オープンワールドの世界へようこそ｜リアクション

オープンワールドの世界へようこそ

「うーん……」

　白真白は悩んでいた。悩みの内容は自身の腕が後ろ手に縛っている鎖と足に嵌められている鎖、これらをどうするかというものだ。
　そもそも何故、こんな恰好をしているのかと言えばとあるゲームでこういう恰好をしていて、そのゲームの中へと何故か入ってしまったからだ。

「ビルドからするとこの効果はとても強力なんだけど、実際に使うとなると腕が使えないのと走れないデメリットも結構大きい……」

　因みにこの二つの鎖は、自分の行動に制限をかける代わりに状態異常やデバフの成功率や効果を劇的に上昇させると言う効果を持っている特殊な装備だ。
　真白の選んだビルドは毒のような状態異常と相手のステータスを下げる効果を持つ範囲魔法が生命線。それ故にこの装備をしていたのだが、現実に装備するとなるとデメリットと比較して装備すべきか悩んでいるのだ。

「でも、やっぱりこの効果がないと辛いよね。デメリットはしょうがない、うん！」

　結局のところ、装備する事に決めたようだ。
　そして、準備ができたところで、真白が目指すのは古ぼけた城がダンジョンと化した古城ダンジョンである。

「ん？」

　意気揚々と進んでいた真白だが、足が何かにスイッチを踏む。すると、天井に穴が開いて通常の三倍くらいありそうな巨大なコウモリが飛んできた。

「お、モンスター」

　しかし、腕と足を封じる鎖を装備している真白の妨害魔法によって動きを遅くされた挙句に魔法防御力を減らされた事で、続けて放った火球に一撃で撃ち落とされた。

「うん、やっぱりこれ装備してる方が良いわね」

　妨害系の魔法がメインであるが故に魔法を使っての攻撃も防御もそこまで高くない。だから、これで正解なのだと真白は確信した。

「よし、このまま進むぞー！　……って、また何か踏んだ？」

　まさか直ぐ近くに同じような罠のスイッチがあるとは思わず、何の警戒もせずに踏んでしまう真白。

「ひゃんっ」

　またモンスターが来るか？　と、構えていると不意に自分の足元が消失して穴へと落ちてしまう。どうやら今度は落とし穴だったようだ。

「あいたたたた……もうっ。これって落とし穴？」

　落ちて来た穴を見上げると案外上は高い。ちょっとよじ登るのは辛そうだが、落ちた先に横道があるので真白はそこから先に進む事にしたようだ。

「落とし穴に道があるなんて凄い間抜け、冷たっ！？」

　落とし穴にあった道を進んでいると、真白の首筋に冷たい何かが落ちて来た。

「え、なになに、一体何！？」

　慌ててその正体を探ろうとするも腕を使えずに四苦八苦。その間に、落ちて来たモノは真白の服へと到達していた。
　その正体はスライムだった。しかも、このスライムはただのスライムではない。

「うわぁっ、服が、服が溶けてる！？」

　普通ならば服が溶けるならば真白の肌とかにも影響が出ていそうなものだが、そちらは何もなっていない。服の繊維だけを溶かすスライムなのだろうか。
　そして――

「はぁ……はぁ……な、何とか抜け出せたけど服、全部溶けちゃったよ……」

　そう。着ていた服は全て溶けてしまい今の真白は、全裸で鎖によって後ろ手に拘束され、足に鎖が嵌っていると言う何ともニッチな恰好だった。

「服がない以上、この鎖は余計に外すわけにはいかないし……」

　嫌な予感を感じつつも前へと進むしかない真白は、覚悟を決めて進む。
　すると、今度は通路の壁から触手が出現した。

「ひんっ。今度は触手！？　ちょっ、どこ触って、あっ」

　身を隠す服はなく、腕もまた使えない。太ももを這いずりまわり、胸の谷間を堪能するように幾つものの触手が群がる。うなじやお尻にまで触手はやって来る。

「止めてぇ！？」

　古城の奥に控えているボスを倒すまで、真白は何度もこのような目にあうのであった。

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