今年も！　雪中お年玉＆お年賀争奪戦！｜リアクション

今年も！　雪中お年玉＆お年賀争奪戦！

￥マンボウくん像と風紀委員との闘い

　サンマさん像が片付いたので、理緒と紗月は次の標的のマンボウくん像に目を向けた。
「薄っぺらいから壊すのは簡単そうね」
　けれどマンボウ君がこちらをじっと見つめている……。
「こ、こわすの？」
「別に本人叩くわけじゃないし勘弁してよ」
　理緒は気にすることなくシャベルを振りかぶる。
（ごめんね、マンボウくん）
　紗月は心の中で謝りつつ。
　二人は、うりゃーー！！　とばかりにマンボウくん像を破壊する。
「もうだめ……きゅう」　
　目を回して気絶するマンボウくん。
「やりぃ！　これで今年は天下をとったも同然！」
　理緒がお宝を勝どきを上げ、寒さで震える紗月に抱きついた。　
「理緒ちゃん、これ……アイス券って書いてあるよ」
　悪い予感に震えながらも、理緒に抱きしめられとろけそうになり、紗月は引きつった微笑みを浮かべ固まった。
　アイスを手に楽しそうにこちらに向かってくるＯＢたちが見える。

　その時、風紀委員たちが動いた。
　彼らの興味を引こうとする賑やか大好き仮面も無視して、グラウンドへ入っていく。
「風紀委員……取り締まって、没収するの？　争奪戦の邪魔……！」
　まうはスコップで雪を掘り、雪玉を男子風紀委員にぶつける。
　ベシャッ！
　風紀委員は腕で雪玉を止めこちらを見たが、まうはすでに全力で逃げていた。
「争奪戦妨害の風紀委員、嫌い……！」　
　しかし風紀委員たちは止まらなかった。
「そのアイスは没収するのです！　こんな寒い中食べるのは健康によくありません」　
「へっ？」
　風紀委員たちは、アイスを押し付けようとしていたＯＢから有無を言わさず取り上げる。
「クーラーボックスに保管するので、この騒ぎが終わってから取りに来てください」
　呆然とその様子を見ていた紗月は、ようやく我に返った。
「よかったね……理緒ちゃん、マンボウくんを保健室に運んであげようよ」
「そうだね」
　頷いた理緒は、近くにあった台車を持ってきてマンボウくんを乗せ押し始めた。

　さらに、風紀委員たちは見物しているＯＢたちの席へ向かう。
　そしてＯＢたちのビールを取り上げてしまった。　
「ＯＢと言えど学内での飲酒は風紀を乱す元！　没収させていただきます！」
「え、ちょっとそんな」
「スマホの写真データを拝見します！」
　ＯＢたちのスマホは取り上げられ、水着の写真データはすべて消去された。
「風紀委員……戦利品を没収しに来たわけじゃなかったのね」
　争奪戦は続いていたが、稀跡は変装を解き、仮面をしまい、上着は普通に着ることにした。

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