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【演劇祭】ＮＫ３-寝子高３年連合- 海賊奇譚
★海賊奇譚（真剣勝負～雷神の怒り）
水簾と蛍の戦いが続く中、真艫は、楔へと、己の刀を突き出しました。
「俺の相手をしてくれないか？ 船医さんよ」
真艫の眼差しと楔の眼差しが、静かに、けれど冷えた空気を纏ってぶつかり合います。
じきに、楔は、氷の微笑をそのかんばせに乗せました。
「いいでしょう。私の愛しい刀も、丁度、暴れたがっているようですから」
◇
呉井 陽太の用意した曲が流れ始め、志波 武道と高梨 煉の姿をスポットライトが照らす。
澄んだ明かりの下、武道は、胸の内に呟いた。
（……練習のときはドキドキだったが、本番は腹くくったのか怖くないな！）
今から始まるのは、ワイヤーアクションを駆使しつつの真艫と楔の戦闘シーン。
宙を舞いながら刀を振るい、歌声までも轟かせるのが武道と煉の仕事だ。
海賊団の団員に扮した宇佐見 望月が、舞台袖の仲間に、観客にはわからないよう合図を送る。
（行くぜ、ブドー！）
（かっこよく決めよう、れんちゃん！）
視線を交わしたと同時、煉と武道の身体は、ふわりと宙に浮いた。
◇
風神の刀はくるりくるりと変幻自在に、氷神の刀は鋭くもしなやかに踊ります。
「さあ、真剣勝負だ！」
真艫の声が、辺りに朗々と響きました。
刀と刀 ぶつかり合う
火花散らし 共に舞い踊れ
俺の刀は風 刹那の閃き お前を逃がさない
真艫の刀が生むかまいたちが楔を襲います。
けれど、楔も負けてはいません。
刀と刀 ぶつかり合う
火花散らし 共に舞い踊れ
私の刀は氷 夢幻の煌めき 貴方を切り裂く
どちらも一歩も引かない、互角の勝負。
傷付きながらも、２人の闘志は衰えることを知りません。
刀と刀 ぶつかり合う
火花散らし 共に舞い踊れ
妥協は知らぬ 真剣勝負
果て無き戦に 今こそ 決着を
◇
武道と煉が歌い終え、舞台に、危なげなく着地する。
水簾と蛍――桐野 正也と森篠 琳子の舞台上での戦いも終わった。
或いは肩を押さえ、或いは膝をつき、或いは肩で息をし、或いはよろめく４人。
『神宿る刀』の使い手達がその疲弊を演じている中を、望月が駆けた。
北里 雅樹が作った精巧な祠、そこに祭られている刀へと望月は手を伸ばす。
◇
「この刀があれば、もう……！」
海賊団の団員のひとり・徒波（あだなみ）が、雷神の刀を天に突き上げた、その時。
青い雷が、雷神の刀に向かって落ちました。
◇
（ここで、暗転！）
望月が思ったのと、陽太が照明を落としたのは同時。
岩の書割の裏で素早く茶色の隈取を己に施した望月の姿を、スポットライトが闇に浮かび上がらせる。
（来た！ 振り向いて、台詞台詞！）
◇
徒波が纏う空気が、見る間に変わります。
『我が眠りを妨げる者は貴様等か？』
その口が、厳かに音を紡ぎました。
◇
舞台裏で、陽太は、胸をどきどきとさせる。
（映像も、効果音も。迫力たっぷりだ）
己の用意した映像が、音が、劇に圧倒的な存在感を与えているのが、何とも嬉しい。
（このままクライマックスまで、突っ走るよぅ！）
一方、ワイヤーアクションで宙へと浮かび上がった望月は、
（台詞終わったー！ 後は叫び声だけだ、暴れ回ってやる！）
という具合で、半ば自棄になっていた。
◇
雷神をその身に宿した徒波が、耳を塞ぎたくなるような声で咆哮します。
雷を纏った刀を振り回し、一行に襲い掛かる徒波。
「う……うわああああっ！」
海賊団の団員のひとりが、恐怖に錯乱して徒波へと向かっていき、あっさりと斬られました。
その身体が、力なく崩れ落ちます。
◇
舞台上に倒れ伏して、名もなき団員役の雅樹は、密やかに息を吐いた。
（精々派手に目立つように死んでやるって思いながら突進したけど……）
観客達が息を飲んでいるのを感じ取って、「まあ、成功かな」と雅樹は胸中に笑む。
楔役として舞台に立つ武道は、
（さぁ、最大の魅せ場だ）
と、クールで妖艶な表情を保ちながら、心の中に熱を燃やした。
◇
「はっ、雷神に飲まれてまさしくカミナリ様ってか。あはれなもんだ」
神の力を宿す強敵を前に、けれど水簾はいっそ楽しげに笑みます。
楔が、刀を構えたまま、冷めた眼差しを水簾へと向けました。
「言っている場合ですか。全く、貴方達のせいで面倒事になりました」
「楔、どうするの？」
楔を守るように立ち、刀の切っ先を徒波へと向ける蛍が、短く問います。
その時――真艫が、思いもよらないことを言いました。
「一時休戦しないか？」
「何？」
「そう怖い顔をするな。どうせ、あいつを倒さなきゃ、刀は手に入らねぇだろう？」
蛍はキッと真艫を睨みましたが、
「仕方ありませんね、船を守る為です。くれぐれも遅れは取らないで下さいよ？」
と、楔がため息混じりながらも確かにそう応じ、ならばと蛍も引き下がります。
「まぁ、このまま雷を落とされるのは嫌だし、やってやろうじゃねぇか」
と、水簾も渋々ながら頷きました。
「なお、私達の団員以外治療はしませんので悪しからず」
楔の言葉に、真艫がやれやれと首を振ります。
水簾が、瞳を爛々、声を張りました。
「何でもいいさ。そら、みんなで鬼退治だ！」
水簾と蛍の戦いが続く中、真艫は、楔へと、己の刀を突き出しました。
「俺の相手をしてくれないか？ 船医さんよ」
真艫の眼差しと楔の眼差しが、静かに、けれど冷えた空気を纏ってぶつかり合います。
じきに、楔は、氷の微笑をそのかんばせに乗せました。
「いいでしょう。私の愛しい刀も、丁度、暴れたがっているようですから」
◇
呉井 陽太の用意した曲が流れ始め、志波 武道と高梨 煉の姿をスポットライトが照らす。
澄んだ明かりの下、武道は、胸の内に呟いた。
（……練習のときはドキドキだったが、本番は腹くくったのか怖くないな！）
今から始まるのは、ワイヤーアクションを駆使しつつの真艫と楔の戦闘シーン。
宙を舞いながら刀を振るい、歌声までも轟かせるのが武道と煉の仕事だ。
海賊団の団員に扮した宇佐見 望月が、舞台袖の仲間に、観客にはわからないよう合図を送る。
（行くぜ、ブドー！）
（かっこよく決めよう、れんちゃん！）
視線を交わしたと同時、煉と武道の身体は、ふわりと宙に浮いた。
◇
風神の刀はくるりくるりと変幻自在に、氷神の刀は鋭くもしなやかに踊ります。
「さあ、真剣勝負だ！」
真艫の声が、辺りに朗々と響きました。
火花散らし 共に舞い踊れ
俺の刀は風 刹那の閃き お前を逃がさない
真艫の刀が生むかまいたちが楔を襲います。
けれど、楔も負けてはいません。
火花散らし 共に舞い踊れ
私の刀は氷 夢幻の煌めき 貴方を切り裂く
どちらも一歩も引かない、互角の勝負。
傷付きながらも、２人の闘志は衰えることを知りません。
火花散らし 共に舞い踊れ
妥協は知らぬ 真剣勝負
果て無き戦に 今こそ 決着を
◇
武道と煉が歌い終え、舞台に、危なげなく着地する。
水簾と蛍――桐野 正也と森篠 琳子の舞台上での戦いも終わった。
或いは肩を押さえ、或いは膝をつき、或いは肩で息をし、或いはよろめく４人。
『神宿る刀』の使い手達がその疲弊を演じている中を、望月が駆けた。
北里 雅樹が作った精巧な祠、そこに祭られている刀へと望月は手を伸ばす。
◇
「この刀があれば、もう……！」
海賊団の団員のひとり・徒波（あだなみ）が、雷神の刀を天に突き上げた、その時。
青い雷が、雷神の刀に向かって落ちました。
◇
（ここで、暗転！）
望月が思ったのと、陽太が照明を落としたのは同時。
岩の書割の裏で素早く茶色の隈取を己に施した望月の姿を、スポットライトが闇に浮かび上がらせる。
（来た！ 振り向いて、台詞台詞！）
◇
徒波が纏う空気が、見る間に変わります。
『我が眠りを妨げる者は貴様等か？』
その口が、厳かに音を紡ぎました。
◇
舞台裏で、陽太は、胸をどきどきとさせる。
（映像も、効果音も。迫力たっぷりだ）
己の用意した映像が、音が、劇に圧倒的な存在感を与えているのが、何とも嬉しい。
（このままクライマックスまで、突っ走るよぅ！）
一方、ワイヤーアクションで宙へと浮かび上がった望月は、
（台詞終わったー！ 後は叫び声だけだ、暴れ回ってやる！）
という具合で、半ば自棄になっていた。
◇
雷神をその身に宿した徒波が、耳を塞ぎたくなるような声で咆哮します。
雷を纏った刀を振り回し、一行に襲い掛かる徒波。
「う……うわああああっ！」
海賊団の団員のひとりが、恐怖に錯乱して徒波へと向かっていき、あっさりと斬られました。
その身体が、力なく崩れ落ちます。
◇
舞台上に倒れ伏して、名もなき団員役の雅樹は、密やかに息を吐いた。
（精々派手に目立つように死んでやるって思いながら突進したけど……）
観客達が息を飲んでいるのを感じ取って、「まあ、成功かな」と雅樹は胸中に笑む。
楔役として舞台に立つ武道は、
（さぁ、最大の魅せ場だ）
と、クールで妖艶な表情を保ちながら、心の中に熱を燃やした。
◇
「はっ、雷神に飲まれてまさしくカミナリ様ってか。あはれなもんだ」
神の力を宿す強敵を前に、けれど水簾はいっそ楽しげに笑みます。
楔が、刀を構えたまま、冷めた眼差しを水簾へと向けました。
「言っている場合ですか。全く、貴方達のせいで面倒事になりました」
「楔、どうするの？」
楔を守るように立ち、刀の切っ先を徒波へと向ける蛍が、短く問います。
その時――真艫が、思いもよらないことを言いました。
「一時休戦しないか？」
「何？」
「そう怖い顔をするな。どうせ、あいつを倒さなきゃ、刀は手に入らねぇだろう？」
蛍はキッと真艫を睨みましたが、
「仕方ありませんね、船を守る為です。くれぐれも遅れは取らないで下さいよ？」
と、楔がため息混じりながらも確かにそう応じ、ならばと蛍も引き下がります。
「まぁ、このまま雷を落とされるのは嫌だし、やってやろうじゃねぇか」
と、水簾も渋々ながら頷きました。
「なお、私達の団員以外治療はしませんので悪しからず」
楔の言葉に、真艫がやれやれと首を振ります。
水簾が、瞳を爛々、声を張りました。
「何でもいいさ。そら、みんなで鬼退治だ！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年09月15日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年09月22日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年09月22日 11時00分
