想像力の海を泳ぐ｜リアクション

想像力の海を泳ぐ

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　犯人は、ようやく「ねこ」の存在に気づいた。
「……？　なぜ帰ってきた？　まだお前たちの仕事は…」
　と、そのとき「ねこ」が犯人を向かって突撃――自爆した。
「……ぐわっ！？」
　犯人が悲鳴をあげたところで、3人は颯爽と飛び出した。
「……な、なんだ、お前たちは！　どうしてここが……！？」
　驚きを隠せない様子で言う犯人に、
「ここが電脳世界である以上、必ずデータの送受信は発生する」
　Osamuは銃に対犯人用の特別な弾をセットしながら言う。
「そこから逆探知をすれば、自ずと悪意の源の居場所は知れるわ」
　Hazukiが槍の先を向けながら言うと、犯人のアバターは無数の目を剥く。
「……そうか。お前たちも俺ほどではないが、頭は良いようだな。だが、一番頭が良いのは俺だ。だから、最後に勝つのは……」
「ごちゃごちゃうるさい」
「……！？」
　ぴしゃり、と冷たい声でかさねこは言った。
「君が天才だろうと馬鹿だろうとどうでもいい。ただ、君は、自分の勝手な都合で僕から「かやねこ」ちゃんを奪おうとした。その報いは今ここで受けてもらう」
　かさねこが手をあげると、いつのまにか集まっていた大量の「ねこ」たちが一斉に犯人に向かって突撃を開始する。
「ふははは！　馬鹿め！　同じ手が何度も通用するか！」
　犯人の無数の目が光ると、「ねこ」たちに立ちふさがるように光の壁が出現する。
　だが、そこで先程にOsamuがセットした特殊弾倉が役に立つときがきた。
「バリアは俺が砕く。攻撃を続けるんだ！」
　言いながら、Osamuが光の壁に向かってサブマシンガンを撃つ。
　特殊銃弾は着弾と同時に先端が砕けて、貫通しやすくなる特別製で、バリアや壁に対し、有効な攻撃手段となる。
「おのれ！　だが、一枚で駄目なら二枚、三枚と重ねるだけだ！」
　と、そこで犯人は光の壁を何枚も重ねてくる。
　Osamuが全弾を撃ち尽くすと、壁はかろうじて、一枚だけ残った。
「ふははは！　どうだ！　俺の想像力の方がお前たちより凄いんだ！」
「そうね。でも、私たちはあなたと違って、一人ではないわ」
　入れ替わるようにHazukiが一歩前へ出て、トライデントを投じる。
　投げられたトライデントは光の壁にぶつかって、壁ともろとも砕けて消える。
「ば、馬鹿な……！　く……。水族館や、島に向かったウイルスたちはどうし――」
　と、そのとき、そこにいた「ねこ」の一体が持っていた映写機のようなものが、2人の少女達の映像を映しだす。
『悪いが水族館のウイルスは全てクジラの餌になってもらったよ』
「な……！？」
　一人は水族館の館長――Yomiだった。彼女はウイルスをイワシなどの小魚に侵入させ、あとでまとめてクジラに食べさせることで、まとめて駆除することに成功したのだ。
『島を襲った影は私と植物たちが退治しちゃったよ！　かさねこちゃん、この「ねこ」さんも可愛いね！』
　もう1人の少女――カメラにむかって手を振る少女のアバターは、島の創造主であるUmiだった。
　彼女は自らが生み出した植物達を従えて、正々堂々、全てのウイルス達を駆逐してみせたのである。
「ば、馬鹿な……」
「これで終わりだ！　この電脳世界から――いや、この宇宙から消滅しろ！」
　と、そこでかさねこが、とどめの一撃を「ねこ」たちに命じる。
「……ぬ、ぬわーーーー！？」
　次の瞬間、激しい爆音とともに、犯人のアバターは跡形もなく電脳世界から消滅した。

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