私がいっぱい！　コレクション｜リアクション

私がいっぱい！　コレクション

●高校入学から今日までの私

　1月のある日。
　羽生碧南がスマートフォンの写真を整理していたら、いろいろと撮り溜めした画像が出てきた。
「この画像、写真にしよう」
　そう思い立ち、撮り溜めしたうちの何枚かを近所のコンビニでプリントすることに。
　帰宅してからプリントした写真を見て、高校入学から今日までの出来事を振り返る。
　最初に出てきた写真は、１年生の11月に撮った写真だった。

「これ、九夜山での紅葉狩りのときに撮ったものだ」

　河原での焼き芋、楽しかったわと写真を手にし、皆で一緒にアツアツの焼き芋を食べたことを思い出す。
（まだ生焼けの芋を食べてしまったっけ……）
　あの時の味が舌に蘇ってきたのが、うげっとなった。
　それことだけを除けば、とても楽しい出来事だった。
「焼けたお芋は、甘くて美味しかったわね」
　また食べたいわ、と上手く焼けた芋の味を思い出したら口の中に甘味が広がったような感覚になった。
　他にもいろいろあるので、別の写真を見ることに。

「これは入学式の時に写したやつね。まだ制服が板についてないわね」

　いかにも新入生です、って感じの初々しい制服姿だ。
（上半身だけ写ってると、とてもじゃないけど身長180センチの高身長女子には見えないよね）
　180センチの長身、ほわんとした可愛らしさがアンバランスな印象を与えるが、この写真では、可愛らしさがとてもよく出ている。
「良く見ると、私もなかなか可愛いじゃない」
　初々しい新入生って感じもするし、と見返す。
　次の写真は、バスケットのユニフォーム姿。

「これ、試合の時の写真かな？」

　真剣な表情でドリブルをし、ゴール目指して進んでいる場面を撮影したもののようだ。
「なかなかかっこいいよね、私」
　この高身長のおかげでバスケ部のレギュラーになれたんだ、というのは碧南の見解。
　それもあるだろうが練習の成果、彼女自身の努力もあるだろう。
「今じゃ、私が後輩の面倒を見ることになったんだから不思議よね」
　これからも頑張って練習して、レギュラーに慣れるよう頑張ろう、と誓うのだった。

「夏は水着と浴衣の二大夏のおしゃれアイテムが活躍だったわ」
　次に見たのは、水着姿と浴衣姿の写真。
「高身長のせいで可愛い服はなかなか着れないけど、そのかわり、この二つは身長が高い方が似合うんだよね」
　ドヤ顔で見たのは、浴衣姿の写真だった。

「椿柄の浴衣、こうして見ると良く似合っているじゃない。満更でもないわね」

「これは1年の時の寝子祭前夜祭ミスコンの写真ね」
　ダンスパフォーマンスが終わった後の熱湯風呂で、残念な一面を見せたのは恥ずかしかったわ……と顔を赤くして俯く。

「これは、その次の年の寝子祭ミスコンで着た水着ね」
　大胆なカットの白い三角ビキニにピンヒールサンダル姿の写真を見て、ミスコンを振り返る。
　もっとも、水着の方は2年連続で寝子祭ミスコンに出た時に着ているので、全然季節感がないというか……。
「他には何があったかな」

ハロウィンのコスプレ。

お気に入りのＴシャツを着ているところ。

　いろいろな写真があるけど、こうして見ると、碧南が結構、写真に納まっている。
「私だけが納まって、誰かを撮ったことがないような気がするな……」
　これまでの写真を見て、そう思う碧南だった。
「来年は3年生ね。3年の私は、どんなふうに映るかな？」
　来年も、今年のようにたくさんの写真があるといいな、と、写真を整理しながら3年になった自分を想像するのだった。

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