空は最高だった。

「すてきな眺めね」

　水樹は楽しそうに星空を眺めている。ヒューはそんな彼女の姿をみて嬉しそうだ。
　ここなら人に見られる心配もない。２人は特別なひとときを過ごした。

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