誰か、あそぼうよー！｜リアクション

誰か、あそぼうよー！

【11月のWデート前編】
　その日、城山水樹は恋人のヒュー・ヒューバートと一緒に、寝子島駅でモデル仲間の檜原友美がやってくるのを待っていた。
「そういえば、友美の彼氏ってどんな人だっけ？　初めて会うよね」
「そうだね。でも、水樹は写真ぐらいは見せてもらったことあるんだろ？」
　ヒューの言葉に、水樹は「うーん」と曖昧な返事をする。
　正直、あまりよく憶えていないのだった。
「みずきー！」
　と、そのとき駅の奥から友美が大きく手を振りながら現れた。その隣に、彼女の恋人と思しき男性の姿もある。
「あ、あの二人みたいだね」
　ヒューの言葉に、水樹も頷いて
「そうね。友美―、久しぶり！」
　と、友人に駆け寄った。
友美が紹介によると、彼の名前は高丘大地といい、水樹や友美と同い年で獣医志望らしい。
「友美から、猫がたくさんいる島がいるって聞いて、来るのを楽しみにしてたんだ」
　自己紹介もそこそこに砕けた口調でそう言って笑う大地を見ていると、本当に猫好きなのがよく伝わってきた。
「じゃあ、猫がたくさんいそうな場所も含めて、あちこち案内するよ。行こうか、水樹」
「ええ」
　そう言って、4人は寝子島のあちこちの猫出現スポットをまわった。
「ヒュー、皆で写真撮りましょうよ。カメラ、持ってきてるでしょ？」
「ああ。じゃあ、その狛猫の前で皆並んで」
　島有数の隠れ猫スポットである寝子島神社で、ヒューはカメラをタイマーでセットする。
「もちろん、この子達も一緒に撮るんだよな？」
　と、野良猫を抱える大地。
「あ、じゃあヒューも猫ちゃん抱っこしてよ。ほら、このテオに似てる子」
「……え？」
　タイマーをセットしてやってきたヒューは水樹にいきなり目つきの悪い猫を手渡されて少し慌ててしまう。
と、そこに猫がすかさずネコパンチ。
「う、うわっ！？」
　慌てるヒューとその微笑ましい様子に笑う水樹と友美と大地。
　そんな4人の姿を捉えた一枚は、きっと本日のベストショットになるだろう。