秋の遠足　アスレチックで遊ぼう♪｜リアクション

秋の遠足　アスレチックで遊ぼう♪

☆アスレチック！　迷路もね

　班に戻ってきた一心は、先頭に立って班を先導します。
「まずはアスレチックで遊ぶっす」
「わぁー、楽しそうな施設が色々あるねぇ！」
　のんびり班の後ろのほうを歩いていた瑠樹は目を輝かせました。
　木の柱やロープを組み合わせた遊具がたくさん待っていました。
「わぁい！」
　ターザンロープにぶらさがったり移ったり。
　体を動かすのが好きで得意な瑠樹にとっては格好の遊び場です。

「ゃ……ぁ！（やったぁ）」
　逢莉と一緒に歩いてきたまなは、アスレチックを見つけて嬉しそうな声を上げました。
　バス酔いも吹き飛んだのか、元気に遊び始めます。
　遊具をよじのぼったり、ぶらさがったり、滑ったり。
　しゃべらないので大人しく見えますが、年相応に体を動かしたり、追いかけっこをすることが好きなのです。　
　駆け出したまなを微笑ましく見送りながら、逢莉も元気に声を上げました。
「寝子島にはない遊具に触れる機会なれば、全身全霊で楽しまねばなりません！」
　そして遊具に上り始めたのでした。

　一心もアスレチックにわくわくしていましたが。
　あまり嬉しそうに見えないかんなの様子を伺います。
（色々なものあるけど、桃井さんは確か運動がそんなに好きじゃなかったはずっす）
　かんなも楽しめそうな物を、と選んでみることにしました。
「桃井さん、これなんかどうっすか？」
　一心はかんなを簡単そうな遊具に誘ってみます。
　丸太でできた遊具にはつかまれるロープがあり、動けなくなる心配はなさそうです。
「これくらい簡単よ」
　そう言いながら、かんなはロープにつかまり遊具を登り始めました。
　一心も近くで登って楽しみます。
　しかししばらくするとかんなは立ち止まり、自分の手を見つめました。
「どうしたっすか？」
「なんでもないわよ」
　かんなはそう言いましたが、見ると手がロープにこすれて赤くなっています。
（ああ、やっぱりちょっとハードだったっすか）
　他に楽しめるものはないか、と見回す一心。
「あ、あそこに迷路があるっす。桃井さん、行ってみないっすか」
（迷路なら出口はどっちとか皆で相談しながら楽しめるはずっす）
「剣崎が行きたいなら行ってもいいよ」　
　そんなことを言いつつ、かんなはほっとした様子でした。

「迷路でわいわい迷うのも楽しそうだねぇ」
　いくつかの遊具で遊び終えた瑠樹も、迷路に向かいました。
　壁は高く、全体を見渡すことはできません。
　迷わずどんどん進む瑠樹ですが。
「あれえ、行き止まりだぁ」
　戻った分かれ道で首を傾げます。
「こっちかなぁ？」

「分かれ道っすね。桃井さんはどっちだと思うっすか？」
「……わかんないけど、曖浜はこっちから戻ってきたよ」
「うん、行き止まりだったよぉ。桃井さんたちはどっちから来たの？」
「あっちからっす」
　指差す一心。
「それじゃこっちかなぁ？」
　走り出す瑠樹。
「えっ、もう少し考えてから……って、もういないっす」
　後を追おうとした一心だが、次の分かれ道にはもう瑠樹の姿はありませんでした。
「いいよ剣崎、わたしたちはゆっくり行こう」

　まなと逢莉も迷路にやってきました。
「……ぁ？」
　最初は楽しんでいたまなですが、何度が行き止まりに当たると不安になってきました。
「また行き止まりですね……ここ、前にも来た気がします」
「……ぇ？」
　ちょっと泣きそうな顔になったまなの手を握って、逢莉は微笑みます。
「大丈夫、それならきっと、こっちですよ！」

「やったー、ゴールだ！」
　無事ゴールして喜んだ瑠樹ですが。
　しばらく待ってもかんなたちの姿が見えず落ち着かなくなりました。
「また入って探しに行くよぉ！」
　そう言うと、元気よくまた迷路に飛び込んで行くのでした。
「あれ？　道どっちだっけなぁ？」

「ふう、やっとゴールっす！」
「……あれ、曖浜は？」
　瑠樹と出会うことなくゴールにたどり着いた一心とかんな。
「ゃ……ぁ！（やったぁ）」
「試行錯誤の末、成功を収めたのです！」
　逢莉も、連れられて無事に出られたまなもとても嬉しそうです。

「おーい、ゴールはどこだよぉ？」
　探しに行ったはずが、迷子になってしまった瑠樹でした。

このページにイラストを設定する