寝子島と星幽塔、つながる世界｜リアクション

寝子島と星幽塔、つながる世界

●夢の終わり
【星幽塔】
　空が藍色に染まる頃。
「わーい！　星幽塔ランドに戻ってきた！」
「二宮、よころびすぎ。でも、よかった」
　二宮風太と桃井かんなは、ティオレ・ユリウェイスの案内で、無事に街に戻ってきた。
「ああ、桃井さんに二宮君！　無事だったんだねぇ！」
　曖浜瑠樹は、二人の無事な姿を見て、心の底からホッとした声を上げた。
「よかった。本当によかったです」
　一緒に二人を探していたコンノ・グラスハーベルも安堵の表情を浮かべて言う。
「……この子達にケガはないわ。でも、次に森に迷い込んだら、命の保証はできないよ。これに懲りたら、勝手に子供だけで変な場所に行かないこと」
　ティオレが言うと、このときばかりは子供達も殊勝に「「はぁい」」と反省した様子を見せた。
「ありがとうなぁ。おかげで二宮君と桃井さんも無事だったよぉ」
「わたしからもお礼を。本当にありがとうございました」
「別に大したことはしてないと」
　ティオレはぶっきらぼうに言うと、ひらひら背中越しに手を振ってその場を後にした。
「それでは、わたしも失礼しますね」
　コンノもそう言って、その場を辞する。
「じゃあ、オレ達も帰ろうかぁ」
「うん！」
　瑠樹に促され、風太が元気に返事をする。
「……なんで、あんたまだそんな元気なの？」
　すっかりお疲れの様子のかんなが言いつつ、塔で起きた一連の騒動は一件落着となる。
【寝子島】
　アイオ・キャンドライトは方々を探し回り、ようやくパティ・ポップの無事な姿を発見した。
「ああ、よかったですの！　あのままネコさんに食べられたのではないかと！」
「こ、怖いこと言わないでほしいでちゅ！　でも、あなたも無事みたいでよかったでしゅ」
「ええ。おかげさまで機材も視聴者数もばっちしですの！」
　グッと握り拳をつくるアイオの姿を見て、パティも身体を張って助けてよかったと感じた。
「それじゃ、あちし達も帰るでちゅか」
「そうですわね」
　かくして、アイオとパティも無事に塔に帰っていく。

「結局、あんまり稼げなかったわねぇ……」
「オレはイナリズシが美味かったからよかったけどな」
　おひねり（おそなえ？）の稲荷ずしを食べてご満悦のルークと対照的に、フォルカはあまり稼げずにガックリと肩を落としていた。
「まあ、今回も何事もなくてよかったよ。あの子も、寮に送り届けてきたし」
　御剣刀は、ウォータードラゴンを一撃で葬った後、糸が切れたように倒れた水上桜を寮まで背負って送り届け、ついでに塔に帰る二人を見送りに来ていた。
「星幽塔もいいけど、寝子島もいいところだろ？」
「まあ、悪くはなかったわね」
「勇者の心得第０１４条。飯のおいしい街は良い街だってな！」
　二人の反応に、刀は満足そうに笑った。
「じゃあ気をつけて帰れよ」
「おう！　キミもな」
「盗人には気をつけなよ」
　そうして、ルークとフォルカも塔に戻り、刀も帰路に着く。
　神社の境内から見た夕陽も綺麗だったが、フツウを守った帰り道に見上げた月の美しさもまた格別だな、と刀は思った。

「……結局、どこまでが夢で、どこまでが現実だったのかしら？」
　その夜、部屋で目を覚ました桜は、スマホを弄りながら、現実と夢の境界線を探っていた。
『キャンモーニン！　喜矢武あいおですわ！』
　少なくとも、夢でよく見る歌い手の動画は今この瞬間にも実在している。
「……」
　その現実をどう受け止めればいいのか、まだ15歳の桜にはすぐには決められそうになかった。
【了】

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あとがき

担当マスター：水月鏡花
ファンレターはマスターページから！

というわけで、MSの水月鏡花です。
今回はちょっと変わった星幽塔と寝子島のコラボシナリオ（？）でした。
ほしびとPCさんにも、もれいびPCさんにも、そしてひとのPCさんにも、それぞれの星幽塔あるいは寝子島生活を満喫頂けたなら幸いです。
さて、気がつけば、2020年ですが、どうぞ本年も水月鏡花をよろしくお願い致します。
それでは、らっかみに関わる全ての方に感謝を込めて、今回も本当にありがとうございました。
それでは、また次のあとがきでお会いできることを祈って。

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