古今東西スーパーレキシ的ジンブツかるた大戦｜リアクション

古今東西スーパーレキシ的ジンブツかるた大戦

　今年の大会はちょっと異色だが、読み手が必要なのは普通の競技かるたと一緒だ。今回読み手に抜擢されたのは、2年生の冬樹闇だ。
　放送部員である彼は、お昼の校内放送をよく担当している。
「放送の経験もあるし、原稿を読むのにも慣れてるから」
　と、先生の推薦で読み手になったのだ。
「教室のモニターで……大会の中継……流せないかな……」
　読み手になることが決まったとき、闇は顧問の先生に自分のアイデアを話した。
「たくさんの人が見れる……大会、盛り上がると思って……」
　先生が賛成してくれたおかげで、選手たちの模様は各教室からも見ることができるようになった。

　さて、選手ではないものの闇も衣装を着けることにした。
「闇くん、メイクもしてみよう！」
　小柄でかわいらしい闇の見た目に、女子のスタッフたちが悪乗りしてメイクを勧める。
「メイク……しなきゃ……ダメ？」
　事情の呑み込めない闇だが、周りの女子たちに押されてメイクすることにした。
「うち……ファンデ……とか、したことない……」
「大丈夫大丈夫。私たちに任せといて」
　闇は照れ臭がって、余計に口数が少なくなった。
　やがて、闇のメイクアップが終わった。黒の着流しに笠をかぶり、仕込み杖を手にした、幕末志士かさすらいの剣士風のいでたちだ。足元まで届く長い髪が美しくなびいている。

　今日の司会進行を務める楡宮遠海も、着替えを済ませてやってきた。
「読み手は冬樹くんね。今日はよろしくね。放送の段取りもありがとう」
「うん……よろしく……」
　寝子祭の前夜祭のミスコンで司会の一人を務めた遠海。津止先生がそのことを覚えていて、かるた大会でも起用される流れになったのだ。
　そんな遠海が今回身にまとっているのは、かるた大会の雰囲気に合わせた十二単だ。髪型たショートカットなので、衣装に合うような黒髪のロングヘアのウィッグも装着。こうして、遠海はあでやかな平安風のお姫様に変身した。
「……これって着るのが本当に大変なの」
　彼女がぼやく通り、着付けだけで一時間近くかかってしまった。その上、これから司会進行をするのは想像以上にしんどい。
「でも……よく似合う……」
「そう、ありがと」
　闇のいう通り、衣装は十分に似合っている。見た目に関していえば、いかにも「鎌倉の名家のお嬢様」風の清楚な美少女なのだから。頑張って司会をやり抜こう、と遠海は思った。

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