【星幽塔】第二階層　水道橋で流しそうめん｜リアクション

【星幽塔】第二階層　水道橋で流しそうめん

　五月の傍らから、カエルの女の子が顔を出す。
　見帰り沼のコトコが、興味津々といった面持ちで鍋を見ている。
「流しそうめんさんは、はじめてかな？」
　鍋の中で流動する麺をキラキラした瞳で見つめるコトコに、五月が話しかける。
「･･････にゃがしそーめん、れすか？」
　首をかしげるコトコ。
「寝子島産のうどんと、ラーメン、お蕎麦もあるアルよ？」
「･･････うのん？　･･････りゃーめん？　･･････おしょば？」
　耳慣れない単語に首をひねる。
「食べたことないのかな？　美味しいわよ」
「――そりぇ、おいしーんれすか？」
　三人の言葉に、顔を上気させて目を光らせるコトコ。
　とっても優しそうな三人。
　彼女たちがつくってくれる料理、きっとすごくおいしいんだろう。
「試しに流してみるアルよ。一緒にどうアルか？」
　華菜子の誘いに「ありあとーれしゅ！」とお礼を言って、よちよちと駆け寄るコトコ。
「わー、何か始まる！　すごそうです。ね、メリィ？」
翼持つほしびと、リリエル・エーテライトと、虎の獣人、メリィ・ランページの二人組がとことこと歩み寄る。
優れた知略と、元気いっぱいの体術で、なみいるもめ事をなぎ倒し、皆に笑顔をふりまく星幽塔の名物ペアだ。
「あ、りりえうしゃん、りりえうしゃん、にゃがしめんらしーれす！」
顔見知りのコトコ、リリエルを水かきの手で招く。
「めりたん！」
　メリィと肉球と水かきのハイタッチを交わし、友誼を確かめる。
「わあ、ソーメン！　ソーメンっ！！」
　瞳をきらめかせて三人の準備を見つめるメリィ。
それを見て、他のほしびとたちもどやどやと集まってくる。
「おお、すごいの。本格的なの」すでに生中のジョッキを傾けながら、一杯気分のステラが覗き込んでくる。
「あんまり喧しくないなら、いいかな･･････」と、つれないようすでアヴィケンナも近寄ってくる。

このページにイラストを設定する