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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
何が起こるの？ ちょっと不思議ＤＡＹ！
貴重な休日を、どのようにして過ごすか。
悩んだ末に、水守 流は、ごく有意義な過ごし方を実践すると定めた。
それ即ち、ネコハン三昧である！
「新作ももう少しで発売されるし、リリース前に素材集めだぜ！」
ネコハンは、その人気ゆえに、長くシリーズが続いているゲームだ。
魔物を狩り、素材を集め、装備を強化し、より強大な相手に立ち向かっていく――。
その広大な世界に心を飛ばしながらゲーム機のスイッチを入れようとして、流ははたと気付いた。
「あっと。待てよ。先にコンビニで買い出しだな……」
ネコハンには、レベルという概念がない。
キャラクターをいかに上手く立ち回らせるかは、プレイヤーの腕にかかっている。
空腹ゆえにその指さばきを鈍らせるようなことがあっては、歴戦のハンターの名が廃る……かもしれない。
何はともあれ、流は軽く外出の準備を整えて、寮を出た。
※
「うっし！ これで集中して狩りができそうだぜ！」
昼食用のパンに、おやつのポテチとコーラ。
白いコンビニ袋の中にそれらを軽く揺らして、流は寮へと戻る道を辿っていた。
と、不意に目の前を猫がさっと横切って、自然、目は何となくその動きを追う。
小さな公園の茂みへと猫は消え、けれど流は、再び歩き出すことができなかった。
「……卵」
思わず、呟く。
茂みの近くには、流の言葉通り、卵がこんもりと座していた。
殻の色はというと、くすんだ灰色に、赤茶っぽい斑点が混ざっている。
そして、その卵は、流の膝くらいまで来るような大きさだった。デカい。
運搬クエストというフレーズが頭に浮かぶが、ここはまだ、現実世界である。
（神魂の悪戯ってやつか？ おいおい。これ、放っておいて大丈夫なのかよ？）
どこかに運んで隠した方がいいだろうかと、恐る恐る卵に近寄る。
近くで見ると、卵は、見るからに重たげな様子だった。
そっと、触れてみる。
陽の光のせいではなく、内側から燈るようにあたたかい。
残念ながら、オブジェの類ではないようだ。
（どうする？ 卵の運搬ってやつは、行動が制限されて面倒なんだが……）
頭に浮かんだのは、やはりネコハンの知識。
けれど、このサイズとおそらくの重量を思えば、あながち的外れな感想ではないだろう。
流が顎に手を宛がった、その時だ。
――パリ。パリパリパリ……。
前触れなしに、卵の殻にひびが入った。
内側から殻が破られんとしているのだと気付いた時にはもう、“それ”と目が合っている。
「ニャ、ニャオレウス……！」
殻を破って外界に生まれ出で、流を見つめているのは、ネコハンに登場する魔物・ニャオレウスだった。
存外円らな目をしているのは、生まれたばかりのチビだからだろうか。
（いやでも今の俺は丸腰だぞ！？ 本物の魔物相手に！ 丸腰！）
チビニャオレウスが、卵の殻を踏み割って、流の方へと向かってくる！
「うわっ！ ……って、うん？」
思わず一歩後ずさった流の足へと、チビニャオレウスは、頭を擦り寄せていた。そうして、
『ギャオ！ ギャオ！』
流の手にしているコンビニ袋に気付き、鳴き声を上げる。
ごはんちょうだい！ と言っているように、流には思われた。
（……そういえば、魔物を手なずける外伝作品もあったっけな……）
脱力しながら、流は、パンの袋を開けてやるのだった。
※
結局、流は予定通りには、ネコハンの世界に旅立つことはできなかった。
リアルの世界で、チビニャオレウスの面倒を見る羽目になったからだ。
『ギャオ！ ギャウ！ ギャウ！』
パンを甲斐甲斐しくちぎって食べさせてやったあとも、チビニャオレオスは、流の傍から離れない。
道に出てしまうと目立つので、仕方なしに、人気のない公園で時間を潰すことにした。
「……まあでも、襲われなくてよかったよな」
『ギャウ！』
「まさか、ゲームの中ではハンターの俺が、魔物の世話をすることになるとは……」
『ギャウ？』
ベンチに座ってスマートフォンを弄りながら、チビニャオレウスと一緒にのんびりと過ごす。
再びの異変が起こったのは、そろそろスマホの充電が危ういな、と思い始めた頃だった。
「あ……」
チビニャオレウスの身体が、陽の光に薄く透けていく。
言葉を失う流の前で、チビは、『ギャウ！』と笑った。
空気に溶けていく、消えていく。
けれど、それはただの消失ではない。
チビニャオレウスは透明になっていくのと同時、ぐんぐんと巨大な成獣へと姿を変えていった。
立派な翼が、大きく広げられる。
それが、流が見た、ニャオレウスの最後の姿だった。
「……ネコハンの世界に帰った、のか……？」
クエストクリア、と、流はぽつりと声を零した。
悩んだ末に、水守 流は、ごく有意義な過ごし方を実践すると定めた。
それ即ち、ネコハン三昧である！
ネコハンは、その人気ゆえに、長くシリーズが続いているゲームだ。
魔物を狩り、素材を集め、装備を強化し、より強大な相手に立ち向かっていく――。
その広大な世界に心を飛ばしながらゲーム機のスイッチを入れようとして、流ははたと気付いた。
「あっと。待てよ。先にコンビニで買い出しだな……」
ネコハンには、レベルという概念がない。
キャラクターをいかに上手く立ち回らせるかは、プレイヤーの腕にかかっている。
空腹ゆえにその指さばきを鈍らせるようなことがあっては、歴戦のハンターの名が廃る……かもしれない。
何はともあれ、流は軽く外出の準備を整えて、寮を出た。
※
「うっし！ これで集中して狩りができそうだぜ！」
昼食用のパンに、おやつのポテチとコーラ。
白いコンビニ袋の中にそれらを軽く揺らして、流は寮へと戻る道を辿っていた。
と、不意に目の前を猫がさっと横切って、自然、目は何となくその動きを追う。
小さな公園の茂みへと猫は消え、けれど流は、再び歩き出すことができなかった。
「……卵」
思わず、呟く。
茂みの近くには、流の言葉通り、卵がこんもりと座していた。
殻の色はというと、くすんだ灰色に、赤茶っぽい斑点が混ざっている。
そして、その卵は、流の膝くらいまで来るような大きさだった。デカい。
運搬クエストというフレーズが頭に浮かぶが、ここはまだ、現実世界である。
（神魂の悪戯ってやつか？ おいおい。これ、放っておいて大丈夫なのかよ？）
どこかに運んで隠した方がいいだろうかと、恐る恐る卵に近寄る。
近くで見ると、卵は、見るからに重たげな様子だった。
そっと、触れてみる。
陽の光のせいではなく、内側から燈るようにあたたかい。
残念ながら、オブジェの類ではないようだ。
（どうする？ 卵の運搬ってやつは、行動が制限されて面倒なんだが……）
頭に浮かんだのは、やはりネコハンの知識。
けれど、このサイズとおそらくの重量を思えば、あながち的外れな感想ではないだろう。
流が顎に手を宛がった、その時だ。
――パリ。パリパリパリ……。
前触れなしに、卵の殻にひびが入った。
内側から殻が破られんとしているのだと気付いた時にはもう、“それ”と目が合っている。
「ニャ、ニャオレウス……！」
殻を破って外界に生まれ出で、流を見つめているのは、ネコハンに登場する魔物・ニャオレウスだった。
存外円らな目をしているのは、生まれたばかりのチビだからだろうか。
（いやでも今の俺は丸腰だぞ！？ 本物の魔物相手に！ 丸腰！）
チビニャオレウスが、卵の殻を踏み割って、流の方へと向かってくる！
「うわっ！ ……って、うん？」
思わず一歩後ずさった流の足へと、チビニャオレウスは、頭を擦り寄せていた。そうして、
『ギャオ！ ギャオ！』
流の手にしているコンビニ袋に気付き、鳴き声を上げる。
ごはんちょうだい！ と言っているように、流には思われた。
（……そういえば、魔物を手なずける外伝作品もあったっけな……）
脱力しながら、流は、パンの袋を開けてやるのだった。
※
結局、流は予定通りには、ネコハンの世界に旅立つことはできなかった。
リアルの世界で、チビニャオレウスの面倒を見る羽目になったからだ。
『ギャオ！ ギャウ！ ギャウ！』
パンを甲斐甲斐しくちぎって食べさせてやったあとも、チビニャオレオスは、流の傍から離れない。
道に出てしまうと目立つので、仕方なしに、人気のない公園で時間を潰すことにした。
「……まあでも、襲われなくてよかったよな」
『ギャウ！』
「まさか、ゲームの中ではハンターの俺が、魔物の世話をすることになるとは……」
『ギャウ？』
ベンチに座ってスマートフォンを弄りながら、チビニャオレウスと一緒にのんびりと過ごす。
再びの異変が起こったのは、そろそろスマホの充電が危ういな、と思い始めた頃だった。
「あ……」
チビニャオレウスの身体が、陽の光に薄く透けていく。
言葉を失う流の前で、チビは、『ギャウ！』と笑った。
空気に溶けていく、消えていく。
けれど、それはただの消失ではない。
チビニャオレウスは透明になっていくのと同時、ぐんぐんと巨大な成獣へと姿を変えていった。
立派な翼が、大きく広げられる。
それが、流が見た、ニャオレウスの最後の姿だった。
「……ネコハンの世界に帰った、のか……？」
クエストクリア、と、流はぽつりと声を零した。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年07月07日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年07月14日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年07月14日 11時00分
