【星幽塔】第二階層　水道橋で流しそうめん｜リアクション

【星幽塔】第二階層　水道橋で流しそうめん

　ひときわ激しいそうめんの流れに、桜は飲み込まれる。
　全身がそうめんにつつまれ、拘束される。
　自由がきかない。深甚たる恐怖がわき上がる。
　まるで意思あるものであるかのように、そうめんが桜の装備品を一枚ずつ剥いでいく。
　肩当て、ガントレット、ブーツ･･････。
　微細なそうめんの動きは衣服と膚の隙間に侵入し、その僅かな間隙を大きく裂いていく。
　可憐な色の上衣は無残に引きちぎられ、下腹部を覆う布地も、今や残り僅かとなっていた。
　服の隙間から覗くであろう、お気に入りの下着の柄と、その下の自分の膚を思い浮かべ、桜は恥辱に顔を赤らめる。
　破れた衣類の下からのぞくのは、筋肉の薄い衣をまといつかせた肢体。
　節制された肉体は、女性としてのフォルムを確かに描きつつある。
　そこに這い上がるそうめん。
　桜は動けない。
　先ほどまでの毅然とした貴公子の姿はどこかに消え、いまや桜はそうめんに蹂躙されるか弱きおとめであった。
　そうめんが突起に絡みつき、昏い間隙にしのびよる。
　上気した膚は異様なまでに張り詰め、うねる刺激に桜は苦悶の声を漏らした。
　そのとき、そうめんがひときわ激しくうごめき、桜は全身を橋に変えた。
　するどい声が唇から発せられる。
　今やそうめんは熱い臥所。
　いまや服のしたにあらわになった、桜のおとなびた豪奢な裸体を、見る者はいない。
　分厚い繭のようなそうめんにくるまったまま、桜は叫喚の穴蔵を、果てしなくさかしまに落下していったーー。

（死と生の祝祭･･････！）
　お玉をぐっと握りしめ、ユリーカが興奮する。
　祭りの極点で、享楽は絶頂に達する。
　エクスタシーとは、小さな死のことであるとは、皆の知るところだ。
　ひとりの少女をいけにえにした供犠は、いままさに頂点をむかえんとしているのだ。
（ソー・メン、恐るべき祝祭です･･････）