ずばっと解決！　生徒会疾風伝！｜リアクション

ずばっと解決！　生徒会疾風伝！

◆青い空と希望の灯、にゃんこ行路

「あっ、そうだ。目安箱に何書こう」

　がらりと戸が開いて隙間から夏朝の顔が覗く。図書委員の仕事を終えた彼女は、悩みに悩んでいたそれが頭から抜けていたことに気付いた。気付いた途端うーん、うーんと唸りだす彼女であったが、猫に囲まれた修を見つけて立ち止まる。

「これなあんだ」
「オヤツ？　僕も……猫さん撫でてもいい？」
「もちろん。こしあん達と遊ばないか？　天気も良いし外で」

　三匹の猫は彼の足元でにゃーん、にゃーんと人懐っこそうに鳴いていた。夏朝は彼らをもふもふと撫でると、ふわふわの毛並みや気持ちよさそうな表情に和む。すると、どこかから猫が現れた。

「裏の山から来た猫かな。君達もどうだい？」

　三匹から五匹に増えた猫たちは夏朝の周りでごろろと鳴いている。中庭はもはや猫さん天国であった。

　

「……初めまして、一年生の喜屋武あいお」

　一方その頃、放課後の屋上で三人を待っていたのは、青い猫耳飾りの付いた帽子を被り、寝子高の制服を着た少女だった。彼女は三人が生徒会のメンバーであることを確認するとぺこりと礼をして、震える手で帽子を取る。

「いえ、星幽塔一階世界から来たほしびとのアイオ・キャンドライトですわ」

　そうしてぴょこぴょこ動く猫耳が露わになると、アイオはばっと頭を下げた。

「今まで勝手に入り込んでいてすみませんでした！　一人でいるぐらいなら正体を明かしてでも、誰かと友達になりたかったですわー！」

　それから屋上はしんと静まり返る。時が経つにつれてアイオの表情は曇っていった。

「いいよ」
「えっ」

　沈黙を破ったのは五郎八の声である。アイオは恐る恐る頭を上げて三人の顔色を伺った。

「まぁなんていうか、校外で彼方此方遊ぶ分には問題ないからねぇ」
「友達になってくれるんですか？　よ、よかったですわ……」

　胸を撫で下ろしているアイオに五郎八は微笑んで、武道を一瞥する。彼もそれを合図に一歩前に出て、ポケットから何かを取り出した。

「それでもう一つ、会長からプレゼント」

　差し出されたそれを受け取ると、アイオは目を丸くする。

「これは……」
「高校見学の許可証でっす！　これなら先生に遭遇しても大丈夫！」

　武道の星の弾けるような明るい声を聴くと、彼女はもう一度深々と頭を下げた。

「ありがとうございます！」
「せっかくだから、校内も見て回ろうか」

　アイオは帽子を被り直すと、三人に付いていった。アイオの姿を不審そうに見る者は居らず、噂話をする者がいても転校生か否かといった調子である。そうして学食に着くと、陽太の勧めに従ってプリンを食べた。

「このプリン美味しいんだよぅ」

　そうやって校内を散策していると、中庭で夏朝と修に出会う。夏朝は三人を見かけるとぱたぱたと近づいた。

「なにか手伝えることはありますか？」
「おっ、ちょうどよかった。寝子島の猫のこと、教えてあげて」
「はい！」

　中庭の猫たちは興味深そうにアイオのことを見上げている。夏朝はその中の一匹を抱き上げると、肉球を揉みながら口を開いた。

「えっと、この猫さんは――」
「かわいいですわ！」

　アイオは猫に囲まれながらゆるゆると和んだ顔になる。夏朝がその様にホッとしていると、誰かに肩を叩かれた。振り向くとそこには修がある。修は開封済みの封筒を彼女に見せた。

「そういえばこれなんだけど、どうしたんだ？」

　中には夏朝の思考が記されている。夏朝は入れた覚えのないそれに唖然として、気まずそうに修と視線を合わせた。

「まさか、思っただけなのに……入って、た？」

　修はなんとも言えない顔で夏朝を見ている。彼女は顔を赤らめると、ばたばたと手を振った。

「あ、え、えーと……ほ、他の皆には内緒でー！」

　猫を撫でているとチャイムが鳴り、下校を促す放送が流れた。五郎八はアイオにウインクして、その手を握る。たむろする生徒の間を行きながら、彼らはシーサイドタウンの街並みを眺める。

「下校して寄り道、いってみよっか」
「青春といえば海だよな、海行こうぜ！」

　そうして彼らは夕日に向かって走り出した。生徒会の活躍はまだまだ続きそうだ。

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あとがき

担当マスター：六原紀伊
ファンレターはマスターページから！

六原です。この度はご参加いただきありがとうございました。
生徒会の皆さんと生徒ＰＣさん、ほしびとの方との交流を精一杯書かせていただきました。
ご期待に沿うものとなっていたら幸いです。

次回ガイドですが、未定です。またご縁がありましたらよろしくお願いします。
それでは、ご参加ありがとうございました。

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