【寝子祭2nd】『BAROQUE:CODE』カフェ｜リアクション

【寝子祭2nd】『BAROQUE:CODE』カフェ

　寝子祭の開催まで数日に迫り、自作ゲームを試遊できるカフェを開く事となっているパソコン部は皆が皆、忙しなく作業をしている。

「うん、こっちのフラグも大丈夫か。いなりん、そっちはどう？」
「こっちも大丈夫やねぇ」

　綴柚枝が伏見真へと尋ねてみるも問題はないようだ。
　この二人の担当はゲーム内で使用されるBGMの作成と選択肢を選んだ際のフラグ管理がちゃんと出来ているかのデバッグ作業となっている。

　既にBGMは完成しており、今はデバッグ作業に集中しているのだがこの作業に何日もかけているところだ。
　何せルートだけでも12ルート存在し、バッドエンディングに繋がる選択肢も含めれば数えきれない程のフラグが存在する。
　ゲームは開発中に何度も更新や修正が入っている為、以前は正常に動いた個所も動かなくなっている可能性もある。故に最終作業として最初から通して考えられる全ての組み合わせの選択肢を選んで、ちゃんと動作をするか確認しているというわけだ。

　真達から少し離れたところで史越奈津樹と風見鶏スグリの二人が冊子作りをしていた。
　既にパンフレットと含めて内容や誤字脱字の確認は済ませてあるので、後は冊子という形にするだけだ。
　複数枚の紙を冊子になるように重ねてホッチキスで止めるという作業。そして、パチンと最後の一つが冊子になったところで二人の手が止まる。

「これで終わりっと」
「ア、奈津樹クンの分も終わった？」

　あぁ、終わったと奈津樹が返せばスグリがヨッシャアと腕を上げて背を伸ばす。
　身長の高いスグリにはこういった作業は縮こまってしまって仕方なかったのかもしれない。

「皆作業は一段落した？　それならちょっと当日と同じようにして飲み物を作ってみたから休憩がてら飲んでみてくれない？」

　そう言ってレイ・ブライトンが示したテーブルには湯気が立ち昇る紙コップが人数分程用意されている。
　レイはゲーム作成においてはシナリオ担当だったが、既にシナリオは完成し誤字脱字のチェックも終了しており、その為、レイは寝子祭当日に担当する事になっている飲み物作成のチェックに回っていた。
　オレンジジュースやウーロン茶などはただ入れるだけで問題ないのだが、紅茶とコーヒーはサーバーで淹れる事になっており、その練習をしていたようだ。

「へぇ。美味しい」
「ほんまやねぇ」

　柚枝が一口飲んでそう言えば、真がそれに同意した。
　それを見て、スグリと奈津樹もまた続くように紙コップを手にする。
　それぞれの準備は万端と言える。そして、その日は瞬く間にやって来た。

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