想像力の海を泳ぐ｜リアクション

想像力の海を泳ぐ

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　かさねこは、突如目の前に現れ、電脳生命体を侵食し始めたウイルスに対して非常に怒っていた。
（せっかく『かやねこ』ちゃんとゆっくりできると思ったのに……！）
　創造の力で生やした妖精の羽をはためかせ、かさねこは同じく創造の力で生み出した『戦輪』を容赦なく振るう。
　丘の上にはさっきまで普通に生活をしていた鳥や虫達がウイルスに侵され、猛威を振るっていた。
　平和で美しい島の景色が一瞬にして黒い悪意に踏みにじられた。
（……絶対に許さない！）
　かさねこはとても怒っていた。
　そして、その感情は高速回転する戦輪に強いイメージが込め、その想いの強さゆえにウイルスに対して圧倒的なせん滅力を発揮していった。
　その隣では、かやねこも、同じような羽と戦輪を身につけて、ウイルスの除去を支援している。
「……数が多いな。このままではキリがないぞ？」
「うん、わかってる」
　そこで、かさねこは、ウイルスにわざと自らを取り込ませ、ウイルスに擬態する力を持つ「ねこ」を創造した。
「なるほど。あえて一度侵食させ、逆に相手が持っているデータを利用するというわけか」
　感心したように呟くかやねこに、かさねこは頷く。
「かやねこちゃんはここで待っていて。僕は元凶をやっつけて、また必ずここに戻ってくるから」
　そうして、かさねこはかやねこを安全な場所に残し、ウイルスに擬態して元凶のもとに向かう「ねこ」の後を追った。

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　同じ頃、HazukiとOsamuも、それぞれの方法でウイルスの造物主の位置を割り出していた。
　そこは、電脳空間のはずれに浮かぶ、小さな浮遊島だった。
　かさねこが、「ねこ」を追って浮遊島にやってきたとき、すでにOsamuとHazukiも島に到着していた。なお、海中では何も着ていなかったHazukiはここでは水着のような洋服を身につけていた。
　3人は、互いの目的が一致していることを確認し、揃って犯人のもとへ向かった。
　そして、辿り着いた先で、その犯人のアバターを見て――息を飲んだ。
「大きな黒い人間のシルエットに無数の目、か。随分と悪趣味ね」
　Hazukiが率直な呟いた。
「まったくだ」
　Osamuもため息交じりに同意する。
「……たとえ、犯人のアバターが可愛いねこさんでも僕は許さない」
　かさねこは静かに、しかし、怒りに震えているような声で言った。
　そして、その言葉に応じるようにウイルスに擬態した「ねこ」が犯人のアバターに近づいていく――。

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