ねことねずみと魔法の街｜リアクション

ねことねずみと魔法の街

●空飛ぶ円盤レース
　チーズの食べ放題で思ったよりも食べ過ぎた瀬莉は食後の運動をかねて、空飛ぶ円盤レースを見物しにいくことにした。
　食べ過ぎて動けないパティ、とまだ眠っている遠海を会場に残し、一人レース会場に向かおうとする瀬莉。
「あ、空飛ぶ円盤、見に行くの？　僕も一緒に行っていいかな？　ちょっと食べ過ぎちゃたから」
「うん。じゃあ、一緒にいこ」
　同じ発想を持つ者同士、仲良くお喋りなどしながら歩いていると、すぐに会場はついた。
「へえ。じゃあ、その魔法のおもちゃ市で瀬莉ちゃんが遊んだ円盤と、このレースで飛んでいる円盤は同じ魔法で動いてるんだ」
「そうみたい。魔法で円盤を動かすのは面白かったけど、店の人の押しが強くてちょっと怖かったかな」
　思い起こせば、あそこでパティと出会わなければ、瀬莉はあの店員から10個ぐらいおもちゃを買わされていたかもしれない。
「魔法がなくても動くんだー。あ、じゃあさ――」
「え……？」

　数分後、瀬莉は空飛ぶ円盤に乗って、レースに参加していた。
『じゃあさ、僕達もレースに参加してみようよ』
『え？』
　ついさっき、いたずらっぽく笑ったタルトにそう誘われて、瀬莉はあれよあれよという間にレースへの参加登録を済ませてしまった。
「あたし、流されてるなー」
　ぼやきつつ、巨大な円盤に載って、街を駆ける爽快感は悪くなかった。
　見上げれば、魔女が空を飛び、その向こう側の太陽が西に沈みかけている。
　遠くの空で『ドン！』と何かが爆ぜるような音がする。
「あ、この音って……」
　夜は近づいている。

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