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何でもない日を祝うパーティー!
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弥逢 遊琳
の胸の内には、ある“決断”が座していた。
そして、此度のパーティーは、その“決断”を遂行するための足固めとして、中々に、都合が良かったのだ。
(朧の自立は多分待てない。でも、元々朧が自分で誰かと繋がれる様にする迄と決めてた)
だから。
(服部、利用させて貰うよ)
心の中に呟きを落として、電話をかける。
コール数を数えるまでもなく『はいはーい!』と明るく電話に出たのは、
服部 剛
だ。
『もしもし? ゆーちゃんやんな?』
「もしもし、うん、僕だよ」
『どないしたん? いや、ゆーちゃんからの電話なら、いつでも大歓迎やけど!』
晴れた声の向こうに、僅かに、己への心配の色が滲んでいるのを遊琳は悟った。
故に、遊琳は声の調子をより柔らかにして、
「実はね、『何でもない日を祝うパーティー』っていう催しがあって……」
と、剛に、イベントの趣旨や、チラシから窺えた内容を搔い摘んで知らせる。
『へええ。そないなイベントがあるんやなぁ。面白そうやんか』
「でね、こういうの不慣れそうな子を連れてく予定なの。僕以外とも楽しんでほしいし、ちょっと手伝ってよ」
言葉は『お願い』の形を取ってこそいるけれど、その実、遊琳は、
(断るなんて思ってないけど)
という心持ちでいる。そして実際、
『もっちろんや! 任せとき。手伝ってなんて言われたら、断る理由とかあらへんて!』
なんて、剛からは遊琳の予想通りの、力強い言葉が返った。
ありがと、と、電話越しの相手には見えないけれど、遊琳は淡く口元を緩める。
「当日、よろしくね」
『りょーかい! 今から楽しみにしとくわ~♪』
電話を切って、けれど、遊琳の『準備』はまだ終わらない。
「……あとは、明日学校で、だね」
※
「朧、」
声をかけられて、
霧谷 朧
は寸の間、誰にも見咎められない程度に身体を強張らせ、けれどすぐに、
「……何だ、遊琳か」
と、普段は壁の如くに相手と自分を隔てる前髪越しに、遊琳の姿を確かに見留めた。
遊琳が、くすり、小さく笑む。
「何だ、とはご挨拶だね、朧」
「そう妙な反応でもないさね。休み時間に芸術科からわざわざ、どうしたん?」
朧が問えば、遊琳は、「それがね、」と少し困ったように眉を下げた。
「気になってたお店でイベントがあるんだ」
「イベント?」
「そう。普通のトコだけど、1人じゃいつも入れなくて……」
――焼き菓子が嫌いじゃなかったら、ついてきてくれない?
小首を傾げての遊琳の訴えに、
「……まあ、普通ったって、普段そんな良いとこの菓子なんて食べないし……」
と、朧は軽く首の後ろを掻く。
「男一人は入りづらいもんな。いいさね、付き合うんよ」
「本当? ありがと、朧」
いかにも嬉しげに笑みの花を咲かせる遊琳だが、
(やっぱり、少し下手に頼ってみせるくらいで正解だったね)
なんてことを、胸の裡では思っていたりする。
(善意をたかる様だけど……目的の為なら手段は問わない)
蜜の如くに甘やかな色を湛えた瞳が、薄く、濡れたように光った。
※
「服部、こっちだよ」
「おー、ゆーちゃん! ゆーちゃんに誘われたから秒で来たで! ……って、何や、霧谷やんか!」
溌溂とした声に名を呼ばれて、朧は、ぴしり、と硬直した。
遊琳に手招きされて、《cafe眠り猫》の前までやってきたのは、剛である。
(なんかいた……)
新歓祭の折に、共に同じ演劇に取り組んだ仲ではあった。
どころか剛は、朧を、あの渦の中に巻き込んだ張本人だ。
縁のない相手ではない。けれど。
(他にいるって聞いてないし!)
じとっとした眼差しを遊琳に向ける朧だったが、遊琳の方は悪びれもせずに、
「僕が何処か行くって言うとすぐ飛んできちゃうの、この犬」
なんて言って、にっこりとした。
(犬? 犬って……いや、なんとなくイメージは納得いくけどさ)
という具合で、困惑と混乱を隠し切れない朧を目に、剛は気付く。
(……ゆーちゃん、霧谷の様子からに、俺が来ること言うてへんな?)
(うん、朧には言ってない)
視線と視線での短い会話。
遊琳が、あまりにもいい笑顔をしているので、剛は、
(――しゃあない、乗ったるか!)
と心を決めた。
「いやぁ、堪忍な! ゆーちゃんがデートするて聞いたさかい、思わず飛んできてもうた☆」
にこにこと人懐っこく言って手を合わせる剛を前にはたと我に返って、
「……てかさ、そういうやり取りで二人ってどういう関係なんよ……?」
と、まだ少し乾いている声で尋ねる朧。
え、俺らの関係? と、剛が言葉を跳ねさせた。
「そないに仲良う見えるかぁ。照れるわ~」
「いや、その……」
「新歓祭でも一緒だったし、知ってるでしょ? この際だから仲良くしてやって」
「や、遊琳、そんな……」
「まぁまぁ。ゆーちゃんもこう言うてるし、細かい事は置いといて。はよ入ろぉやー!」
ぐいぐい。剛の勢いに押される形で、朧も店内に足を踏み入れる形になる。
もうどこからが冗談なのかがわからない。わからないが、とにかく。
(はめられた……!)
それだけは確かだと、朧は胸中で大きく嘆息した。
※
「じゃあ、僕、お菓子を取ってくるね。飲み物も貰ってくるから」
さらりとそう言って、遊琳は店内に入って間もなくに朧と剛の傍を離れた。
あ……、と朧が何か言いかけたのには、気付かないふりをした遊琳である。
3人分の焼き菓子を見繕いながら、遊琳は考える。
(懐こい大型犬みたいな服部は、その実、空気も読める)
だから、きっと。
(他人が苦手な朧とも、上手くやってくれると思うんだよね)
※
一方、その頃テーブルにて。
(やっぱり、絶対はめられた……!)
と、朧は、身の置き場のないような心地でいた。
ちら、と剛の方を盗み見れば視線が合いそうになって、慌てて眼差しを逃がす。
(遊琳、菓子取りにいくとか言っていなくなるし、何話せばいいんよ……)
別に朧は、剛に対して悪印象を抱いているわけではない。
朧も幾らか心を開いている遊琳と仲が良さそうだし、新歓祭では一緒に演劇を作り上げた相手だ。
(ただ、この眩しい感じは苦手だ)
陽キャとでも言うのだろうか。
朧から見た剛は、太陽を思わせる、目の眩むような眩しさを纏っている。
例えば、ニコニコしながら、誰とでも仲良くできると、境界線にすら気づかずにその中に入ってきそうな。
(そうやって入ってくる奴はいつのまにかいなくなってたりして、眩しさだけ残してくから嫌なんだ)
繋がりが失われることは、怖い。
それに朧は、縁を得た友人が、他人と過ごしている方が楽しそうに見えたりしてしまう性質だ。
自分はそういう関係を手にしていない、誰かの大切な存在にはなれないのだと、
(傷つくのが、怖い)
だから、最初は一線を引く。壁を作る。
その壁を、剛があの眩しさを伴って乗り越えて来はしないかと、朧はそれを恐れていた。
そして、当の剛はというと、
(ゆーちゃんもおらんくなって、霧谷も不安そうやなー……)
と、内心に、僅かに眉根を寄せていた。
朧の態度を不愉快に思ったのではなく、さてどう動けばいいかと真摯に思案して。
(向こうからすりゃ、俺がおることは予想外やし、警戒するわな)
でも。
(ゆーちゃんの言動から察するに、俺と霧谷に仲良うなってほしいんやろな)
理由は――剛には、『何となく』わかる。わかってしまう。
わかった上で、遊琳の意に沿いたいと、剛は己に与えられた役目を果たす気でいた。
(……俺かて見境なく近づいたりせえへんってこと、どーにか安心して貰えたらええけど)
遊琳が戻ってきたのは、剛が口元に手を宛がった、ちょうどその時だった。
※
「お待たせ」
「おっ、ゆーちゃんお帰り~」
「ただいま。適当に取ってきちゃったけど、2人共どれが好き?」
遊琳と剛の会話を耳に、朧は、ほう、と息を吐く。
安堵が胸を満たすと同時、朧は、あることに気付いた。
(そういや、2人きりの時は、無理に話しかけられなかったな)
そんなことを思いながら剛の方を見れば、今度は確かに目が合って。
一瞬怯みそうになるも、剛は、にっと白い歯を見せて、
「霧谷、何食う? 先選んでええで!」
と、朗らかに言うだけだ。
朧の領分には、やはり、無暗に踏み込んでこなかった。
かといって、朧のことが気に食わないから、2人の時は話しかけもしなかった、というふうでもない。
(太陽みたいだけど、日陰を無理やり照らそうとするタイプじゃないんだな)
少し安心した、なんて自分の気持ちを確認しているうちに、
「朧、どれにするの?」
と、遊琳のたおやかな声が降る。
朧は、ハッと現実世界に意識を引き戻されて、
「じゃあ……これとこれを貰おうかね」
と、焼き菓子を2つ、2人の言葉に甘えて先に選び取った。
「お、そういうん好きなんか、霧谷?」
「まぁ……この中だったら、そうさね」
当たり障りのないようでいて、剛と朧の間の空気は、もう、僅かに緩み始めている。
それを肌で感じ取って、遊琳は、密やかに微笑んだ。
朧に負荷をかけすぎないよう気を配り、タイミングを見計らって輪に戻ってきた遊琳である。
朧の好みを、ある程度ながら知ることができたのも収穫だった。また、剛も、
(ゆーちゃんが戻ってきてから、霧谷も気ぃ楽そうやな)
と、口には出さないまでも感じ取り、程良く場の緊張が解けていることに相好を崩す。
(たぶんやけど、もう、危ない奴やとは思われてへんみたいやし。重畳やな)
朧との問題が一先ず解決したことで、「……そういや、」と剛の思考は、ふとある疑問に辿り着いた。
「どうしたの、服部」
「や、ゆーちゃんがこうゆうとこ連れてくるの珍しいな~って思うて」
「言われてみれば……確かに、服部の言う通りさね」
剛の言葉に、朧も顎に手を宛がって頷く。
「何で連れてきたかってこと?」
「んん、いや、問いただすような気ぃはないけどな? ちょい気になったいうか」
剛が言うのに、遊琳は、ふわりと目元を和らげた。
「何でもない日を祝うなら、一緒に居たいのは君達だったの。だめ?」
遊琳の言葉に、二色の瞳を大きく瞠り、
「っ、駄目やないて! 寧ろ、そう思うてくれて剛さん嬉しいわ」
と、身を乗り出さんばかりの勢いで言い切る剛。
「なっ? 霧谷はどうや?」
「へっ? ……まぁ、俺も、うん。駄目だとは思わんよ」
2人の反応に、「良かった」と遊琳が笑う。遊琳は胸の内に、
(君達が君達のまま一緒に居るだけ。たったそれだけで幸せな人間も居ることを覚えてほしくて)
と、己の想いをそっと沈めた。
「なんでもない日、万歳! やな」
剛の光を散らすような声を耳に、
(……まぁ、友達の友達っていうのも悪くないかな。少しは気遣いができる奴みたいだし)
なんて、朧はそんなことを思い、それから、
(そういえば、服部の言う通り、今日のイベントはなんでもない日か……)
と、今日という日の意味に想いを馳せる。
(こんな俺でも、これを普通にしていいんだな……)
胸の奥から静かに湧き出てくる『何か』が、朧の心をくすぐった。
※
「今日はおおきに! また遊び行こうや!」
「ん、じゃあまた」
ぶんぶんと大きく手を振る剛とその傍らの遊琳に、朧は小さく手を挙げることで応じた。
朧の姿が街の景色に消えるまで確かに見送ったあとで、
「――ゆーちゃん。ちょい手ぇ出してくれへん?」
と、剛は遊琳に声をかける。
「何、服部。こう?」
微かに首を傾ける遊琳が広げた手のひらの上に、剛は、「ほいっ」と贈り物を乗せた。
「誕生日、おめでとぉな」
包装の中に眠っているのは、遊琳の瞳と同じ色の組紐だ。
「ほんまは当日に渡したかったんやけど、色々あって会えんかったしな」
ま、ゆーちゃんの好きにしたってや、と、からりと告げて、
(……すぐいなくなってまいそうやから)
という言葉は、笑顔の裡にぺろりと隠す。
(……少しでも、繋がれるように)
想いは胸に仕舞って、でもせめて、渡し忘れたものは、確かに、彼の手に。
「阿呆、こんなん貰い過ぎや」
少し俯いて零した遊琳は、己の表情を剛に見せなかったし、自身の声音も、綺麗に丸め込んだ。
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あとがき
担当マスター:
巴めろ
ファンレターはマスターページから!
お世話になっております、ゲームマスターの巴めろです。
まずは、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!
何でもない日のお祝い、お楽しみいただけておりましたら幸いです。
重ねてになりますが、ご参加くださった皆様に心からの感謝を。
この度も、本当にありがとうございました!
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日常
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10人
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10人
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シナリオガイド公開日
2019年08月10日
参加申し込みの期限
2019年08月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年08月17日 11時00分
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