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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
Twinkle☆winking
乙女の朝は早い。
それは身支度に時間がかかるからだとか、美しさを維持するためにランニングに出るからではなく。
（早朝、東の方向を向いて……）
佐和崎 紗月はパジャマの上から上着を羽織って、家の敷地内で東の空が見える場所へ来た。やっと空が白み始めた薄暗い中、暖を取るように息を吐けば、それは白くキラキラと揺らめく。
別段、聞いた話では外に出るとは言ってなかったのだけれど、こうして冷えた空気にあたると頭の中がクリアになって、気持ちが研ぎ澄まされていく気がする。
（願い事が叶うだなんて、ホントかな）
そうは思っても、恋人とのささやかな時間ぐらい願ったって、バチは当たらないだろう。
「さ、わ、ざ、き……」
自分の名前を呟きながら、想い人の名前の文字数分ウインクすると、願い事が叶う。
だとすれば、紗月のウインクの数は６回だ。
「……さつ、き」
自分の名前と文字数が違うから、タイミングがズレてしまってないだろうか。
（今年のクリスマスは二人で過ごせますように）
ささやかだけど、贅沢な願い事。恋人同士でも、面と向かって本人にはお願いできない。
なぜなら、思い人は忙しい。去年はグラドルの仕事、今年は休業中とはいえ受験を控える身。……その上、受験が失敗したら引退だなんて条件を課せられているのだ。
そんな事態にならないよう、できる限りサポートしている自分から約束をとりつけるわけにもいかない。この半年ほどで彼女が成長したことも、グラドルが天職だということもわかっている。
「……私は、嫌らしい女かな」
それでも願ってしまうくらいはいいだろうか。
紗月はそっと、明るくなってきた空にもう一度強く祈りを捧げた。
紗月がおまじないを終えて部屋に戻る頃、初瀬川 理緒は何かに呼ばれたように目を覚ました。
「んー……？ うわ、まだ６時半じゃない……」
昨日は参考書を目標ページまで解いた後、寒さで手足が荒れないようにと、遅くまで熱心にクリームを塗り込む傍らマッサージに励んでいた。
寝るのが遅くなったので、今日はちょっぴり寝坊の気分だったのに。スッキリ目覚めてしまって２度寝も出来そうにない。
（紗月……は、さすがに寝てるわよね。こんな時間に電話するわけにもいかないし）
でも、誰かに呼ばれた気がした。何か変な夢でも見ていたのだろうか？
起きようか、まだ布団のぬくぬくとした柔らかさに包まれていようか。理緒は暫し贅沢な悩みを楽しむように、スマートフォンでねこったーを眺めてみる。タイムラインでは、ロードワークに行ってくるというグラドル仲間の呟きがあって、やっぱり負けてられないと布団を蹴飛ばす勢いで起き上がった。
受験が終わるまで、仕事はお休み。だからといって身体を甘えさせれば、復帰したときに泣きを見るのは自分だ。
トレーニングウェアに着替えながら、忙しなく更新されるねこったーのタイムラインをちらりと見る。オールで遊んでいた先輩、朝活のために眠気と戦う人。時間は平等に有限なのだと、しみじみ思う。
（体育祭みたいに、紗月とまだまだ学校での思い出を作れるかな）
仕事で忙しかった後悔と言うよりも、残された学校生活でどんな思い出が作れるだろう。そんな前向きな気持ちの中で、気になる呟きが目に入った。
「願いの叶うおまじない？」
これが広告の類いなら、うさんくさいと思っただろう。しかし、フォローしている人の呟きだし、リプライでは色々なウインクのおまじないについてコメントがついている。
（好きな人の名前の字数分ウィンクしたら願い事が叶う……来年の受験で合格しますように、とか？）
さすがに虫が良すぎるか。理緒は苦笑して、改めて願い事を考える。
（グラドルのことも、自分で叶えたいし……あっ、気晴らしになるようなことはほしいかな）
出かけようと思っていた足を、机に向ける。確か気になるダイレクトメールが届いていたはずだ。
理緒はショッピングモールのバーゲンの告知やブティックからの新作案内などのダイレクトメールの中から、駅ビルmiaoの抽選会のお知らせを見つけた。目玉の景品は、星ヶ丘のステッラ・デッラ・コリーナで行われるスイーツバイキングの無料招待券。しかもペアチケットだ。
「当たればいいなぁ……」
仕事柄、体重管理と体型維持も契約の中にあるので、あまり食べまくるわけにもいかないけれど。それでも、仕事に忙しいと言って、今度は受験が忙しいと言って。のんびり紗月とデート出来るチャンスにまで嫌だ駄目だと言いたくない。
「叶うって決まったわけでもないしね。叶ったら気晴らしのデートを楽しめってことだし」
スイーツを前にした紗月の笑顔を思い浮かべる。きっと最初は１人だけ楽しむわけにはと遠慮がちにするけれど、今日は特別だと笑って自分が食べれば、紗月も喜んでくれるだろう。
（さ、わ、ざ、き、さ、つ、き）
願掛けのように、ハガキに向かってウインクを７回。あとは、この抽選会に参加するだけ。
理緒は話半分に思いつつも、抽選会を楽しみにしながらロードワークに出ることにした。
それは身支度に時間がかかるからだとか、美しさを維持するためにランニングに出るからではなく。
（早朝、東の方向を向いて……）
佐和崎 紗月はパジャマの上から上着を羽織って、家の敷地内で東の空が見える場所へ来た。やっと空が白み始めた薄暗い中、暖を取るように息を吐けば、それは白くキラキラと揺らめく。
別段、聞いた話では外に出るとは言ってなかったのだけれど、こうして冷えた空気にあたると頭の中がクリアになって、気持ちが研ぎ澄まされていく気がする。
（願い事が叶うだなんて、ホントかな）
そうは思っても、恋人とのささやかな時間ぐらい願ったって、バチは当たらないだろう。
「さ、わ、ざ、き……」
自分の名前を呟きながら、想い人の名前の文字数分ウインクすると、願い事が叶う。
だとすれば、紗月のウインクの数は６回だ。
「……さつ、き」
自分の名前と文字数が違うから、タイミングがズレてしまってないだろうか。
ささやかだけど、贅沢な願い事。恋人同士でも、面と向かって本人にはお願いできない。
なぜなら、思い人は忙しい。去年はグラドルの仕事、今年は休業中とはいえ受験を控える身。……その上、受験が失敗したら引退だなんて条件を課せられているのだ。
そんな事態にならないよう、できる限りサポートしている自分から約束をとりつけるわけにもいかない。この半年ほどで彼女が成長したことも、グラドルが天職だということもわかっている。
「……私は、嫌らしい女かな」
それでも願ってしまうくらいはいいだろうか。
紗月はそっと、明るくなってきた空にもう一度強く祈りを捧げた。
紗月がおまじないを終えて部屋に戻る頃、初瀬川 理緒は何かに呼ばれたように目を覚ました。
「んー……？ うわ、まだ６時半じゃない……」
昨日は参考書を目標ページまで解いた後、寒さで手足が荒れないようにと、遅くまで熱心にクリームを塗り込む傍らマッサージに励んでいた。
寝るのが遅くなったので、今日はちょっぴり寝坊の気分だったのに。スッキリ目覚めてしまって２度寝も出来そうにない。
（紗月……は、さすがに寝てるわよね。こんな時間に電話するわけにもいかないし）
でも、誰かに呼ばれた気がした。何か変な夢でも見ていたのだろうか？
起きようか、まだ布団のぬくぬくとした柔らかさに包まれていようか。理緒は暫し贅沢な悩みを楽しむように、スマートフォンでねこったーを眺めてみる。タイムラインでは、ロードワークに行ってくるというグラドル仲間の呟きがあって、やっぱり負けてられないと布団を蹴飛ばす勢いで起き上がった。
受験が終わるまで、仕事はお休み。だからといって身体を甘えさせれば、復帰したときに泣きを見るのは自分だ。
トレーニングウェアに着替えながら、忙しなく更新されるねこったーのタイムラインをちらりと見る。オールで遊んでいた先輩、朝活のために眠気と戦う人。時間は平等に有限なのだと、しみじみ思う。
（体育祭みたいに、紗月とまだまだ学校での思い出を作れるかな）
仕事で忙しかった後悔と言うよりも、残された学校生活でどんな思い出が作れるだろう。そんな前向きな気持ちの中で、気になる呟きが目に入った。
「願いの叶うおまじない？」
これが広告の類いなら、うさんくさいと思っただろう。しかし、フォローしている人の呟きだし、リプライでは色々なウインクのおまじないについてコメントがついている。
（好きな人の名前の字数分ウィンクしたら願い事が叶う……来年の受験で合格しますように、とか？）
さすがに虫が良すぎるか。理緒は苦笑して、改めて願い事を考える。
（グラドルのことも、自分で叶えたいし……あっ、気晴らしになるようなことはほしいかな）
出かけようと思っていた足を、机に向ける。確か気になるダイレクトメールが届いていたはずだ。
理緒はショッピングモールのバーゲンの告知やブティックからの新作案内などのダイレクトメールの中から、駅ビルmiaoの抽選会のお知らせを見つけた。目玉の景品は、星ヶ丘のステッラ・デッラ・コリーナで行われるスイーツバイキングの無料招待券。しかもペアチケットだ。
「当たればいいなぁ……」
仕事柄、体重管理と体型維持も契約の中にあるので、あまり食べまくるわけにもいかないけれど。それでも、仕事に忙しいと言って、今度は受験が忙しいと言って。のんびり紗月とデート出来るチャンスにまで嫌だ駄目だと言いたくない。
「叶うって決まったわけでもないしね。叶ったら気晴らしのデートを楽しめってことだし」
スイーツを前にした紗月の笑顔を思い浮かべる。きっと最初は１人だけ楽しむわけにはと遠慮がちにするけれど、今日は特別だと笑って自分が食べれば、紗月も喜んでくれるだろう。
（さ、わ、ざ、き、さ、つ、き）
願掛けのように、ハガキに向かってウインクを７回。あとは、この抽選会に参加するだけ。
理緒は話半分に思いつつも、抽選会を楽しみにしながらロードワークに出ることにした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2020年01月21日
- 参加申し込みの期限
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- 2020年01月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2020年01月28日 11時00分
