家族がたり｜リアクション

家族がたり

●冒険者なお母さんの話を聞いてください！

　リリエル・エーテライトは、Ｂａｒアストラルで調理の手伝いをして働いている。
　お昼時ということもあり、アストラルに来る客が徐々に増え、調理の手伝いはてんてこ舞い。
　客の多くが冒険者ということもあり、話はいろいろな内容の冒険話が多い。
　話声が賑わう中、ハラ減ったぁ～、という声と共に飛び込み用に来た客が。
「リリエルちゅわぁん！」
　アストラルに来た客はゲース・アイルンアルム。
「あ、ゲースさん、いらっしゃいませ！　今、ちょうどお昼を休憩で賄いを食べ始めるところなのでよかったら一緒にご飯食べませんか？」
「おお、ちょうどハラ減ってたから助かるぜぃ。いやぁもう、どこの酒場もランチタイムが混んでいてさぁ」
　ラッキー！　と大喜びのゲースは、ありがたく賄いをいただくことに。
　どこもランチタイムで混んでいると言っているが、彼が単にツケを払わないので入店拒否の店が多いだけ。

　お昼休憩は、アストラルの隅にあるテーブルで。
「お待たせしました」
　リリエルはできたての賄いを持って来た。
「ゲースさん、食べながらでいいですから、ちょっと聞いて欲しい話もあるのでお願いします！」
「聞いてほしい話ってなんだ？」
「私のお母さんの話なんです」
　リリエルは、お母さんから近いうちに一度帰ってくるって連絡があったんです！　と喜びながら話を始めた。
「リリエルちゃんのママさんが来るって？　そりゃ嬉しいこったろうな、家族ってイイねぇ」
　どんなママさんなんだい？　とゲースは賄いを食べながら話の続きを聞く。
「あ、私のお母さんは星幽塔で冒険者をしてるんですよ。お父さんとお母さんがしばらく冒険に出ることになったのがＢａｒアストラルで働き始めたきっかけなんですよ」
　お母さんに久しぶりに会えるからすっごく楽しみなんです！　と更に喜ぶ。
「冒険でのお土産話も楽しみですし、久しぶりに、お母さんにお料理教えてもらうのも楽しみなんですよ。あ、私の料理の基本はお母さんに教えてもらったんですよ！」
　えっへん、とリリエルは胸を張る。
　お昼に食べている賄いは、リリエルが初めて母親から作り方を教わった料理なのだとか。
「この賄い、すごく美味いぜ。ママさんはリリエルちゃんみたいに可愛くて料理上手なんだろうねぇ。見た目はどんなんだい？」
「お母さんの見た目ですか？」
　そうですね……と少し考えてから「私が大人になった感じだと思います！」と元気良く答えた。
「小さい頃は、お母さんにそっくりだねってよく言われてたんですよ♪」
「そっかぁ、そっくりだったのか？　その可愛さはママゆずりってわけかぁ～」
　何かを納得しているようなゲースに、リリエルは自分の母親のことを知っているのかと聞いた。
「なんで知ってるか？　いや、そう思っただけさー」
　何かを言いかけたゲースだったが、リリエルちゃんが可愛いから等と言って誤魔化す。

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