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秋のバレンタインは台風と共に
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慌てて駆け込んだ駅前のアーケードには、たくさんの人が雨宿りをしていた。いや、立ち往生していると言ってもよいかもしれない。
「ただいま、全方面とも運転の見合わせを行っており、復旧は安全を確認してからと――」
駅員が、改札口付近で声を張り上げている。
「大変。電車が止まってるみたいね」
「近くの駅が大雨ナノ?」
まだ運行を取りやめるほどの天気ではなさそうなのにと二人が顔を見合わせると、空が光った。遅れて地響きのような音と共に、滝のような雨が降る。
突然の轟音に、「ひゃっ」と小さく悲鳴をあげたセレッソは、つい強く握り返したことで手を繋いだままだったことに気づく。もう、繋いでいる理由はないかもしれないと思うと、どちらからともなく力を緩めて、手は離れてしまった。
「……ごめんなさいね」
「ワタシがモタモタしてたからナノ! それに、その……」
嫌ではない。むしろ――
「でも、この雨に降られなくて良かったわ」
セレッソがどう言葉にするべきか考えあぐねていると、さらりと恩によって遮られた。
しかし、それは誤解だ。セレッソの誕生日祝いである今日は、主役の彼女を雨で冷やすようなことがあってはならないと、恩が少しだけ急いでいただけだ。セレッソからの返事を心待ちにしている彼が、彼女からの返答がもらえる機会を奪うわけがない。
けれども、普段ポジティブなセレッソでも、恩の特別が変わってしまったせいだとしたらと考えると、余計な不安がつきまとう。もうこれ以上、自分らしくない考えは止めてしまおうと、いつもどおりを装うように笑った。
「恩センパイのおかげナノ! 走らなければ、びしょぬれだったワ」
「それなら良かったわ。でも、ここにいても、風で雨が吹き込んでくるみたいね……。暫くやまなさそうだし、どこで雨宿りしましょうか」
「ならワタシ、電車の中がイイと思うノ!」
「そうね、じきに復旧するでしょうし……電車で待ってみましょうか」
改札をくぐり、空いてる車両はないかと歩いてみると、意外にもどの車両も空いていた。
どうやら近隣で、線路が冠水して走れない区間があるようで、その復旧見込みがたたないと、走れる区間を知らせることもできないらしい。
今は、振替輸送が決まったバスがすし詰め状態で運行しているようだが、雨足が強まった分、いつまで運行しているかわからない。
「恩センパイ、見てみて! まるで滝の裏側にいるみたいヨ!」
他の誰も乗っていない車両を見つけ、大はしゃぎで乗り込んだセレッソは、子供のように扉部分の窓に張り付いた。
雨の侵入を防ぐためか、空調の都合か、乗降口側の扉は前と後ろの合計二箇所だけしか開いておらず、多少はしゃいでも声が迷惑になるようなことはなさそうだ。
「本当ね。見知った建物が全く違うように見えて、これも素敵だけど……」
恩は自分が羽織っていたカーディガンを脱ぐと、軽く雨粒を払ってセレッソの肩にかけた。
「セレッソちゃん、少し冷えてるんじゃない?」
まだ残暑が残るからか、夏らしい装いでいるセレッソは、雨に体温を奪われていそうだ。
ただでさえ人気のない車内は、空調がきき過ぎていて、恩でさえ肌寒く感じる。
「でも、それじゃあ恩センパイが……」
「今日はセレッソちゃんが主役なのよ? 私に格好つけさせてくれないと」
悪戯に微笑む恩に、気を使われていることがわかる。それは、このカーディガンだけだろうか。
今日のお祝いはどうだった? お世辞にまみれた物だなんて思えないけれど、不安なのだ。今も変わらず、自分は彼の特別であるのか――答えを待ってくれているのかが。
「Grazie! 今日の恩センパイは、いつにも増して格好良かったワ! 素敵なセンパイにワタシの誕生日お祝いしてもらえて、とっても嬉しかったノ」
あくまで自然を装って、セレッソは恩の両手をとる。今日の誘いをうけてから、絶対に言おうと思っていたこと。何度も考えて、何度も練習して。それでも上手く説明できる自信がなくて、このドキドキが指から伝わってしまえばいいのにとさえ思う。
「……それからワタシ、ずっと……返事を、しなきゃって……」
「……なあに?」
優しい声音に甘えそうになる。でも、それはダメなんだ。
なんとなくで流してしまっていい思いじゃない。一度の言葉でさえ薄れて消えゆく心配があるのだから、きちんと声を、真っ直ぐ届けたい。
「……すき。恩センパイが、ワタシは……特別で、好き!」
やっぱり、この気持ちを上手く説明することはできないけれど。
伝われ、伝われとセレッソは恩の両手を握りしめ――ようとしたのだが、一足早く恩がその手を自分の背中に回すように引いた。
勢いに負け、セレッソは恩の胸に突っ伏すように倒れかかり、自分から抱きついてしまったような格好に緊張する。コツンと側頭部同士が触れて、恩が熱い息を零すのが耳から伝わってきて、少し前まで肌寒かったことが嘘のようだ。
「特別な先輩、じゃないのよね……?」
「もちろんナノ! 恩センパイは……特別な、男の人ヨ」
そのまま恩は安堵の深い息を吐き、セレッソの肩に顔を埋める。
嬉しいのと安心したのとで、たった一つのことしか頭に浮かばない
「あの……恩センパイ? 今、ワタシの心の中にある特別と同じくらい……恩センパイはまだ、ワタシの事……特別で、いてくれてる?」
強引に引き寄せていたはずのセレッソの腕は、恩の手を離れゆるゆると恩のシャツを掴む。自分の意志で抱きしめたいのだと言わんばかりに、段々と力のこもっていくそれに、恩は口元を綻ばせた。
「あたりまえでしょ。私はいつだって、セレッソちゃんが特別で大切で……愛しい女の子だと思ってるわ」
セレッソに負けじと抱きしめて、ようやく恩は実感する。こうして抱きしめることが許される、親しい間柄になれたこと。頬を染める彼女を、この距離で見られるのは自分だけだという優越感。
まだ、雨は降り続いている。
暫くの間、二人は抱きしめあって過ごした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月10日
参加申し込みの期限
2019年07月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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