占い少女のクリスマス｜リアクション

占い少女のクリスマス

◆柔らかな愛、憂う美女

「こんにちは、イムイムさん」
「おお！　久しぶりなのだ！」
「ちゃんとご飯食べてる？」

　そう言って心配そうに見つめる志鷹若菜に、イムイムは元気よく頷いた。彼女はイムイムの向かいに座ると、

「何か食べたいものある？」

　と尋ねた。

「じゃあパフェをいただくのだ」

　その言葉を聞いて若菜は店員を呼び、自分の分とパフェを注文した。待つ間もなく紅茶のシフォンケーキとハーブティー、そしてパフェがやって来る。

「で、どうしたのだ？」
「それなんだけど……弟の見せる笑顔にほんの少し、愁いが滲むようになったことが気になるの。そして最近は心配になる程、仕事に心身を捧げていることがとても気がかりで……」

　そうして彼女は弟について、先日もまた当直と日勤を何日も連続でこなし、休日は息抜きもせず只管勉強をしている。そうやって患者の命を救う為に己の命を削り続け、昨日は疲労と睡眠不足で目の下に酷い隈ができていた。心配して声をかけても彼は、大丈夫、と気丈に微笑むだけ……と説明した。

「元々多忙な科で、冬の今は特に多忙な時期ではあるけれど……幾ら勤勉な彼でも、このままでは体だけではなく心も壊してしまいそうで心配なの。何かに抗うように生きる、今の彼の心が知りたい。でも……」

　次いで彼女は苦しいのなら助けてあげたいが、下手に干渉して過去に最愛の女性を病で亡くして深い傷を負っている心を、更に傷をつけるようなことはしたくないと零す。

「このまま見守る方が良いのか、何らかの形で手を差し伸べた方が良いのか、自分にできることは何かないか……アドバイスを貰えたら嬉しいです」

　それを最後まで聞くとイムイムはゴクリとパフェを飲み込み、なんだか神妙な面持ちになり、懐からカードを取り出しては机の上に並べていく。若菜がカードを繰る彼女の手を眺めていると、イムイムは突然腕を組み、唸り始めた。

「わかったのだ！　早速占っていくのだ！　んむー……んむむむむー……」

　イムイムは何か天啓でも得たかのようにピンと立ち上がり、すぐさま座ってカードを開き始めた。そうして杯が二つ描かれたカードを指し口を開く。

「結論から言うと手を差し伸べた方が良いと思うのだ。弟さんはどこか追い込まれるように働いているみたいなのだ。カナカナのいう通り不安そうに見えたのだ……」

　イムイムはパフェを掬いながら、こう続けた。

「大事なのは弟さんを信じてカナカナも心を開くことだと思うのだ。そうすれば……というか、そうした結果円満に収まった未来が見えたのだ」
「そう……」

　それを聞いても若菜は冷静にハーブティーを飲み、柔らかく礼をする。

「ありがとう、イムイムさん。私の方でもいろいろと考えてみるわ」
「うむ、どういたしましてなのだ！　弟さんの環境も良くなるといいな」

　窓から差し込む陽光を浴びながら、二人は食事を楽しんだ。

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あとがき

担当マスター：六原紀伊
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この度はご参加ありがとうございました。六原です。

ご相談内容についてはリアクション中で答えていますが、全体的な結果は個別コメントで簡単に書いています。
イムイムからの一言付きです。イムイムはしばらく寝子島に留まるようですので、また皆さんを占うこともあるかもしれません。

今後のガイドですが、球技大会のシナリオを担当します。ご縁がありましたらその時はよろしくお願いします。
それでは改めて、ご参加ありがとうございました。

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