【期末テスト】赤点？満点？？寒風、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？寒風、四日間の死線＜物語編＞

〇水泳部

（どうせボロボロだろうなあ……）
　そう思いながら、水上桜は返ってきたテストを受け取りました。
　テスト期間中はありえないような寒さに見舞われ、そのあまりの尋常でなさに（またしてもフツウかっ！）と普通ならぬフツウを呪いました。
　余りに寒くて、４日もの間、どうやって問題を解いたのかちっとも記憶にありません。
　ひたすら寒かったので、そっちにばかり気をとられていたのでした。
（と思っていたのだけれども……）
　案外、悪くなかった成績に、桜は安堵していました。
　鞄と水泳バッグを手に、教室を出ます。

　今日はテスト明け最初の水泳部の練習の日でした。
「スポセンの温水プールに来るのも久しぶりよね」
　水泳部と家庭科同好会を掛け持ちしている桜ですが、ついこの前、生徒会の会計にもなったため、放課後は結構忙しい身です。
　今日は幸い生徒会も家庭科同好会も重ならなかったので、悩まずに済みました。
　冬の間は寝子島スポーツセンターの温水プールが練習場所になります。
　生徒会の会計になってから、しばらくの間生徒会の方が忙しくて水泳部とご無沙汰していたので、競泳水着に身を包むのも久しぶりでした。

　事前の体操などをこなした後、温水プールの中へ入ります。
（あったかい……）
　屋内はしっかり暖房が効いていて水温も快適なので、プールの景色でなければお風呂気分でリラックスしてしまいそうです。
（っと、練習しなきゃ……ここしばらく泳いでないから、きっと前より遅くなってるよね……）
　軽く一泳ぎしたりしてからクロールの練習を始めました。
　水をかき、足を蹴り、無駄な力を入れないよう気をつけながら、桜は何度もコースを往復しました。
（普通っていいなあ）
　久しぶりの部活を体中で楽しむように、桜は泳ぐのでした。