月曜日の屋上｜リアクション

月曜日の屋上

　熊吉はテルミットを捨てて追いかけていき、屋上はしーんと静まりかえっていた。
　一連の騒ぎを目の当たりにした凛、深雪、響也、雅人、そして修、みんなが言葉を失っていた。
　ただ、一人をのぞいて……。
　その一人は塔屋の上で大きく深呼吸すると、寝子島高校にいる全ての生徒に聞こえたであろう大きな声で、叫んだ。

「にゃーーーーーーっ！！！！！」

　茉菜の謎の猫叫びは、ゲリラライブ開宴のサインだった。
　深雪は凛と響也に目配せした。
「にゃっ」
　と小さく返す凛。
　静かに頷く響也。
　バンドメンバーの気持ちは最高潮、アンプのボリュームは最大値、深雪のキーボードがタタタンと激しく鳴り響いた。
　続けて響也のバイオリンが、ホワンホワンと空を夕焼けに染めていく。
　そして、凛のギターが寝子高にトドメを刺した！
　爆音に教室が揺れて、学校に残っていた全生徒が飛び上がった。
　職員室からは教師が血相を変えて飛び出してくる。
　その中で、一人。
「ふっふふ、ふははははは」
　落ち着いて窓に寄りかかって笑っているのは、泉先生だった。

　凛は腹の底から声を出した。
　曲はunder　sunnyの『雨上がりのトワイライト』。

『空を見てみろよ　雲は去った
　窓から手を出して　陽が当たる
　手のひらにもし　しずくがこぼれるなら』

　いいなと信彦は熊に追いかけられながら、正門に向かって走っていた。
　いいなは、ここにいない誰かのことを想っていた。
　彼女の背に、彼女の心に、凛の歌声が重なるようだった。

『涙の雨が　ザーザザザーザザ
　降り続いたよ　ザーザザザーザザ
　雨はあがった　帰ってきていいんだ
　トワイライトに染まる　ここがお前の道　走れ　走れ　走れ！』

　いいなは走る。走る。走る！
　いつの間にか心拍数はあがって、ろっこんが発動。大人の女性がロケット花火を持って走っていた。
　燃えさかるマグネシウムリボンに生徒たちがきゃあきゃあ叫んで、モーゼのように道がひらける。
「え？　ええ！　いーなっち？」
　信彦がいいなの姿を二度見したとき、正門に辿り着いた。
　そして、花火に点火した。
　
　パパパパンッ！
　
　空高く舞った花火を、修は写真に収め、月詠は絵に描いた。
　飛鳥が、天野が、ラッセルが、海が、能美子が、刀が、雅人が、茉菜が、凛が、深雪が、響也が――
　それぞれの思いを胸に、花火舞うトワイライトの夕焼け空を見上げていた。

＜完＞

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あとがき

担当マスター：漂流サーカスランド
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リアクションの公開が遅れ、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

半分書いた時点で持病が悪化し、作業場にいられなくなりました。
なんとか復帰して、こうしてPC前に戻ることができました。
PLの皆様にはもちろん、運営様にも迷惑をかけ、猛省しております。

どのキャラクターもアクションも魅力的で、再び書く機会を得られたことが本当に喜びでした。
ご参加ありがとうございました。

***

アクションにないようなことも、誰かのアクションが影響して膨らんでいます。
それが日常で、それがフツウだと思います。
登場するページは細かく彼方此方に散らばってますので、全部読んでもらえると嬉しいです。

テルミット反応については言葉の説明では限界があるので、
もしよければ検索して動画などを見ていただけると、より理解しやすいと思います。
危険な実験ですので、真似しないようにお願いします。らっかみ！はフィクションです。

その他、必要なことは全てリアクションと個別コメントに書きました。
次の機会もよろしくお願いします。楽しかったです。

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