【寝子祭2nd】『Jewel・BeJewel』｜リアクション

【寝子祭2nd】『Jewel・BeJewel』

☆『Jewel・BeJewel』、開店です！

　そして、開店５分前。
（いよいよか。うぅ、緊張する……）
　滝原レオンは、一度は和らげたはずの表情を、再び固くしていた。
　改めて考えてみれば、出店側としての参加は初めてのことだ。
（でも……頑張るぞ！）
　仲間達の心にも触れたし、レオン自身も、『子どもたち』が沢山の人に見てもらえるよう力を尽くした。
　己の希望で、ドリンク作りなどの裏方を担当するレオンだが、
（だからって、手を抜くのは違うよな）
　と、気合の方は十分だ。
「はぁ……皆で、頑張ったので……何だか、緊張……します……」
　ちらと喫茶スペースの方を覗き込んで、同じく裏方仕事がメインの錦織彩も、ぽそり。
　黒の双眸が、皆の作品が並び、あたたかに飾り付けられた教室を見渡す。
　彩は細く息を吐くと、敢えて、口元に仄かな笑みを乗せてみせた。
（でも、きっと大丈夫。この私の居場所がとても素敵だということ、伝わるはず）
　きゅっと手を握り込んだ、その時。
「……あら、お客さんがいらっしゃいました」
　と、接客スタイルの大塚絽紗がさらりと言った。
「少し早いですが、行ってきますね。……いらっしゃ～い。どうぞ見ていってくださいねぇ」
　開店……を予定していた時間まで、あと２分。
　彩はそっと、最初のお客の方を覗き見て、
「て、展示を、見てくださっています……！　み、見ていただくのは、きき緊張……します……！」
　と、ちょっぴりあわあわ。
　そんな彩の背を、「落ち着け」と、レオンはぽんと軽く叩いた。
「成功させたいんだろ？　ほら、俺達もスタンバイだ」

「裏方は裏方なりに頑張るぞ、っと」
「！　は、はい……っ！」
　彩が頷くのを確認して、レオンは「よし、」と仕事に取り掛かる。
　他の部活などにも用事がある水上桜も、その内に顔を出す予定だ。
「ふふ。楽しい時間になりそうだね」
　七夜あおいの言葉を耳に、表情の強張りをふわりと解いた彩は、仕事の手順を再度確認し始めた。