オープンワールドの世界へようこそ｜リアクション

オープンワールドの世界へようこそ

「たしか眠っていたはずなのに……なんでファンタジーな世界にいるわけ？」

　仙藤蒼が覚えている最後の記憶は、これから眠ろうとしていたところだった。だと言うのに、何時の間にか立ってファンタジーな雰囲気を感じる街にいたのだ。

「うーん……服装から考えると冒険者か何かの恰好かな、これ」

　布の服とズボンの上から何かの生物の皮で出来たらしく軽鎧。腰には片手剣がぶら下がっている。

「とりあえず、情報が不足してるし情報収集でもしようかな」

　そこで蒼はまず街を歩き回って見る事にした。それだけでもある程度の情報を得れると言う考えだったが、その先で見覚えのある建物を発見する。

「これって、確か……冒険者ギルド？」

　ファンタジー系の漫画やゲームならば定番ともいえる冒険者ギルド。だが、問題はその建物のデザインがとあるオンラインゲームの物に酷似している事だった。

「もしかして、ゲームの中も入り込んだ？」

　そう推測できるのは今までの経験があっての事だ。

「でも、それならそれで情報収集もし易いかも」

　蒼は心の中で異世界転生みたいだなぁと思いつつ、ギルドの中に入って受付嬢と話をする事に。
　すると、受付嬢から近場にある二つのダンジョンのどちらかに行く事を勧められたので、コイントスで古城へと行く事に決めた。

　そして、蒼は直ぐにダンジョンに――向かわない。
　出没するモンスターの種類や対処法、ボスの弱点についての情報を集めた上で、更に装備品を買い揃えて準備万端で古城ダンジョンへ乗り込んだのだ。

「うへぇ、話しに聞いてた通りに罠があるなぁ……」

　そう呟く蒼の目の前で今正に彼女をひき殺さんと転がっていた巨大な岩が通り過ぎていった。
　この罠は何とか小部屋に入る事で回避できたが、先程から幾つ物の罠が蒼に襲いかかっているのだ。
　例えば、如何にも怪しい宝箱が置いてあり、危険かもしれないと思いつつもつい開けてみると宝箱に擬態したモンスターだったり、通路の落とし穴が仕掛けてあったり。
　そして――

「ちょっ、こらっ、変なところに、んっ、入るなっ！？」

　今度の罠は触手とスライムのコンボだ。どちらも作品によって全然性質が違うが、このゲームではどちらもエロが付くタイプのようだ。つまりエロ触手とエロスライムである。
　その名に恥じずどちらも蒼の動きを阻害しつつエロい事をしていく。服の上から甚振るように這いずるエロ触手とエロスライム。そして、どちらともなく服の中を目指して動き始める。
　太ももにスライムがやってきて、触手が襟のところから中へと侵入してきた感触がしたところで、手が何とか自由になったので辛うじて危機を逃れる蒼。

「危なかった……」

　危機を脱した蒼が先に進むと、そこにいたのは鎖に繋がった鉄球を持って構える黒い騎士だった。

「こいつがボスね」

　ぶんぶんと勢い良く鉄球を振り回し、その遠心力を利用して投げつけてくる。その威力は凄まじく古城の壁や床が攻撃の度に砕けた。

（狙い目は鉄球を投げつけて来た時ね）

　幾度か攻撃を躱し相手のパターンを呼んだ蒼は、一番隙が大きい行動の時に後ろに回り込む作戦を考える。
　事前に集めた情報によると、このボスは背中が弱点らしいので後ろに回り込んで斬りつけるのが一番良いと判断したのだろう。

「ここっ！」

　掛け声と共に鉄球とすれ違うように駆け出して飛ぶ。黒騎士の背中へと回り込み様に一撃。そして、身体を回転させて一撃を加えてからのラッシュ。
　相手のパターンを完全に読み切っていた為に隙は大きく、結局そのまま黒騎士を倒し切ったのだった。

「ふー、道中は少し危なかったけどでも楽しかったわね」

　汗を拭いながら蒼はそう言うのだった。

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