ヴァンパイア・アンド・ウルヴズ｜リアクション

ヴァンパイア・アンド・ウルヴズ

　３

　そしてここにも、月夜の散歩をする者がいた。
　狼人間――桜月は、月の綺麗な夜が好きだった。血が騒ぐだけではなく、月の美しさに心が弾む。その中で、のんびりと――
　獲物を探しながら、彼女は散歩を楽しんでいた。狙うのは、可愛い女の子だ。
「この辺りは人通りが少ないし、街の方に行ってみるか」
　今いる場所は狼人間が主に住む界隈で、ただの人間はこの辺りには入ってこない。吸血鬼は戦いを求めてやってくるが、好戦的な吸血鬼は好みではない。
（必要なら殺し合いもするけど、基本はやらないからね）
　大して得をするとは思えないし、無理にする必要はないだろう。
（……他の人がやるさ）
　吸血鬼が放つ超音波と、狼の遠吠えが聞こえてくる。それを意に介さず、月は繁華街へと足を向けた。好みであれば、獲物は吸血鬼でも人間でもいい。

　――路地裏にて、少女が震えている。
　高校生くらいで髪は黒く、パンクロックな服装をしている。友人達と歩いているところを、一部だけ狼に変化して声を掛けた。友人達も悪くなかったが、散り散りになって逃げだした中で選んだのが彼女だった。追いかけ、追い詰めたのがこの路地裏だ。
　少女は銃を構え、何度も引き金を引くが弾が出てくることはない。正面に立つ月は、微かに笑みを浮かべて少女の目を見詰めた。びくっと震え、金縛りに遭ったように棒立ちになった彼女は、やがて意識を失った。
　くたりとなった体を抱き、月は自分の屋敷へと悠然と戻った。

　ベッドに寝かされた少女が目を覚ます。けれど、取り戻したのは意識だけで、体の自由は戻らなかった。
　月はゆっくりと彼女の服を脱がしていく。
「うんいいね、こういう子を可愛がるのは楽しい」
「っ……！」
　声にならない悲鳴を上げるが月の手は止まらず――
　新しい服を持った月は彼女を甘噛みしながら着替えさせていく。
「あ……！」
　首から上しか自由が利かない少女の声をＢＧＭに、月は彼女をいたぶりながら様々な衣装に着替えさせた。
　――これが、月の日常である。

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