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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
オーナメントにご用心？
部活に生徒会にと忙しかった水上 桜は、それに救われて大騒ぎの会場を見ることが無かった。
「ここしばらく手芸から遠ざかってたからなあ……大丈夫かな？」
世間はもうクリスマス。……ということはカップルの季節なのかと、どうしても仲睦まじい恋人達へ目が行ってしまう。もし自分もあんな別れ方をしなければ、一緒に来ていたかも知れないけれど――。
（いや、寄生虫のオーナメントなんて見たくないしなぁ）
ただただ平穏な会場が、悲鳴で溢れてしまいそうだ。そんな悪夢を振り払い、趣味が満喫できるだろうかと材料のコーナーを見て回る。思った以上に材料は豊富で、これなら――と桜の頭の中では着々と設計図ができあがる。
そうして、カゴいっぱいに材料を手に入れた桜は、空いてる席を探した。
「あれ、水上さん？」
「志波先輩？」
隣の煉の姿も確認し、ぺこりと頭を下げる。彼らもオーナメント作りをしているようだが、武道の手には林檎がこれでもかと飾られ、さらに赤いリボンで巻かれたとっても赤いリースがあった。
「志波先輩って、赤がお好きなんですか？」
「ん？ いやー、好きって言うか……色々あって」
弟を思って作ったこのリースは、恋人達の幸せが込められているのかも知れないが、それでもちょっぴり林檎が多めな気がするのは、先ほどの喧嘩が効いているのかもしれない。
その疲れたような笑いに深く尋ねるのはやめて、桜は手近な席へ腰掛けた。まずはさっと作れる物から指ならしをして、感覚を思い出さなければ。
最初に手に取ったのはクリアボール。底に綿をしいて、雪の積もった小さな家を、プレゼントの箱を。それから白い造花で雪景色を表現すれば、あとは蓋を閉めるだけ。
（うん、これならクリスマスが終わっても飾っておけるかな）
白い松ぼっくりやスノーマン。様々なデコパーツを組み合わせていくつかのクリアボールを作る頃には、すっかり物作りの調子を思い出す。久しぶりで心配していたけれど、意外と感覚は覚えている物だ。
次は詰めるだけで無く、フェルトを使っての小物作りに挑戦する。その手際の良さに、煉はスタッフに声をかけた。
「ああいうのって、スタッフさんに教えて貰うことってできますか？」
「もちろんです！ 簡単で豪華に見せる技も、お伝えしちゃいますよ！」
元気を取り戻したスタッフは、にこにこと返事をしてくれる。いや、これが通常と言えば通常通りなのだが、ここまで来るのがとても長かった気がする。
「おー！ じゃあ、リースも出来たし、呼び込みのお手伝いしちゃおうぜい☆」
「え、そこまでしてもらうわけには」
「気にしないでください。俺たちはただのお節介なんです」
武道と煉は、自身で作ったリースやツリーを手に、道行く人へ声をかける。
「いまならこれが親切丁寧教えてもらって作れます！ まーステキ☆」
「手作りのオーナメント、一緒に作ってみませんかー！」
明るい声につられ、通りがかった人たちが会場を見る。多種多様のツリーたちに、広場で走り回っていた小さな子供達が駆け寄ってきた。
「わたしにもできる？ お姫様がもってそうな、キラキラしたの！」
「ぼくねぇ、えっとねぇ、おっきい靴下！」
それからそれからと目を輝かせる子供の勢いに、武道と煉は一瞬たじろぐ。けれど弟や妹のいる二人は、すぐに顔を綻ばせた。
「よーし、静かにできるってお約束できる子は、みんながどんなの作ってるか見学しちゃお☆」
「作るのが決まってる子は、材料見に行くぞ。ついてこい」
そうして賑やかになっても、桜のペースは変わらない。雪の結晶型の木製オーナメントにマニキュアを塗り込んで、乾かしている間にフェルトを裁断して。またラメを塗ってはビーズを手に取ってと無駄なく作業を進めていく。
そうしてできあがったのは、ステンドグラス風のオーナメントと、フェルトの愛らしいサンタやトナカイがあしらわれたツリーだ。一通り作ったことで充足感に満たされ、寝子祭で家庭か同好会の展示品を作ったことを思い出した。
「それ、私にも作り方を教えて貰える？」
手先が器用な事に自信があった琳子は、桜のツリーを見てその煌びやかさに心惹かれたように声をかけた。ただ組み合わせて飾るだけだと思っていたけれど、ここの材料であんな物まで作れるなんて。
「このステンドグラス風のオーナメントですか？ レジンを使うんですけど、簡単にできますよ」
作り方を知った動画サイトを見せながら、桜は快く応じる。
（このオーナメント、妹に見せたら喜ぶかな？）
幸せな笑顔を連れてくるオーナメント。会場も笑い声に包まれて、どうやら楽しそうに１日を終えることができそうです。
世間はもうクリスマス。……ということはカップルの季節なのかと、どうしても仲睦まじい恋人達へ目が行ってしまう。もし自分もあんな別れ方をしなければ、一緒に来ていたかも知れないけれど――。
（いや、寄生虫のオーナメントなんて見たくないしなぁ）
ただただ平穏な会場が、悲鳴で溢れてしまいそうだ。そんな悪夢を振り払い、趣味が満喫できるだろうかと材料のコーナーを見て回る。思った以上に材料は豊富で、これなら――と桜の頭の中では着々と設計図ができあがる。
そうして、カゴいっぱいに材料を手に入れた桜は、空いてる席を探した。
「あれ、水上さん？」
「志波先輩？」
隣の煉の姿も確認し、ぺこりと頭を下げる。彼らもオーナメント作りをしているようだが、武道の手には林檎がこれでもかと飾られ、さらに赤いリボンで巻かれたとっても赤いリースがあった。
「志波先輩って、赤がお好きなんですか？」
「ん？ いやー、好きって言うか……色々あって」
弟を思って作ったこのリースは、恋人達の幸せが込められているのかも知れないが、それでもちょっぴり林檎が多めな気がするのは、先ほどの喧嘩が効いているのかもしれない。
その疲れたような笑いに深く尋ねるのはやめて、桜は手近な席へ腰掛けた。まずはさっと作れる物から指ならしをして、感覚を思い出さなければ。
最初に手に取ったのはクリアボール。底に綿をしいて、雪の積もった小さな家を、プレゼントの箱を。それから白い造花で雪景色を表現すれば、あとは蓋を閉めるだけ。
（うん、これならクリスマスが終わっても飾っておけるかな）
白い松ぼっくりやスノーマン。様々なデコパーツを組み合わせていくつかのクリアボールを作る頃には、すっかり物作りの調子を思い出す。久しぶりで心配していたけれど、意外と感覚は覚えている物だ。
次は詰めるだけで無く、フェルトを使っての小物作りに挑戦する。その手際の良さに、煉はスタッフに声をかけた。
「ああいうのって、スタッフさんに教えて貰うことってできますか？」
「もちろんです！ 簡単で豪華に見せる技も、お伝えしちゃいますよ！」
元気を取り戻したスタッフは、にこにこと返事をしてくれる。いや、これが通常と言えば通常通りなのだが、ここまで来るのがとても長かった気がする。
「おー！ じゃあ、リースも出来たし、呼び込みのお手伝いしちゃおうぜい☆」
「え、そこまでしてもらうわけには」
「気にしないでください。俺たちはただのお節介なんです」
武道と煉は、自身で作ったリースやツリーを手に、道行く人へ声をかける。
「手作りのオーナメント、一緒に作ってみませんかー！」
明るい声につられ、通りがかった人たちが会場を見る。多種多様のツリーたちに、広場で走り回っていた小さな子供達が駆け寄ってきた。
「わたしにもできる？ お姫様がもってそうな、キラキラしたの！」
「ぼくねぇ、えっとねぇ、おっきい靴下！」
それからそれからと目を輝かせる子供の勢いに、武道と煉は一瞬たじろぐ。けれど弟や妹のいる二人は、すぐに顔を綻ばせた。
「よーし、静かにできるってお約束できる子は、みんながどんなの作ってるか見学しちゃお☆」
「作るのが決まってる子は、材料見に行くぞ。ついてこい」
そうして賑やかになっても、桜のペースは変わらない。雪の結晶型の木製オーナメントにマニキュアを塗り込んで、乾かしている間にフェルトを裁断して。またラメを塗ってはビーズを手に取ってと無駄なく作業を進めていく。
そうしてできあがったのは、ステンドグラス風のオーナメントと、フェルトの愛らしいサンタやトナカイがあしらわれたツリーだ。一通り作ったことで充足感に満たされ、寝子祭で家庭か同好会の展示品を作ったことを思い出した。
「それ、私にも作り方を教えて貰える？」
手先が器用な事に自信があった琳子は、桜のツリーを見てその煌びやかさに心惹かれたように声をかけた。ただ組み合わせて飾るだけだと思っていたけれど、ここの材料であんな物まで作れるなんて。
「このステンドグラス風のオーナメントですか？ レジンを使うんですけど、簡単にできますよ」
作り方を知った動画サイトを見せながら、桜は快く応じる。
幸せな笑顔を連れてくるオーナメント。会場も笑い声に包まれて、どうやら楽しそうに１日を終えることができそうです。
あとがき
担当マスター：
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから！
みなさまご参加ありがとうございます、浅野です。
なんとも居心地の悪い、手作りオーナメント体験の会場でしたが、皆さんのおかげで無事に和やかな空気を取り戻せました！
オーナメントは様々な意味を持ちますが、喧嘩の種にはならないでほしいものですね。
皆さんの多種多様なアクションに、こちらもほっこりしつつ、意外な一面を知った方もいて楽しいクリスマスの準備でした。
寝子島のクリスマスはもう少し先なのかな？ 楽しみにお待ちくださいね。
ご意見ご感想、もしくは「読んだよ！」の代わりにダイヤリーのページチェック入れて頂けると、めちゃくちゃ喜びます。
お時間ありましたら、よろしくお願いします～！
なんとも居心地の悪い、手作りオーナメント体験の会場でしたが、皆さんのおかげで無事に和やかな空気を取り戻せました！
オーナメントは様々な意味を持ちますが、喧嘩の種にはならないでほしいものですね。
皆さんの多種多様なアクションに、こちらもほっこりしつつ、意外な一面を知った方もいて楽しいクリスマスの準備でした。
寝子島のクリスマスはもう少し先なのかな？ 楽しみにお待ちくださいね。
ご意見ご感想、もしくは「読んだよ！」の代わりにダイヤリーのページチェック入れて頂けると、めちゃくちゃ喜びます。
お時間ありましたら、よろしくお願いします～！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2020年02月04日
- 参加申し込みの期限
-
- 2020年02月11日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2020年02月11日 11時00分
