ずばっと解決！　生徒会疾風伝！｜リアクション

ずばっと解決！　生徒会疾風伝！

◆ずばっと解決開始！　２

『起きたらしっかり朝日を浴びるといいらしいですよ！』
「あら」

　武道からの手紙を読んで、四十九院鸞は淑やかに微笑んだ。職員室の隅、キィ、と椅子を回して彼女は陽太と修に視線を合わせる。陽太は緊張しながらもいつもの笑顔で口を開いた。

「母さんに低血圧に効果があるアロマテラピーは何か訊いたら、『ローズマリーのエッセンシャルオイルがオススメよー』って教えてくれました」

　黒き物理教師はその答えを面白そうに聞いている。陽太の言葉の後に、修が続く。修のことも彼女はにっこりと観察していた。

「低血圧が良くなったら目覚めも良くなるかも」
「俺からはハーブティーと早寝をおすすめします」

　二人の言葉を聞くと、鸞は頷く。そうして優雅に一礼した。

「試してみるわ。ありがとう」

「カッコイイ眼鏡をかけるのはどうでしょーか！」
「俺には存在感あるんですけどね」
「そうかな。カッコイイ眼鏡か……憶えてもらえるといいなぁ」

　陽太と修は職員室の、黒崎俊介の居る一角に向かい彼の悩みに答える。どこかもやもやした様子の俊介に、修が武道からの手紙を渡した。

「あと、これは会長からです」
『リサイタルを行うのはどうでしょう？　かっこよく登場して歌えばインパクト大ですよ！』

　彼は納得したようだったが、今度はリサイタルの方で頭を悩ませる。

「リサイタルか……スポットライトが当たるみたいに出来ないかな」
「スポットライトですか……一寸やってみます」

　修は若干思案して、陽太の方を見た。生徒会側でも何か考えがあるようだった。俊介は二人に期待の眼差しを向ける。ちょうどその時、かちりと時計の針が動いた。授業開始まで間もない。二人は一旦職員室を出た。

「エレナちゃんだろーなぁ」
「でしょうね」

　休み時間、二人は剣崎エレナの元へ向かう。エレナは二人を見ると目を丸くして、二人の言葉にますます驚いた。

「ど、どうしてわかったの！？」
「なんとなく？」

　陽太は首を傾げつつ、話題をエレナの相談事に移す。

「リサイタルなんだけど、どこか借りられないか会長が聞いてるよぅ」
「本当？」

　エレナの目がきらりと光った隙を逃さず、陽太は続けた。

「あとオレ、ポスターやチラシ作るの得意だし、イメージを伝えてもらえたら描いてみるよぅ」
「あ、ありがとう……」
「会長からもお手紙があります」

　こうしてエレナが構想を練っているところで、修がポケットから武道の手紙を取り出す。彼女はそれを開くと、どこかで見たことがあるような、ないような名前に眉をひそめた。

『黒崎先生に話を振ってみると吉！』
「黒……誰？」
「元教頭先生です」

　修が補足すると、エレナは納得したように手紙を折り直す。修はついでとばかりにこう提案した。

「演劇イベントで歌劇とか、歌で劇間を繋ぐのはどうでしょう」
「それもいいわね。考えてみるわ」

　後々俊介にも提案する予定のそれを言って、エレナの笑顔を引き出す。これで彼女の悩みもひと段落といったところか、二人は教室を出た。

「あとは……洋二君」
「確か別の日に別の方と一緒にですよね？」
「そうそう。ちょっと待ってもらうことになるねぃ」

　最後に鷹取洋二の相談を解決といきたいところだったが、それはまた後日。

「よっし、一旦戻ろう！」

　陽太はそう言うと、生徒会室へ向かった。

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