あそぼう、アニマルの森｜リアクション

あそぼう、アニマルの森

【島歩きの章】

『アニマルの森』と題されてはいたものの、そのゲームの舞台は紛れもない島であった。
「おー、これがＶＲ……すげー」
　滝原レオンは目の前に広がる青い海や、白い雲の質感に思わず感嘆の声を漏らした。
　ふと視線を落とせば、肉球のついたデフォルメされた猫（サバトラ）の手が見える。
　VRなので自分の顔は見えないが、レオンはゲームの中でサバトラ模様の猫になっているはずだった。
「この島を自由に動きまわれるわけかー。よし、早速探検してみるか」
　確か、今回の『アニ森』のテーマはDIY（ドゥ・イット・ユアセルフ）であったはずだ。島に落ちている木の枝や石を利用して、つりざおなどのアイテムや、タンスなどの家具も作れるのだという。
「お、さっそく落ちてるな。これは『おおきなはっぱ』？　んで、こっちが『じょうぶなつる』と」
　落ちているアイテムは拾うと葉っぱになって、簡単に持ち運べる。
　そして、目の前に浮かぶメニュー画面の中で、二つのアイテムを組み合わせると――。
「おお！　『はっぱのふく』になったぞ！」
　アイテムが合成され、新しいアイテムが出来上がった。
「そうか。このゲーム服もつくれるのかー」
　可愛いものが大好きなレオンの心に火が点いたのは、まさにこの瞬間のことである。

「おお、なごむねぇー」
　曖浜瑠樹は『アニ森』のなごみ系な世界を満喫していた。
　瑠樹はこの世界では可愛いにゃんこ（猫）になっている。
「たしか、拾ったものを組みわせて、『DIY』ができるんだよねぇ」
　そう言いながら、瑠樹があたりを見まわしたとき――。
「HAHAHA！　お前、初心者だな！　よし、俺様がアイテムの作り方を教えてあげるぜぇ！」
　たぬきとサンマを足して二で割ったような奇妙なアニマルが現れた。
「おっと自己紹介がまだだったな！　俺はタヌマさんだぜぇ！」
　その奇妙なアニマルは名前もサンマとタヌキを足して二で割った感じだった。
（サンマさんじゃないのかぁ……。あ、もしかして、お忍びで来てるのかねぇ？）
　そう察した瑠樹は、中身については深く考えないことにした。
「そうかぁ。じゃあ、タヌマさん。よろしくなぁ。オレ、まずは木材や虫を集めるための道具が欲しいなぁ」
「わかったぜぇ！　じゃあ、まずはそこにある「ひらたいいし」＋「きのぼう」を合体させてみるといいぜぇ！」
　タヌマさんの言う通り、瑠樹は手近にあった石と木の棒を拾って、メニュー画面で合体させた。
　ピロン、と楽しげな音がなって、「いしのおの」ができた。
「わぁ！　オノができたよぉ！　これで木を切り倒せるかねぇ？」
「もちろんだぜぇ！　もっとも何回も使うと壊れちまうが、そのときは石ころを拾って作ればいいぜぇ。よし、じゃあ次は――」
　そうして、タヌマさんは色々なアイテムの作り方を教えてれる。
（なんだか、とってもワクワクするよぉー）
　瑠樹は、これらの道具を使って、どんな新しいアイテムが創れるのかワクワクしながら、さらに色々なアイテムを作っていく――。

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