【中間テスト】居眠り厳禁！　ペンを離すな！｜リアクション

【中間テスト】居眠り厳禁！　ペンを離すな！

●恵御納夏朝の場合
　その日、恵御納夏朝は気合を入れて、社会科の試験に臨もうとしていた。
（勉強は……元々は普通（平均近く）だったけど、将来、どの進路にも進めるようにと勉強にもより力を入れてきたんだ）
　大きな試験場で、試験問題と解答用紙が各生徒に配布される音を聞きながら、夏朝は目を閉じて今日まで頑張ってきた「猫さん勉強法」のことを思い出す。
　猫さん勉強法。
　それは連想記憶法の一種で、キーワードとなる単語のそばに猫さんのイラストを描いて関連づけることで、大好きな猫から連想して答えを想い出すという記憶法だ。
（目指すは、全科目平均90点以上……！）
　簡単ではないが、相応の努力を重ねてきた夏朝であったから、それなりの自信はあった。
　はっきり憶えているところを先に解き、なんとなく憶えているところを猫さんを頼りに記憶をはっきりさせていく。
（ここは三毛猫さんの部分だから――こうだッ！）
　最初は、動き出したペンが止まらないほどだった。
　が、だんだんとわからない問題も出てきたあたりから、ふいに眠気が襲ってきた。
（……う、なんだか眠く……）
　周りの生徒達の解答用紙を埋めるペンの音が遠のき、昨日自分で描いたイラストの猫さんが夏朝に近づいてくる。
　ありていに言って、半分寝ている。が、心地良い睡魔に抗えない。
　可愛らしいイラスト猫が夏朝にそっと添い寝して――
（……添い寝猫さん、それだーーーー！）
　と、そこで寝ぼけていた夏朝の意識が覚醒した。ちょうど思い出せなかった答えが、添い寝猫と結びついていたのだ。
　思わず立ち上がって快哉を叫びかけたが、そこはグッと堪えた。
（……っていうか、あやうく寝るところだった。でも、これなら――）
　そこからは調子を取り戻し、なんとか解答用紙を全て埋めることに成功した。
　見直しと修正も念入りに行い、試験終了後の手ごたえは上々といったところだろうか。
「……今回は神魂の影響もなかったみたいだし、良かった。あ、でも、時間配分は見直さないと……！」
　平和に終わった試験に安堵しつつ、時間配分の見直しを決意し、夏朝は明日以降の試験へ意欲を燃やした。

このページにイラストを設定する