誰か、あそぼうよー！｜リアクション

誰か、あそぼうよー！

【親子で大観覧車】
　澪乃湊弥と古苗木美姫は悠美を連れて、大観覧車に乗り込んだ。
「ほら、悠美、あの少し大きいのがさっきいた大学だよ」
　湊弥が窓の向こうに見える木天蓼大学のキャンパスを指差しながら言う。
「すごーい！　あんなにちっちゃくなってるよ！」
　悠美は地上で見上げた景色と、観覧車から見下ろす景色の違いに驚き、きゃっきゃとはしゃぐ。
　そんな無邪気な悠美の横顔を見て、湊弥も改めて窓の外の景色に目をやる。
　大学のキャンパスのみならず、木々の生い茂る九夜山や、昔ながらの街並みを残す旧市街までも一望できる大観覧車は観光客のみならず島民にも人気が高かった。
「すごい眺めだよなあ、古苗木さ……」
　と、言いかけたところで
「……じゃなくて、ママ」
　慌てて、湊弥はそう言い直す。悠美にとって、美姫はすでに古苗木ではないのだ、という事実に思い至ったからだ。
　その言葉に、
「そうね。まるで街がミニチュアみたい。パパのおうち、見える？」
　美姫も微笑みながら、悠美と一緒に外の景色を眺め始める。
　それから、湊弥と美姫は寝子島の目立つ建物をひとつひとつ指差して悠美に教えた。
　小さな子供でもわかりやすい言葉を使って様々なスポットを説明する湊弥と美姫。
　そして、その一つ一つに目を輝かせながらうんうんと頷く悠美。
　そんな3人の様子は、まさに仲良し親子そのものだった。

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