寝子高制服☆トリエンナーレ！｜リアクション

寝子高制服☆トリエンナーレ！

●制服：エントリーNo.42 最上るるか

　最上るるかはセクシーなモデル歩きで現れた。
　着こなしのポイントは、ミニスカートから伸びる女子高生らしい健康的な太腿と脚線美だ。
　ギャルの必須アイテムであるルーズソックスにも注目してほしい。

「鞄も凝ってるでしょ？　ステッカーやシールでカラフルな遊び心を演出してみたよ」
　ポップなお花や小鳥のシールで飾られた鞄は、それだけでひとつの世界を形作っているかのよう。
「るるかさんー！　今日もかわいーです！」
　同じ寝子島クラシック同好会メンバーの御陵春哉が手をぱたぱた振ってくれている。
　篠崎響也もだ。
（……響也、今日のことどう思ってるんだろう）
　手を振り返しながらも、そんなことが気にかかる。
　――そういえば、トモダチの圭花は、自信満々に歩いていたっけ。
　負けないもん、とるるかは思う。
（響也が応援してくれたら女子力アップで絶対勝てる。
　優勝ゲットしたら、勇気出して告白するよ）
　るるかの決意。

　――待ってて王子様。

●制服：エントリーNo.43 常盤四月

（はー、さっきは危なかったあ。タッキーにあんな本とかこんな本とかがバレるところだったあー）
　出店でのハプニングを思い出し、腐女子漫画家な常盤四月は再び安堵のため息をつく。
　漫画の中では男同士であんなことやこんなことまでさせてしまう四月だけれど、自分の恋愛にはめっぽう奥手。ましてやそういうことに免疫のなさそうな多喜勇生にはまだバレたくないという気持ち、腐女子のみなさんなら分かっていただけるのではないだろうか。
　そんなこんなで、四月はうっかり、大事な同人誌を詰め込んだカバンを抱えたまま、キャットウォークに現れてしまった。

「着こなしのポイントは、やっぱ足の太さを隠すルーズソックス……」
　と自分の足元を見遣って、四月は、ぎゃー！　と声なき悲鳴を上げた。
（って、やだー！　鞄のチャック全開で同人誌がぼとぼと落ちてる！　しかも審査員の桐島先生がガン見！？）
　観客席で見ていた勇生も、首を傾げていた。同人誌というものの存在をよく知らなかったのだ。
（あれ。四月ちゃん本を落とした？　見覚えのあるキャラだけど何だっけ）
　……桐島先生である。
「ちっちがうのこれは桐島先生によく似た別人で他人で非実在メガネ受け教師なの！」
　パニック状態でとんでもないことを口走る四月。
　会場にいる隠れた同志たちは、彼女の惨劇を痛みと憐れみの心で見守っていた。
（ど、どうしよう～タッキーもどん引きだよ～もー泣きたい……）
　ところが、事態をよく呑み込んでいない勇生は、どん引きどころか。
（あぁ涙目なのもかわいい）
　と本日一番のドキドキを味わっていた。

　さらに出番後、勇生は本のことは何も聞かずに「泣かないで」と綺麗なハンカチを差し出してくれた。
　四月はそんな勇生のやさしさに、ほんとうに感激したのだった。