家族がたり｜リアクション

家族がたり

●アンタレッサの名将の父と母の話を聞いてくれ

「あ、すいません！　つい、私の話がすぎちゃいましたね！　そういえば、ゲースさんは家族の方はいらっしゃるんですか？」
　よかったらそっちも聞いてみたいです！　と身を乗り出して話を聞きたがるリリエル・エーテライトに圧倒されたゲース・アイルンアルムは、俺も話さないワケにはいかねぇよなと話すことに。
「その前に、と」
　ハラが減っては話せないと、ゲースは目の前の賄いを平らげる。
　賄いを残さず平らげ、腹が満たされたところで「それじゃあ、話すかねぇ」と自分の両親のことを語り出す。
（どんな話か楽しみです！）
　リリエルは、ワクワクしながらゲースが話すを期待している。
　
「俺のお袋といえばずいぶん昔の事なので忘れかけたが、覚えてるのはキョーレツな肝っ玉母ちゃんで厳しかったことだなぁ」
　肝っ玉母ちゃんという印象が強すぎるので、その他のことが思い出せない。」
　他に何か覚えていることがないのか。
　それ以外の特徴はないのかと問われても、キョーレツな肝っ玉母ちゃんだったとしか答えられないほど。
「きょ、強烈なお母さんなんですね……。お父さんはどんな人なんですか？」
　親父ねえ……と、ゲースは思い出す。
「死んだ親父も親戚も揃って騎士の家系だから、立派な騎士になってもらいたかったんだろう。というものの、騎士修行ってことで家を出ると、オジキを頼ってしばらく冒険者していたのさ」
　冒険者をしていた、という点はリリエルちゃんのママさんに似てるかも、と笑う。
「今になっちゃ、もっと親孝行ができればと後悔しているよ」
　そう言い終えると、少ししんみりとした雰囲気に。
　まずかったかねぇ？　とゲースはいつもの調子に戻る。
「あれれ？　オッサンの説教みたいになっちまったな、わりい、ガハハ！」
「そんなことないです！　ゲースさんのお父さんは立派な騎士で、立派な冒険者だと思います！」
「そうかい？　そう言ってもらえると嬉しいね～。オジキがいなかったら、親父は騎士一辺倒だったと思うぜ」
　
　互いの家族の話をしているうちに、リリエルの休憩時間が終わった。
「あ、私、そろそろお手伝いに戻らないと。ゲースさん、頼みたいものがあったら言ってくださいね！」
「ああ、わかったよ。頑張ってね～」
　ごゆっくりどうぞ！　とお辞儀し、リリエルは走って持ち場に戻った。
　そんな彼女の後姿を見たゲースは、昔、リリエルにそっくりの天使のような娘に惚れたことを思い出した。
（俺が惚れちまった天使のような娘が、リリエルちゃんのママさんかもしれないなんて言えねえなぁ……）
　どこで出会ったかは忘れたが、昔、今のリリエルくらいの娘に出会った。
　金色の髪、青い目、背中に天使のような羽が生えている娘は、冒険者になりたいと目を輝かせて話していたことは今でも覚えている。
　その言葉通り、今は冒険者として星幽塔のあちこちを冒険しているようなので、あの時に話していた夢が叶ったのだと思った。

　いつか、リリエルと一緒に冒険している母親に会えるかもしれない。
　そうなったらいいねぇと思いながら、ゲースは「代金はツケで」と言い、アストラルを後にした。

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あとがき

担当マスター：カターレ
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カターレです。

皆様のご家族のお話をリアクションとしてお届けします。
大好きなお父さん、お母さん。今は亡きご家族。
それぞれのご家族のお話、私も実際に聞いているかのような感覚でした。
一緒に暮らしていても、離れていても、今はいなくても、家族は大切な存在ですよね。

「家族がたり」にご参加してくださり、ありがとうございました。

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