オープンワールドの世界へようこそ｜リアクション

オープンワールドの世界へようこそ

「ここは……どうやらゲームの世界にいるようね」

　楠瑠璃は突然の事態にも関わらず冷静に周囲を見て、今自分がいるのがゲームの世界と判断した。

「で、これ見よがしに置いてあるこの大きな宝箱は何なのかしら……」

　漫画ならば集中線でも引かれていそうなくらいに堂々とした佇まい。正しく開けて下さいと言わんばかりである。

「現実なら開けないの一択だけど、ここがゲームの世界ならもしかしたら初期装備が入っているのかもしれないのよね」

　うーんと暫し悩んだ結果、瑠璃はどうやら開ける事を選択したようで宝箱の縁に手をかけた。鍵はかかっていないようで、力を入れれば音を立てて蓋が開く。

「あぁ、やっぱり装備だわ」

　宝箱の中に入っていたのは武器であるチャクラムと防具である布の服だ。ただ、この布の服は何故か臍と胸の谷間がかなり露出している。臍は兎も角、胸の谷間が開いているのは瑠璃が立派な巨峰を持っているからなのだろうか。
　疑問に思ったところで服が変わるわけでもなく、瑠璃はその布の服を装備する事にした。

「さて。装備を手に入れた事だし、行くとしましょうか。恐らく目的地はあの目立つ城でしょうし」

　瑠璃の目の前にあった宝箱と同じくらいに存在感のある城。遠目から見ても人気がなさそうな古城こそが恐らく目的地なのだろうと瑠璃は考えていた。

「この装備と言い恐らくはファンタジー系のゲームね。となると、この古城はダンジョンと言ったところなのでしょうけど……近くで見ると随分と不気味ね……」

　ただ古いだけでなく、おどろおどろしい雰囲気。まるでホラーの舞台のようだ。
　しかし、何時までも突っ立っているだけでは始まらない。覚悟を決めて瑠璃は中へと侵入した。

「中は案外暗くはないわね」

　壁には明らかに普通の火ではないものが灯った蝋燭がそれなりの数、壁に配置されており十分に見えるだけの光量はある。

「こういったダンジョンなら個室には宝箱がありそうだから片っ端から……」

　そう呟きながら手近にあった個室に入ると、突然壁と天井から凄い勢いで水が放出された。

「えっ！？　まさか、入口が！？」

　放出される水を見た瞬間、瑠璃は入口が閉められて水責めをされるという発想をして、入口を振り返ったが――そこには開きっぱなしの入口があった。

「……え？」

　予想とは違う光景に思わずフリーズし、そのせいで瑠璃は思いっきり水を被る事となった。
　すると、何故か半透明くらいに服が透けてしまっている。所謂濡れ透けと言われる状態になったのだ。割と厚めの布の服なのに。

「一体、何だったのかしら……」

　びしょびしょのまま次の個室へと入ると、今度こそ入口が閉じられる。

「えぇっ！？」

　まさかの事態に再びフリーズする瑠璃。
　すると、そんな瑠璃を壁や地面から出て来た触手が絡めとる。

「ちょっと、何この触手！？」

　手足に巻き付き、瑠璃を宙に張り付けにしてから舐めるように肢体を這い回り始める。触手の動きは留まる事を知らず、大きく露出している胸の谷間部分からも侵入していく。
　そして、どこにとは言わないが大きな物が形を歪ませる程に巻きついていくのだ。どことは言わないが。

「ちょ、止めてぇ！？」

　そう言いながらどこか癖になるような、そんな感覚を感じる瑠璃。
　この後、瑠璃は何とかダンジョンをクリアする事になるのだが、一方で新たな感覚に目覚めてしまったのかもしれない。果たして、これは無事と言えるのだろうか？

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