【星幽塔】第一階層　幻妖の森と怪鳥の巣｜リアクション

【星幽塔】第一階層　幻妖の森と怪鳥の巣

「すごい勢い……！」
「やった……？」

　かまいたちが巻き上げた砂塵が晴れるまで、桜・ティオレ・妙子の三人は目を細めてヴォラティルの出方を伺った。先程までうるさく聞こえていた鳴き声は聞こえず、極彩色の羽がばさばさと舞っている。

「やったわね」

　砂塵が晴れた。そこには巣と卵の欠片と、横たわるヴォラティルの姿があった。ヴォラティルはその大きな肉体をピクリとも動かさずに、彼らの視線を浴びている。グレッグはそれらを調べると、首を振った。

「そうか……」

　妙子が息を呑んだその後ろで、ピヨピヨという鳴き声がする。そして土を踏み、草をかき分ける音がする。慌てて振り返った彼らの前に現れたのは――

　杏子色の空にひゅっと音を立てて通り過ぎていくものがある。瓦礫の覗かれた街道には鳥影が射し、それと同時に小さな黒一色の羽が落ちた。それが大きな極彩色でないことに安堵する住民に混じって、武道は戻ってきた討伐隊を出迎える。
　討伐隊に囲まれて妙子の半分ほどの大きさの――地味な色合いながら、ふわふわした――ヒヨコのような鳥が武道を興味深そうに見上げている。彼らを先導していたティオレは、後退りする町民に向かって口を開いた。

「巣も卵も跡形もなく破壊したわ。もう大丈夫」
「はあ……ですがそれは……」
「ヒナだ。害はねえよ」

　そう言ってからずかずかと町に足を踏み入れるグレッグに続いて、妙子は目を泳がせつつ鳥の背を撫でる。

「い、一応どうするか戻って確認しようって話でまとまったので……」
「連れてきたわよ」

　町民は桜の顔色を伺いつつ、暫しの間ひそひそと話し合った。桜が夢にしてはリアルな反応だと考えているうちに、話し合いは終わったようだ。町民はヒナを壊れ物でも触るように抱え、撫でてやる。

「ヒナはうちで育てて、大きくなったら天に帰そう」
「天ってつまり？」

　桜が首を傾げると、町民は何かを食べるジェスチャーをした。桜と妙子が目を丸くした。が、ティオレはどこか納得した様子で頷く。

「そうなると思ったわ」

　しかし桜と妙子は顔を見合わせ、囁き合っている。

「ひえっ……血も涙もないわね」
「い、生きるためには必要ですよね……そうですよね……」

　様々な思いが交錯する中、ヒナはキョトンとした様子で町民や桜たちを眺めている。グレッグは頭を掻きながら、こう呟いた。

「……まぁ、いいけどよ」

　何はともあれ怪鳥の脅威は去った。復興しゆく町を眺めながら、グレッグたちは町民に引っ張られて宿屋に入っていった。

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あとがき

担当マスター：六原紀伊
ファンレターはマスターページから！

六原です。この度はご参加いただきありがとうございました。

皆様のおかげで怪鳥は無事討伐されました。ありがとうございました。
参加ＰＣの皆様は報酬としてそれなりの額のお金と、【怪鳥の羽】【怪鳥の爪】加えて【怪鳥肉のスープ】【毒の実ジャム】が貰えます。
アイテムの効果は以下の通りです。

怪鳥の羽：怪鳥ヴォラティルの羽。極彩色で頑丈。装飾としても使えそうだ。【魔風の光】の効果を増幅させる力がある。
怪鳥の爪：怪鳥ヴォラティルの爪。特別な効果はないが、ピカピカしているため装飾に使えそうだ。
怪鳥肉のスープ：怪鳥ヴォラティルの肉を使い、エリクシルハーブと鷹の胡椒で味付けしたスープ。こってりしていて美味しい。一時的に静的視力、動体視力ともに大きく強化。
毒の実ジャム：毒をたっぷり含んだ木の実で作ったジャム。狩りで使う際は後処理に注意。

次回ガイドは未定です。
それではまた、ご縁がありましたらよろしくお願いします。

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