私がいっぱい！　コレクション｜リアクション

私がいっぱい！　コレクション

●猫と一緒の人生

「思えばずっと、猫づくしだったなあ……」
　万条幸次は、最初に飼っていた花見（はなみ）からそういう人生だったと、これまでのことを振り返る。
　花見は迷い猫として万条家にやってきてから亡くなるまで、小学6年生のほぼ1年間ほど飼っていた。
　真っ白でふわふわの猫に、次の年に桜を見ようと「花見」と名付けたことは今でも覚えている。
　迷い込んだ時には既におばあちゃん猫だったので元気よく遊ぶことはあまりなかったが、幸次をずっと見守ってくれていたように見えた。

「花見は俺のおばあちゃんみたいだったなあ……」
　天国で元気にしているかねえ、と、花見のことを思い出す。
　

「これも猫だねえ。妖怪だけど」
　カプセルギアのカラスマルを手にし、じっくりと見る。
　カラスマルは組み立て時にふと黒猫のパーツが目に入ったので、烏天狗猫という妖怪にゃんこにしようと誕生したものだ。
　自分では、かなりカッコイイのが出来たと思ってる。
「カプギアにも意思や感情があるって噂、本当なのかな……？」
　もしそうだとしたら、カラスマルはどのような感情を見せるのだろう。
　そうなったら、どのように接しようかと幸次はカラスマルを手にし、いろいろと想像した。

「そういえば、ブロゥも猫なんだよねえ」
　ブロゥというのは星幽塔の騎士の光で星の力を乗り物に実態化させてみたライオン、ブロケイドの愛称だ。
　ライオンはネコ科の動物なので、猫にカウントしている。
　逞しい外見のライオンだが見た目に反し、中身はまだまだ遊びたい盛りの男の子。
「よくじゃれついてくるけどいいんだけど、鎧がない状態だと牙と爪が危ないのなんの……。それでもかわいい相棒だけどね」
　幸次が好きらしく猫みたいにじゃれたり甘噛みすることもあるが、大人なライオンなので鎧を装着していなければ大惨事に。
　猛獣担当の動物園の飼育員でも、絶対にこうあってほしくないと思うシチュエーションだ。

「そんなブロゥが擬人化したら、どんな外見になるんだろうねえ」
　可愛い外見の少年なのか。鍛え上げた肉体の格闘家のような男性になるのか。
　いろいろ想像していると楽しくなってきた。

　

そして、１番そばにいる花遊（かゆう）。

　子猫の時に寝子島で保護されて、2年間、誰よりもずっと一緒に過ごしているオスのハチワレ猫だ。
　彼が寝子高校を受けてみたきっかけも、花遊だったねえと思い出す。猫が多そう、というのもあるが。
「登下校から異変に巻き込まれる時まで一緒で何度か言葉が通じた事もあったけど、俺を弟扱いしてるのは不服だ」
　ハチワレ猫姿だけでなく、神魂の影響で人間化したのか、人間に変身できるろっこんを得たのか擬人化した状態で関わることもあった。
　

猫年齢では2歳だが人間時は推定23歳なので、花遊は「俺が兄ちゃんだ」と思っているのかもしれない。
「擬人化の時は俺の兄ちゃんでいいけど、猫の時は俺が兄ちゃんだからな」
　花遊を抱っこし、目を合わせてそう言い聞かせる。

「そこまで考えると、ろっこんが猫に変身する能力だったのも当然なのかも……」

　最近はただ猫に変身するだけだったが、それ以外に耳だけ猫耳変化、二足歩行を残した獣人化みたいな段階調整も出来るようになった。
　ろっこんで猫になることができるのは、飼い猫の影響なのだろうか。
「もし、ろっこんを失う時が来たとしても……その日までは、皆のいるこの世界を守りたい。なんて、真面目に考えすぎかな」
　花遊の頭を撫で、その時はその時だねえと深く考えないことに。それよりは、今、花遊と一緒に過ごす時間のほうが大事だ。
「これからも楽しい時間がたくさんあるといいねえ、花遊」
　そうだなと言っているかのように鳴く花遊の顎を撫で、今後の猫とのかかわりはどうなるのだろうと思った。

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