寝子高制服☆トリエンナーレ！｜リアクション

寝子高制服☆トリエンナーレ！

●トリエンナーレ！

　　♪トリエンナーレ　あの子はだーれ？　見慣れた顔　見慣れない表情
　　♪トリエンナーレ　綺麗になーれ　アレンジして　着こなしはＯＫ

　曲調は、１曲目のメタルから打って変わってポップな感じ。
　瑠奈のアイドルボイスとよく似合う。

　　♪キャットウォーク　歩く姿　視線集め　照れる君も
　　♪光浴びて　いつもよりも　二割増しに　綺麗になる

　ドラムの空も歌う。もともと空は、ドラムをしっかり叩きながら歌うスタイルなのだ。
　凛が、大きく両手を頭の上で打ち合わせて、オーディエンスの拍手を求める。
　ホットになった観客たちは、すぐに凛の求めに応じる。

　　♪前を向いて　真っ直ぐな道　君の為の　ステージがある
　　♪ポーズ決めて　アピールしたら　風を切って　ターンを決めろ

　観客の拍手に合わせて、千鶴と玲珂はベースを弾く。
　優輝とシルヴィアもぴょんぴょん跳ねる。
　
　　♪トリエンナーレ　私はだーれ？　見つけたのは　新しい自分
　　♪トリエンナーレ　綺麗になーれ　君の為の　SHOWが始まる

　サビは瑠奈がアリーセの元に駆けて行って、ふたり顔を寄せ合ってのユニゾン。
　１曲目のシルヴィアとは全く声質が違うのに、うまくあわせているのはさすがアリーセだ。
　視線を交し合う少女たちはとっても楽しそう。

　　♪三年一度の　SHOWが始まる　新しい君　今日が始まり

　――曲が終わり、凛が大きく手を振った。

「ありがとうございました！　私たちはこれからもライブを続けていくので応援よろしくお願いしまーす！」

◇　◇　◇

　人目を避けて上空から。
　佐々藤寿と佐々寿美礼の兄妹は空飛ぶホウキ登校。
「あのなー。大荷物だからって送ってやったけど。ひとがいねーか確認すんの大変なんだからな」
　藤寿の＜○○ライダー＞は、物体に乗ることができるという、便利だが見た目が派手で誤魔化しづらいろっこんだ。それだけに、苦労もあるわけだが、そんなこと寿美礼は気にしない。
「なんとかなるよ！」
「ま、なんとかなったけどさー」
　ぶつぶついいつつも次の機会があったらまた送ってやってしまうのかもしれない。
　校門では今日のパンフレットを配っていた。
　寿美礼はそのパンフレットを開くなり「あ！」と声を上げた。
　藤寿は、急に立ち止まった寿美礼の背に、まともにぶつかってしまう。
「なんだよ」
「藤兄、これ、よろしくっ！！」
　寿美礼は藤寿にリュックを押し付ける。
「あっ、おい！　寿美礼！　どこいくんだよ！　送って貰った礼くらい言ってけ！」
「ありがと藤兄ー！」
　駆けていってしまった寿美礼の背を見送って、藤寿は気づく。
「……って、おい、このリュックどうすんだよ」
　どうやらリュックの中身は、出店する友人への差し入れらしいが……。
　しかたねえな、と藤寿は頭を掻く。
「こういう学校のイベントはあまり興味無いが……まあちょっと見てみるか」