- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
らっかみ！新春☆初夢宝船フェア２０２０！ ～白編～
水平線に太陽が沈む。冴えた夕闇が天頂の方から迫ってくる。
昼の余韻のベイビーブルーが、濃い闇に近くなった海の上に淡いラインを作る。
学校から星ヶ丘寮に戻って来て、部屋――という名の戸建て住宅――に帰る途中で、ボクは足を止めた。
音海 なぎさ。高校３年生。ショートカットの髪はオレンジブラウン。瞳の色はマリンブルー。顔立ちも性格も柔和なほうで、制服のうえに羽織った淡いブルーのケープと、普段から持ち歩いている赤いメディカルバックはボクのアイデンティティでもある。
思わず足を止めたのが、昼と夜の境目の刻を味わいたくなったから。
この時間と、ボク自身とがどこか重なったからだった。
完全に光が消え、一番星が空に瞬き始めたのを見届けて、ボクは部屋へ戻った。
赤いメディカルバックを置くとケープを脱ぎ、制服のブラウスも脱ぐ。黒の制服のスラックスは皺のつかないように丁寧にハンガーにかけると、隣のハンガーに手を伸ばし、掛かっていたフリル付きのエプロンドレスを身に付ける。
鏡の前に立って、オレンジブラウン色した髪に櫛を入れる。
我ながら甘いベビーフェイス。
深呼吸してモードを変える心の準備。
丸い伊達眼鏡をかけて、ふんわりフレアのエプロンドレスの裾を翻してターン。
自分の中で、かち、とスイッチが入るのが分かる。
ボクは、『ボク』から『私』に変わる。
ナギ・サイレントオーシャン。
それは私のもうひとつの名前。
鏡の中にいるのは、少年ではなく、柔和で天然そうな雰囲気の少女だ。
私は両手でスカートの裾を掴むと右に左に翻してチェック。
「ん」
問題ない。
私はドアを開けて外に出る。
空には雲一つなく満天の星が光っている。
風は温く、夜のおさんぽにちょうどいい。
星ヶ丘寮は寝子島の西、ちょうど猫の横顔のあごの部分に建っている。セレブな学生たちが多く、寮と言う名のひとつの街だ。一戸建ての部屋部屋を繋ぐ街路を抜けて、海が見える崖の上に出る。
沖に面した左手側には、高級ホテル『ステッラ・デッラ・コリーナ』がまるでシャンデリアみたいにピカピカ光っている。その向こうはセレブのボートやヨットなども係留されている星ヶ丘マリーナだ。
右手側は天宵川と九夜山の裾野で人家もなく暗闇が広がる。
「ここも二つの領域の境目……」
光と闇の境界線の上に立っている。そんな気になる。
そのとき「誰か！」と助けを呼ぶ声がした。
屋外プールの方だ。
私の体は反射的に駆け出していた。
昼間はセレブな寮生たちで賑わう屋外プールだが、この時間は閑散としていて、ほとんど人がいなかった。そんな中でマッチョな男子がプールの縁に掴まって喘いでいる。
「た、助け……足が攣って……！！」
「待ってて。今助けるね」
私は彼の身体を支え、プールサイドに上がるのを手助けした。
「すまん、助かった……」
「どうしてこんな時間にひとりでプールに？」
攣ったという足に触れ、状態を確かめながら私が聞くと、胸筋豊かなマッチョ君は頬染めてぶつぶつ言った。
「恥ずかしい話なんだが……カナヅチでさ。女の子とデートしたとき泳げないなんて言いたくないから、秘密特訓しようかと……」
「そうだったんだね。でも今度から、ひとりはやめた方がいいよ」
「お、おう……」
うなずいたマッチョ君は、そこで、意を決したように私の両手をガシッとつかんだ。
「ところで君、星ヶ丘寮の子？ なんちゅうかその……俺の好みというか……付き合……」
「はいオッケー。筋は痛めてないみたいだよ」
私は最後まで言わせなかった。こういうことは時々あるから、躱すのも慣れている。
『可愛い女の子に治療された』と思っているだろう彼に微笑む。
「どう？ 歩けそう？」
「あ、えっ……と」
告白を中断されて戸惑いながらも、言われるまま歩いてみようとするも。
「痛！」
彼は痛みにしゃがみ込む。
「んー、このままじゃ着替えもままならないね。しょうがないなあ、更衣室まで送っていくね」
私は彼の背中と膝裏に手を差し入れると、そのままよいしょとお姫様抱っこで持ち上げる。
「えっ！？ ま、まさか……！？」
筋肉で見るからに倍ほども重そうな男子をお姫様抱っこする私に、彼は目を白黒。
ないしょだけど、ろっこん＜オーバーヒーリング＞の力だ。
「君、ほんとに誰？」
「私？ ナギだよ」
ニコニコしながらマッチョ君を運ぶ。
明日には謎の怪力美少女現るという噂が、寮中を駆け巡っているかもしれない。
昼の余韻のベイビーブルーが、濃い闇に近くなった海の上に淡いラインを作る。
学校から星ヶ丘寮に戻って来て、部屋――という名の戸建て住宅――に帰る途中で、ボクは足を止めた。
音海 なぎさ。高校３年生。ショートカットの髪はオレンジブラウン。瞳の色はマリンブルー。顔立ちも性格も柔和なほうで、制服のうえに羽織った淡いブルーのケープと、普段から持ち歩いている赤いメディカルバックはボクのアイデンティティでもある。
思わず足を止めたのが、昼と夜の境目の刻を味わいたくなったから。
この時間と、ボク自身とがどこか重なったからだった。
完全に光が消え、一番星が空に瞬き始めたのを見届けて、ボクは部屋へ戻った。
赤いメディカルバックを置くとケープを脱ぎ、制服のブラウスも脱ぐ。黒の制服のスラックスは皺のつかないように丁寧にハンガーにかけると、隣のハンガーに手を伸ばし、掛かっていたフリル付きのエプロンドレスを身に付ける。
鏡の前に立って、オレンジブラウン色した髪に櫛を入れる。
我ながら甘いベビーフェイス。
深呼吸してモードを変える心の準備。
丸い伊達眼鏡をかけて、ふんわりフレアのエプロンドレスの裾を翻してターン。
自分の中で、かち、とスイッチが入るのが分かる。
ボクは、『ボク』から『私』に変わる。
ナギ・サイレントオーシャン。
それは私のもうひとつの名前。
鏡の中にいるのは、少年ではなく、柔和で天然そうな雰囲気の少女だ。
私は両手でスカートの裾を掴むと右に左に翻してチェック。
「ん」
問題ない。
私はドアを開けて外に出る。
空には雲一つなく満天の星が光っている。
風は温く、夜のおさんぽにちょうどいい。
星ヶ丘寮は寝子島の西、ちょうど猫の横顔のあごの部分に建っている。セレブな学生たちが多く、寮と言う名のひとつの街だ。一戸建ての部屋部屋を繋ぐ街路を抜けて、海が見える崖の上に出る。
沖に面した左手側には、高級ホテル『ステッラ・デッラ・コリーナ』がまるでシャンデリアみたいにピカピカ光っている。その向こうはセレブのボートやヨットなども係留されている星ヶ丘マリーナだ。
右手側は天宵川と九夜山の裾野で人家もなく暗闇が広がる。
「ここも二つの領域の境目……」
光と闇の境界線の上に立っている。そんな気になる。
そのとき「誰か！」と助けを呼ぶ声がした。
屋外プールの方だ。
私の体は反射的に駆け出していた。
昼間はセレブな寮生たちで賑わう屋外プールだが、この時間は閑散としていて、ほとんど人がいなかった。そんな中でマッチョな男子がプールの縁に掴まって喘いでいる。
「た、助け……足が攣って……！！」
「待ってて。今助けるね」
私は彼の身体を支え、プールサイドに上がるのを手助けした。
「すまん、助かった……」
「どうしてこんな時間にひとりでプールに？」
攣ったという足に触れ、状態を確かめながら私が聞くと、胸筋豊かなマッチョ君は頬染めてぶつぶつ言った。
「恥ずかしい話なんだが……カナヅチでさ。女の子とデートしたとき泳げないなんて言いたくないから、秘密特訓しようかと……」
「そうだったんだね。でも今度から、ひとりはやめた方がいいよ」
「お、おう……」
うなずいたマッチョ君は、そこで、意を決したように私の両手をガシッとつかんだ。
「ところで君、星ヶ丘寮の子？ なんちゅうかその……俺の好みというか……付き合……」
「はいオッケー。筋は痛めてないみたいだよ」
私は最後まで言わせなかった。こういうことは時々あるから、躱すのも慣れている。
『可愛い女の子に治療された』と思っているだろう彼に微笑む。
「どう？ 歩けそう？」
「あ、えっ……と」
告白を中断されて戸惑いながらも、言われるまま歩いてみようとするも。
「痛！」
彼は痛みにしゃがみ込む。
「んー、このままじゃ着替えもままならないね。しょうがないなあ、更衣室まで送っていくね」
私は彼の背中と膝裏に手を差し入れると、そのままよいしょとお姫様抱っこで持ち上げる。
「えっ！？ ま、まさか……！？」
筋肉で見るからに倍ほども重そうな男子をお姫様抱っこする私に、彼は目を白黒。
ないしょだけど、ろっこん＜オーバーヒーリング＞の力だ。
「君、ほんとに誰？」
「私？ ナギだよ」
ニコニコしながらマッチョ君を運ぶ。
明日には謎の怪力美少女現るという噂が、寮中を駆け巡っているかもしれない。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2020年01月02日
- 参加申し込みの期限
-
- 2020年01月09日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2020年01月09日 11時00分
