家族がたり｜リアクション

家族がたり

●うちのとーちゃんのことを聞いてほしいッス！

「雪ッスか。どうりで今日は寒いわけッス」
　古尾桐子は身震いしながら、窓の外の景色を見ている。
　というが、外は寒くても桐子は元気いっぱい。今日は友達とカプセルギアで遊ぶ約束をしている。
　コートといった防寒具を着てから戸締りの確認をし、玄関の鍵をかけてから友達の家へ。
「雪だるまが作れるくらい、積もるといいッスね！」
　急ぐッス！　と走って友達の家に向かう。
　
　友達の家まであともう少しッス！　というところで、担任の先生にばったり出会った。
「せんせー！　こんにちはッス！　雪、降ってるッスね！」
　元気良く挨拶をする桐子を見て、先生は相変わらず元気そうだと安心する。
　挨拶をした後に友達の家へ、と思ったが、なぜだか急に、先生に家族のことを話したくなった。
　桐子が話をしたくなった家族は、転勤族なサラリーマンのとーちゃんだ。
　
「せんせー！　ちょっと聞いてくれッス！　とーちゃんがミューチューブで配信を始めたッス！」
　突然、桐子の父親のことを聞いたので先生はちょっとビックリ。
　最近のミューチューブブームに、ミューチューバーデビューの夢が再燃したのだとか。
「とーちゃん、ミューチューバーデビューするんだって動画投稿を始めたんス！」
　ネコネコ動画とミューチューブ。
　どちらに動画をアップしようか父親は相当悩んでいたようだったが、ミューチューブのほうがブームに便乗できるとかで、そっちにしたそうだ。
　先生は、桐子の父親がどんな配信をしているのか気になったので何をしているのかと聞いた。
「とーちゃん、昔は色々な遊びをしてたみたいで、結構、色んなジャンルの配信してるッス！」
　色んなものがあるから見てて飽きないッス！　とワクワクしながら話す桐子を見て、先生は面白そうと興味を示した。
「カプギア関係の動画は、うちも一緒に出てるんで楽しいッス！　せんせーも見てほしいッス！」
　父子でミューチューバーも悪くないッス！　と桐子もノリノリで動画に出演した。
　好きなカプギアの動画となれば、断る理由はない。
　父親と一緒にカプセルギアのカスタマイズをしたり、カラーリングを変えたり、いろいろなことができてすごく楽しい。
　チャンネル名は、と父親のチャンネル名を教えて動画の宣伝をした。
「見た後はチャンネル登録もよろしくッスよ！　うち、友達の家に行くから失礼するッス！」
　それじゃ、と手を振る桐子に、先生は冬休みの宿題を忘れないようにと釘を刺した。
「わ、わかってるッス！　ちゃんとやるッス！」
　友達と思いっきり遊んで、先生の言うことを覚えていたらッスけど、と心の中でボソリと呟く桐子だった。

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