寝子高制服☆トリエンナーレ！｜リアクション

寝子高制服☆トリエンナーレ！

●制服：エントリーNo.44 六月一日宮檸檬、No.45 澪乃澄佳

　モントジッェルで互いに交換しあったアロマキャンドルは、ふたりの胸にぽっと仄かな灯りを灯したのかもしれない。澪乃澄佳はその後もお菓子を食べてリラックスした表情だった。
　六月一日宮檸檬は、そんな澄佳の手を自然と引いていた。
「センパイ、そろそろ出番ですよ」
「え、出番？　早いねえ」
　片手にはお菓子、片手には檸檬の手。
　そのままキャットウォークへ。
　もぐもぐ。
　お菓子を食べながらキャットウォークを歩いていた澄佳は、はたと我に返った。気づけば周りはお客さんだらけで、檸檬と手を繋いでいて……。
「え、えっと？」
　頬が熱くなるのを感じながら隣を見れば、檸檬も焦ったような表情をしている。
（咄嗟とはいえ、手とか何繋いでるんだ俺ー！）
　顔を見合わせて、ふたりはパッと手を離した。

「あ、えっと。サッカー部１年、六月一日宮檸檬。制服に纏わる話はとくにないので、リフティングします！」
　恥ずかしさを誤魔化そうと、檸檬は持っていたサッカーボールを空中に軽く投げた。

　得意と言うだけあって、ポン、ポンとボールは檸檬の足に吸い付くように跳ねる。器用なものだ。
　何回かボールに触れると気持ちも落ち着いたので、檸檬は着こなしについてすこし話した。
「ズボンの裾まくって、活発さを出してるつもり。みろ、この生脛！」
「サスペンダーとかおしゃれだなぁ……かっこいい」そうつぶやいたのは花厳望春だ。
「おう、もちろんサスペンダーもポイントだぜ」
　
　澄佳は、つい檸檬のリフティングに見惚れていた。あまりにかっこよかったからだ。
　檸檬はその視線に気づいて、ちょっとぶっきらぼうに促す。
「ほら、次、センパイ」
「え、あ、そっか」

「……え、えっと、２年５組澪乃澄佳です！
　ブローチさ付けたリボンと、スカート下のレースがポイントです！
　あと、今日は普段と違うシュシュにしました！
　懐中時計は進学祝いで、えっと！　お菓子おいしいです！」

　くるっと回ってお辞儀をする。
　ふたりに送られた拍手はあたたかった。

◇

「あの。センパイ、今日は一日付き合ってもらってありがとうございました」
　舞台袖に戻ってくるなり檸檬はそう頭を下げた。
「なんもなんも。あたしこそ……君といっしょだったから楽しかったよ」
「その制服、……スカートのフリルのとこ、お洒落っすね」
「えへ、ありがとう。檸檬くんも夏らしくて爽やか。似合ってたよ」
　讃えあって、照れあって。
　お疲れ様。今日はほんとうによい一日。