シーサイドタウン　秋の大サービスキャンペーン｜リアクション

シーサイドタウン　秋の大サービスキャンペーン

　日曜日である本日。珍しく陸上部の部活動も休みな為、椎井莉鳥は秋物の服でも買いに行こうかなと考えていた。

「あ、そういえばあのクーポン、そろそろ有効期限切れるんじゃなかったかしら？」

　と、そこで少し前に貰ったシーサイドタウンで使えるクーポンの事を思い出したようだ。
　それならばとmiaoか寝子島シーサイドアウトレットへ行って、適当にブラブラしながら服を選ぼうかなと考える莉鳥。高校生の懐事情からするとこういった機会は逃さずゲットしていかないといけないのだ。

「そろそろクーポンの期限が近いからか、いつもより人が多いわね」

　少し離れたシーサイドアウトレットへとやって来た莉鳥は、普段よりも多い人の流れにそんな事を呟く。
　つまるところ莉鳥と同じ思考をした人が多いという事だろう。よりお客さんを誘致する為のクーポンであるのだから当然と言えば当然の話ではあるのだが。

「さてと。折角の機会だしある程度は揃えておきたいところよね」

　事前にここでもクーポンを使う事が出来るのは確認済みである莉鳥は本日購入する予定の物を頭の中で整理する。
　まずは秋冬どちらでも着られそうなパーカーを一着、それからデニムのジーンズ。あとは適当にトップスを何着か欲しいところだと考えていた。

「ちょっと量は多いけど、まぁ、今日一日使えば何とかなるでしょう」

　そう言って早速店巡りを開始する。
　そして、いきなりとある店の店頭で目についたのは赤色のフード付きパーカーだ。

「うん、悪くないかも」

　自身の身体に合わせてみても悪くないと感じる莉鳥。
　とは言え、もしかしたら他にも良いのも見つかるかもしれないと考えると即決は中々難しいと言える。店の名前と位置を携帯端末の機能にあるメモに記しておき他にめぼしいのがなければパーカーはここのお店にするという事にしたようだ。
　時間はまだまだあるとは言え、そうのんびりする理由もない。パーカーを戻した莉鳥は他の服を見て回る為に歩き出した。

「これで今日の目的は達成したわね」

　幾つもの紙袋を手に莉鳥は満足気にそう言う。
　確かに今日購入しようと考えていた物は全てお気に入りを見つける事が出来た為、買う事が出来た。だが、それは裏を返せば高校生の身ではけして多くないお小遣いの多くを犠牲にしたという事でもある。
　仕方ないとは言え、暫くの間はお小遣いのやりくりに相当困る事になるだろう。さて、どうしようかと考えているとふと例のクーポンに押された日付スタンプが目に入った。

「そう言えばこれをくじ引き会場に持って行けば、くじ引きが出来るんだっけ？」

　そんな話を莉鳥はどこかで聞いたのを思い出したようだ。
　一体どんな景品があるかまでは知らないのだが、暫くの間金欠になる莉鳥としてはどんな物でもありがたいと言える。早速会場へと足を向け、くじ引きを引くのであった。

「へぇ、こんな景品まであるのね」

　莉鳥が当たった景品は洋菓子店『Raton』のケーキ交換券だ。
　お金の事を考えると今日はこのまま帰ろうかと思っていた莉鳥からすると、中々に良いものと言えるだろう。
　
　ここからは少しだけ距離はあるが、折角だしと行ってみる事にしたようだ。
　そして、洋菓子店『Raton』へと着いた莉鳥はケーキ交換券で栗とチョコのスペシャルショートというケーキに交換して貰い、店内にて紅茶と共に今日の一日の締めとして楽しむのであった。

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