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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【寝子祭2nd】メイド喫茶で秘密の時間を
ほほう。
キラッとマーガレットは目を輝かせた。
料理を提供し、つぎに迎えた客は、男子学生のふたり組だった。
いずれ劣らぬなかなかの美少年である。
前髪が跳ねていてネクタイをゆるめているほうの彼は、ちょっとワイルドな雰囲気だ。いっぽうでもうひとりの彼は、木陰で読書しているのが似合いそうな色白の子なのだ。
なんとも、そそる。創作意欲をかきたてられる。
ひとりテーブルで黄昏る美少女やイケメンも、それはそれでありですが……。
やはりカップルには、組み合わせの妙というものがあるではないか。
人目を忍ぶようにして並び座って、彼らはどんな睦言をかわすでしょう。甘く指先を絡め合うのでしょう。
いざ唇を重ねる段になれば、内気そうな彼のほうが積極的だったりして――。
ついついにやけてしまう自分にマーガレットは気付いている。
なので隠すべく、
「お帰りなさいませ、旦那さまがた！」
元気に頭を下げたのだ。
「このカレーはしっかり時間かけて煮込み、選び抜いたスパイスが使われています」
と、まゆらに料理を提供して美野梨は、マーガレットの「お帰りなさいませ」の声をきき、そっと振り返った。
ミステリ研らしい癖がでる。それは、つい人を観察してしまうということ。
少年ふたりを案内しながら、マーガレットが瞳をキラキラさせていることにすぐ気がついた。
マーガレットさん、男性のペアが来店してなんだか嬉しそう……？
彼らを席がついてからも、マーガレットはやや離れた位置から、舐めるうような目つきで少年たちを見ている。
思わずフフッと笑ってしまった。いまごろマーガレットの脳内では、どんな物語が展開されていることやら。
このとき料理を目の前にしたまゆらのほうもまた、意識を別の宇宙に飛ばしているのである。
すごく上等な食器……！
カレーが盛られたオーバル皿は、手を触れるのがもったいないくらいの光沢をたたえている。うんと空気のきれいな場所で見る天の川のような乳白色は、ボーンチャイナというものだろう。金の縁取り、青い模様も芸術品だ。もちろんティーカップもソーサーも、同様に飾られている。
これきっと本物の金箔だよね……うう……これフルセットで買ったとしたら自分のバイト代何か月……いや何年分？
哀しいまでに庶民な発想をしてしまうまゆらなのだった。スマホを取り出し撮影したのはもちろんのこと、つい両手を合わせて拝んでしまった。
緊張しいしいカレーを口に運んで、内側から温かいものがひろがっていくような感覚に包まれる。
ああ――。
幸せだと思う。
辛さ控え目コクはまろやか、添え物の揚げたジャガイモと魚のフライの歯ざわりもたまらない。
これで活力が湧いてきて、そうだ、と大胆にもまゆらは思った。
メイドさんとちょっとおしゃべりさせてもらおう。
そして帰るときには……いっしょに記念撮影させてもらっちゃおう！
きっといい思い出になる、と考えるだけでまた幸福感に包まれる。
カレーはとても美味だった。
ポットで提供されたコーヒーを、すごく高そうな食器でいただくと、もうこれ以上なにもいらない、という気持ちになってしまう。
満足だ。満足しすぎたかもしれないくらいに。
「やっと落ち着いてきたなぁ……」
椅子の背にもたれ、碧南はつぶやいている。
ミスコンはやっぱり大変だったし、学祭が終わればまた勉強に将来のことなど、考えるべきことは山積みだ。
だからこそ、この癒しの時間は貴重なんだ――ふと思った。
なにも考えず、ただ時間に身をゆだねるひととき……私だけの秘密の時間。
『メイド喫茶で秘密の時間を』 了
キラッとマーガレットは目を輝かせた。
料理を提供し、つぎに迎えた客は、男子学生のふたり組だった。
いずれ劣らぬなかなかの美少年である。
前髪が跳ねていてネクタイをゆるめているほうの彼は、ちょっとワイルドな雰囲気だ。いっぽうでもうひとりの彼は、木陰で読書しているのが似合いそうな色白の子なのだ。
なんとも、そそる。創作意欲をかきたてられる。
ひとりテーブルで黄昏る美少女やイケメンも、それはそれでありですが……。
やはりカップルには、組み合わせの妙というものがあるではないか。
人目を忍ぶようにして並び座って、彼らはどんな睦言をかわすでしょう。甘く指先を絡め合うのでしょう。
いざ唇を重ねる段になれば、内気そうな彼のほうが積極的だったりして――。
ついついにやけてしまう自分にマーガレットは気付いている。
なので隠すべく、
「お帰りなさいませ、旦那さまがた！」
元気に頭を下げたのだ。
「このカレーはしっかり時間かけて煮込み、選び抜いたスパイスが使われています」
と、まゆらに料理を提供して美野梨は、マーガレットの「お帰りなさいませ」の声をきき、そっと振り返った。
ミステリ研らしい癖がでる。それは、つい人を観察してしまうということ。
少年ふたりを案内しながら、マーガレットが瞳をキラキラさせていることにすぐ気がついた。
マーガレットさん、男性のペアが来店してなんだか嬉しそう……？
彼らを席がついてからも、マーガレットはやや離れた位置から、舐めるうような目つきで少年たちを見ている。
思わずフフッと笑ってしまった。いまごろマーガレットの脳内では、どんな物語が展開されていることやら。
このとき料理を目の前にしたまゆらのほうもまた、意識を別の宇宙に飛ばしているのである。
すごく上等な食器……！
カレーが盛られたオーバル皿は、手を触れるのがもったいないくらいの光沢をたたえている。うんと空気のきれいな場所で見る天の川のような乳白色は、ボーンチャイナというものだろう。金の縁取り、青い模様も芸術品だ。もちろんティーカップもソーサーも、同様に飾られている。
これきっと本物の金箔だよね……うう……これフルセットで買ったとしたら自分のバイト代何か月……いや何年分？
哀しいまでに庶民な発想をしてしまうまゆらなのだった。スマホを取り出し撮影したのはもちろんのこと、つい両手を合わせて拝んでしまった。
緊張しいしいカレーを口に運んで、内側から温かいものがひろがっていくような感覚に包まれる。
ああ――。
幸せだと思う。
辛さ控え目コクはまろやか、添え物の揚げたジャガイモと魚のフライの歯ざわりもたまらない。
これで活力が湧いてきて、そうだ、と大胆にもまゆらは思った。
メイドさんとちょっとおしゃべりさせてもらおう。
そして帰るときには……いっしょに記念撮影させてもらっちゃおう！
きっといい思い出になる、と考えるだけでまた幸福感に包まれる。
カレーはとても美味だった。
ポットで提供されたコーヒーを、すごく高そうな食器でいただくと、もうこれ以上なにもいらない、という気持ちになってしまう。
満足だ。満足しすぎたかもしれないくらいに。
「やっと落ち着いてきたなぁ……」
椅子の背にもたれ、碧南はつぶやいている。
ミスコンはやっぱり大変だったし、学祭が終わればまた勉強に将来のことなど、考えるべきことは山積みだ。
だからこそ、この癒しの時間は貴重なんだ――ふと思った。
なにも考えず、ただ時間に身をゆだねるひととき……私だけの秘密の時間。
『メイド喫茶で秘密の時間を』 了
あとがき
担当マスター：
桂木京介
ファンレターはマスターページから！
ご参加ありがとうございました。ゲームマスターの桂木京介です。
くつろぎと癒し、素敵な食器に雰囲気を提供できるよう工夫してみました。コンセプトは、「こんなメイド喫茶に自分も行ってみたい！」でした（笑）。
楽しんでいただければ幸いです。ご感想を心からお待ち申し上げております。
それではまた、新しいシナリオで皆様と再会できる日を楽しみにしております。
桂木京介でした。
くつろぎと癒し、素敵な食器に雰囲気を提供できるよう工夫してみました。コンセプトは、「こんなメイド喫茶に自分も行ってみたい！」でした（笑）。
楽しんでいただければ幸いです。ご感想を心からお待ち申し上げております。
それではまた、新しいシナリオで皆様と再会できる日を楽しみにしております。
桂木京介でした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年12月08日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年12月15日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年12月15日 11時00分
