らっかみ！新春☆初夢宝船フェア２０２０！　～白編～｜リアクション

らっかみ！新春☆初夢宝船フェア２０２０！　～白編～

　『女性限定！　本日３時～１時間スイーツ食べ放題！』

　星幽塔から寝子島に遊びにきた私――リリエル・エーテライトは、キャットロードにあるスイーツ専門カフェの前でこんな張り紙を見つけました。開催時間がまもなくでしたし、Ｂａｒアストラルでアルバイトをするくらいお料理は好きなので、気になってお店に入ってみました。
　寝子島のスイーツって、星幽塔のスイーツとはまた違っていておもしろいのです。手に入る食材こそ違いますが似たものもありますし、もしかしたらＢａｒアストラルの新メニュー開発のヒントになるかもしれないじゃないですか。
　
「いらっしゃいませ！　スイーツ食べ放題にご参加ですか？」
　フリフリのレースエプロンと、メイドさん風のレースカチューシャをつけた、可愛らしい女の子の店員さんが微笑みます。
「はい！」
　私が元気よく伝えると、店員さんは私を席に案内し、メニューを開いて言いました。
「こちらのメニューの中はどれでも食べ放題です。制限時間は一時間となります。参加費は前払いとなりますが宜しいでしょうか？」
　もちろんですとも。寝子島の千円札というもので数枚分の参加費を支払うと、がぜん、元を取ってやらねばという気になってきました！
　店内を見渡すと、１０名ほどの女性がメニューとにらめっこして開始時間を待っています。
　時計の針が３時を指すと、店長さんらしき人が出て来て号令をかけました。
「それではみなさま。スイーツ食べ放題、スタートです。最初のご注文をどうぞ！」
　皆、思い思いのスイーツを注文します。最初に甘すぎるものを食べたら、すぐにお腹がいっぱいになっちゃいそうと思った私は、上品そうな抹茶と小豆のケーキをセレクト。
　万全の準備がなされていたようで、頼んだものはすぐ来ました。
「ん～、抹茶の苦みと小豆の甘みの組み合わせが絶妙です～！」
　ぱくぱくぱくりと平らげると、続いて頼んだのは、苺のマカロン、グレープフルーツのタルト、レモンゼリーにティラミス、バスク風チーズケーキ……。

「お腹いっぱいになってきたけどまだまだ頑張リリエル！　〆はとっておきのフルーツパフェです！」
　メニューをみて、一目で惚れて、最後に食べようと楽しみに取っておいたベリーソースのフルーツパフェ。
「お待たせしましたぁ！」
　店員さんが運んできたそれは、宝石箱のようにキラキラしていて、私の瞳はきゅうんとハートに。
　真っ白なソフトクリームが何重にも渦巻いた純白の峰に、濃厚な紅と紫のベリーソースがとろり。ワッフルとともにキウイやメロン、オレンジなどのフルーツが添えられ、まあるいブルーベリーの実がふんだんに散りばめられていて、なんて、なんて――、
「かわいいんでしょう～～！！」
　思わずうっとり見つめてしまったけれど、見た目だけじゃあパフェの真髄を知ったことにはなりません！
　柄の長いパフェスプーンで、そこの方のソースも絡めつつソフトクリームを掬って、一口ぱくり！
「んんん～～～～っ！！！」
　あまりのおいしさに、私は言葉を失って、スプーンを持っていない方の手で落ちそうになるほっぺたを押さえました。
「思った通り、――いえ、思った以上のおいしさですっ！」
　休む間もなくパフェスプーンを動かしながら考えます。
　モンスターの乳を冷やして、マッスルバニラで香付けして、レインボーベリーのソースをかけて、金剛オレンジやシュガーメロンを添えたら、星幽塔版パフェとしてＢａｒアストラルでも売り出せるかも……？

「……える、リリエル？」
　マスターに肩をたたかれ、私は目を覚ましました。ここは……Ｂａｒアストラルのカウンターです。仕事の休憩時間に突っ伏して眠っていたみたいです。私は夢のことを忘れないうちに、と早口で話しはじめました。
「マスター、新作のアイデアを聞いてください！　とっても甘くて、美味くって、かわいくって、兎に角ステキな『パフェ』って食べ物なんですけど……」