寝子高制服☆トリエンナーレ！｜リアクション

寝子高制服☆トリエンナーレ！

●制服：エントリーNo.46 霧生深雪、No.47 榛名冥

「ファッションショー？　うっ頭が……！」
　後半のステージ【dianoia】の準備をしていた霧生深雪は、パンフレットに挟まった１枚のカードを見つけ頭を抱える。
「どうしたの？」
　と声を掛けるのは、深雪とユニットを組む榛名冥。
「いや、なんでも……」
　深雪の脳裏をよぎったのは、いつぞや船上のファッションショーで素敵なウエディングドレスを身に纏ったときのことだった。
「それ、強制参加だよ」
「まじかよ」
「メイも出るよ。一緒に出ようよ」
　と冥は自分のカードを掲げてにっこり。これには深雪も観念し、
「……まあ今回は女装じゃないしライブの宣伝がてら出てやるか」ということになった。

　深雪は慣れた感じでキャットウォークを歩く。
「今日は一段とかっこいいね！」
　隣を歩く冥が、そっと声を掛けてきた。
　自分が惚れ込んだ歌姫にそんなふうに言われたら、深雪だってまんざらじゃない。
「夏服とか露出増えて嫌なんだけどよ。
　ロック系の服好きだからこんな感じ。
　ポイント……スニーカーのチラ見えしてるチェック柄とか？」
　あまりやる気のない感じを出しつつも、ぽつり、ぽつりと、着こなしのポイントを披露する。
　すると、冥もそれに続いた。
「メイの着こなしのポイントはねー、制服のリボンと同じ赤色のお母さんからもらったアネモネの髪飾りかな」

「この髪飾りは、ブレスレットにもなるんだ。ちなみに靴紐も赤なんだよー」
　冥はその場で楽しそうにくるりと回る。
　深雪はちょっとハラハラしたが、大丈夫！　スカートは鉄壁、その中身は観客には見えなかったようだ。

「そんなことよりお前ら！
　ショーなんかより大事なことがある。
　俺がとびっきりの歌姫紹介してやるから後で特設ステージに来い！」

　とびっきりの歌姫と言われた冥は、背筋を伸ばし一礼して。

「赤いアネモネの花言葉は『君を愛す』――愛ってなんだろうね？　榛名冥でした！」