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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
ちょっと、ご褒美
●カワウソ
下宿先の小さな部屋で朝から勉強に勤しんでいた志波 武道は、おもむろにシャーペンを置くとうーんと体を伸ばした。窓の外を見れば、綺麗な青空。
そうか、晴れていたのかと武道はぼんやり考えた。問題集には天候は全く関係ないから、外の様子には気付かない事の方が多い。それだけ根を詰めて受験勉強をやれている証なのかもしれないが。
雑然とした自分の机に目を落とした。積み上げられた参考書や問題集。何冊買ってもすぐに埋まってしまうノートの山。
ありがたいのかもしれないな、と武道は思う。寝子島のフツウを何とか守りながらも、自分の未来に向かってこうやって勉強が出来るのだから。うん、ありがたい。ありがたいんだが……。
「……息抜きしたい……」
武道は独り小さく呟くと、ノートの上に顔を伏せてしまった。もういいんだこの無味乾燥の物達は。こんなざらざらした手触りより、もっと血が通う温かいものと触れ合いたいんだ、俺は。
癒やしが欲しい。例えば瞳がつぶらで仕草がいちいち天使で考えられないくらいキュートな生き物に会いたい。
そう考えるともうダメだった。さっきまで解いていた問題なんか押しのけて、ふわふわとあの可愛らしい生き物があんな姿やこんな姿できゅんきゅんと自分に訴えかけてくる。
武道は暫く葛藤していたが、突然ガバリと体を起こした。その瞳は、水面の陽光のようにキラキラと輝いていて。
「……久々にいくか、水族館！」
武道は高らかに宣言した。……だいぶ俺頑張ってるし、いいよね？
窓の外の澄んだ青空にはあの可愛らしい面影が浮かんで見える。武道はその面影に笑顔で語りかけた。
―――カワウソー！ 俺だー！ 待っててねー！！
＊
勉強の進捗状況……日中の分くらいなら何とか取り戻せそうだから、よし！
フツウを脅かすナニか……ねこったーとかでも特に何か起こった感じはないから、大丈夫そうだ。よし！
武道は自分の中できちんと片付けなければいけない事を確認する。自分を甘やかしても譲れない事だけはしっかりやっておかないと、心から楽しめないからだ。
確認作業を終えた武道はそこから早かった。上着を引っつかむとあっという間に下宿先を飛び出し、マリンパラダイスに一直線。入り口のお姉さんに笑顔を残像で残しつつ飛ぶようにカワウソのゾーンに向かった。
岩にちょろちょろ登っていたり、元気に泳いでいたり。そこには黒い瞳のカワウソ達が思い思いに過ごしていた。
「カワウソー！ いやぁかわいいなぁ癒やされるなぁ……！」
天使達の姿をガラスに貼り付くように見ていた武道は、相好を崩しながらもすぐにスマホを取り出した。……フラッシュはオフだな、よし！
カシャリ！ カシャリ！ 武道はカワウソの愛らしい姿を撮りまくる。おっ、２本足で立ったな。尻尾の支えが素晴らしい！ ああ君はあくびをするのか？！ 何て変顔で可愛いんだっ。
……それは親戚の子供を猫かわいがりに可愛がる叔父さんの如し。何をしても可愛いのだからいつでもシャッターチャンスだ。武道は周囲の視線など気にせず１５分ほど心ゆくまでカワウソ達の姿を堪能すると、ふうと満足の吐息を漏らした。
「よし、ほかのお魚や動物さんたちを見に行こう」
……そうですね。武道さん順路すっ飛ばしてましたもんね。
少ぉしだけ落ち着いた武道は入り口のスタート地点に戻ると、改めて水族館を回り始めた。
入り口の大きな水槽トンネル。クラゲやタカアシガニ。イルカやペンギンの元気な姿を微笑ましく見学してから、武道は熱帯魚たちが優雅に泳ぐ大水槽の前にあるベンチに腰掛けた。
この大水槽は天井がプラネタリウム風になっている。しかし今は昼間なので自然光を採り入れており、それが熱帯魚たちをキラキラと輝かせていて明るい海の童話を見ているようだ。武道は時も忘れてこの幻想的な世界に溶け込み、魚達と自由に漂った。
無心になって命の洗濯をした武道はすっきりした気持ちで順路をまた歩き始めた。そしてそこには当然。
「またあったねカワウソ！」
本日２回目のご対面である。１度目は元気に動き回っている子が多かったが、時間が経ったからだろうか今は寄り添い丸くなって寝ている子の姿が目立った。
（お昼寝中かな？）
こんな昼下がりは気持ちいいよね。武道は目を細め、緩やかにお腹を上下させるカワウソ達の午睡を見守った。
時間によって活動具合が違うから、こうやってまた別の姿も見られる。二度美味しい見学法である。
寝てても起きててもキュートなカワウソ達を堪能すると、武道は最後に水族館に併設されているショップに向かった。
「ナニにしようカナー……」
本日の仕上げである自分へのお土産。それはやっぱり。
「あ、これいいな！」
手にしたのはカワウソのマグカップ。武道は軽い足取りでレジに向かった。
―――家に帰っても可愛いカワウソとお茶できるなんて最高だもんね☆
こうしてシメまでしっかりとカワウソを堪能した武道。少しだけ陽が傾き掛けた空の下、元気に下宿先に帰っていった。
いやぁ、今日は思い切り贅沢しちゃった！ エネルギーもチャージしたし、明日からまたがんばろっと！
下宿先の小さな部屋で朝から勉強に勤しんでいた志波 武道は、おもむろにシャーペンを置くとうーんと体を伸ばした。窓の外を見れば、綺麗な青空。
そうか、晴れていたのかと武道はぼんやり考えた。問題集には天候は全く関係ないから、外の様子には気付かない事の方が多い。それだけ根を詰めて受験勉強をやれている証なのかもしれないが。
雑然とした自分の机に目を落とした。積み上げられた参考書や問題集。何冊買ってもすぐに埋まってしまうノートの山。
ありがたいのかもしれないな、と武道は思う。寝子島のフツウを何とか守りながらも、自分の未来に向かってこうやって勉強が出来るのだから。うん、ありがたい。ありがたいんだが……。
「……息抜きしたい……」
武道は独り小さく呟くと、ノートの上に顔を伏せてしまった。もういいんだこの無味乾燥の物達は。こんなざらざらした手触りより、もっと血が通う温かいものと触れ合いたいんだ、俺は。
癒やしが欲しい。例えば瞳がつぶらで仕草がいちいち天使で考えられないくらいキュートな生き物に会いたい。
そう考えるともうダメだった。さっきまで解いていた問題なんか押しのけて、ふわふわとあの可愛らしい生き物があんな姿やこんな姿できゅんきゅんと自分に訴えかけてくる。
武道は暫く葛藤していたが、突然ガバリと体を起こした。その瞳は、水面の陽光のようにキラキラと輝いていて。
「……久々にいくか、水族館！」
武道は高らかに宣言した。……だいぶ俺頑張ってるし、いいよね？
窓の外の澄んだ青空にはあの可愛らしい面影が浮かんで見える。武道はその面影に笑顔で語りかけた。
―――カワウソー！ 俺だー！ 待っててねー！！
＊
勉強の進捗状況……日中の分くらいなら何とか取り戻せそうだから、よし！
フツウを脅かすナニか……ねこったーとかでも特に何か起こった感じはないから、大丈夫そうだ。よし！
武道は自分の中できちんと片付けなければいけない事を確認する。自分を甘やかしても譲れない事だけはしっかりやっておかないと、心から楽しめないからだ。
確認作業を終えた武道はそこから早かった。上着を引っつかむとあっという間に下宿先を飛び出し、マリンパラダイスに一直線。入り口のお姉さんに笑顔を残像で残しつつ飛ぶようにカワウソのゾーンに向かった。
岩にちょろちょろ登っていたり、元気に泳いでいたり。そこには黒い瞳のカワウソ達が思い思いに過ごしていた。
「カワウソー！ いやぁかわいいなぁ癒やされるなぁ……！」
天使達の姿をガラスに貼り付くように見ていた武道は、相好を崩しながらもすぐにスマホを取り出した。……フラッシュはオフだな、よし！
カシャリ！ カシャリ！ 武道はカワウソの愛らしい姿を撮りまくる。おっ、２本足で立ったな。尻尾の支えが素晴らしい！ ああ君はあくびをするのか？！ 何て変顔で可愛いんだっ。
……それは親戚の子供を猫かわいがりに可愛がる叔父さんの如し。何をしても可愛いのだからいつでもシャッターチャンスだ。武道は周囲の視線など気にせず１５分ほど心ゆくまでカワウソ達の姿を堪能すると、ふうと満足の吐息を漏らした。
「よし、ほかのお魚や動物さんたちを見に行こう」
……そうですね。武道さん順路すっ飛ばしてましたもんね。
少ぉしだけ落ち着いた武道は入り口のスタート地点に戻ると、改めて水族館を回り始めた。
入り口の大きな水槽トンネル。クラゲやタカアシガニ。イルカやペンギンの元気な姿を微笑ましく見学してから、武道は熱帯魚たちが優雅に泳ぐ大水槽の前にあるベンチに腰掛けた。
この大水槽は天井がプラネタリウム風になっている。しかし今は昼間なので自然光を採り入れており、それが熱帯魚たちをキラキラと輝かせていて明るい海の童話を見ているようだ。武道は時も忘れてこの幻想的な世界に溶け込み、魚達と自由に漂った。
無心になって命の洗濯をした武道はすっきりした気持ちで順路をまた歩き始めた。そしてそこには当然。
「またあったねカワウソ！」
本日２回目のご対面である。１度目は元気に動き回っている子が多かったが、時間が経ったからだろうか今は寄り添い丸くなって寝ている子の姿が目立った。
（お昼寝中かな？）
こんな昼下がりは気持ちいいよね。武道は目を細め、緩やかにお腹を上下させるカワウソ達の午睡を見守った。
時間によって活動具合が違うから、こうやってまた別の姿も見られる。二度美味しい見学法である。
寝てても起きててもキュートなカワウソ達を堪能すると、武道は最後に水族館に併設されているショップに向かった。
「ナニにしようカナー……」
本日の仕上げである自分へのお土産。それはやっぱり。
「あ、これいいな！」
手にしたのはカワウソのマグカップ。武道は軽い足取りでレジに向かった。
―――家に帰っても可愛いカワウソとお茶できるなんて最高だもんね☆
こうしてシメまでしっかりとカワウソを堪能した武道。少しだけ陽が傾き掛けた空の下、元気に下宿先に帰っていった。
いやぁ、今日は思い切り贅沢しちゃった！ エネルギーもチャージしたし、明日からまたがんばろっと！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2020年02月29日
- 参加申し込みの期限
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- 2020年03月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2020年03月07日 11時00分
