とある電脳ネットがある。
「ほう。今日も賑わっているね」
旅鴉 月詠が
アバターの姿を借りてアクセスすると、そこには多種多様な、自分以外の誰かが演じるアバターたちが集い、思い思いに過ごしていた。
ある者は顔も知らない誰かのアバターとのおしゃべりに興じ、ある者はグラフィックツールでイラストを描き、またある者はゲームアプリに没頭している。
ネットでは望めば何でもできる。
例えば……月詠は手のひらから絵筆を生み出すと、エメラルドグリーンのハニカム構造を作る空をひとつなぞった。
カッ!
すると、空には巨大な白クジラが生まれ、宙を悠々と泳ぎ始めるのだ。
「こんなものかな」
アバターたちが生み出した新しい建造物、絵画や音楽、飲食物。電脳生命体さえも。触れれば実際に五感を刺激されるのも、このネットの特徴だ。
ここでは、何でもできる。
何でも生み出せるし、何でも味わえるのだ。
月詠はあたりを見回し、うなずいた。
「さて、今日は何をしようか」
ネットは広大で、自由に満ちている。
しかし。
自由であるが故に、良からぬことを考える者もいる。
オブジェクトの陰を潜むように行くのは、不定形の黒い影。
それは誰かの生み出した色鮮やかな芸術作品へ近づくと、触手を伸ばし黒く侵食していく。人型の電子生命は虚ろな目をした黒い人影へ変わり、地や空、川に流れる水さえも黒く染まっていく。
ネットにはウィルスが蔓延るものだ。捨て置けば、影は全てを侵してゆく。
しかし案ずることはない。
ウィルスを作り出した者より君の想像力が勝れば、奴らを駆逐し得るだろう。
それが、ネットのルールなのだ。
ごきげんよう。そしてご無沙汰しています。
MSの水月鏡花です。
久しぶりに寝子島の皆さんに遊んで頂きたくなり、参上いたしました。
今回のガイドには、旅鴉 月詠さんにご登場いただきました。
月詠さん、ガイドへのご参加、どうもありがとうございました。
シナリオにご参加いただける場合は、ガイドに関わらず自由にアクションをかけてくださいませ。
では、今回もどうぞよろしくお願いいたします。
概要
今回描写されるのは、いつもの寝子島での皆さんの姿ではありません。
とある電脳空間(サイバースペース)へ投影される、皆さんの「アバター」です。
アバターは本人そのままの姿形をしていても、全く別の人物や動物、物体など、どんな形や設定でもOKです。
(なお、このシナリオはIFの世界の物語です)
今回皆さんが降り立った電脳ネット上に構築された仮想エリアには、特別なルールがあります。
それは、「想像するだけで何でもできる、何でも生み出せる」ということ。
システムがあなたの脳波や思考を読み取り、それをサイバースペース上に再現するのです。
あなたの頭の中にあるイメージを、そこに存在するものとして具象化することができるのです。
・絵の才能はないけど、この場所でなら思い切り表現できる! 絵を描こう!
・自分だけの島を作って、そこにオリジナルの生き物たちを住まわせよう。ここは俺の島だ!
・鳥の翼を生やして、空を飛び回ろう! みんなが作った物を見物して回るのもいいね!
ただし、想像したものが他者と干渉する場合、より緻密で強力なイメージを持つほうが勝利します。
勝利したら、任意で相手の作り出したものを削除(デリート)することができます。
・想像力バトル! 俺とお前の作ったモンスター、どっちが強いか勝負だ!
・魔法使いになった私と、ドラゴンになったあの子、対決よ!
自由に、何でも好きなように生み出したり、実現して、楽しんでください。
なお、自由に何でもできるということは、悪意を持ってこれを使う者もいるということです。
ネットには今、誰かが作り出し放った「ウィルス」が蔓延り、みんなの想像から生み出されたものを食いつくす、
という事件が起こっています。
ウィルスは食べたものの能力を取り込み、自分のものとしながら肥大していく性質があるようです。
想像力を武器に、ウィルスの蔓延を食い止めたり、
制作者を突き止めてやっつけてしまうのも良いでしょう。
もちろん、ウィルスとは関わらず、平和なエリアでのんびり過ごすこともできます。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
NPCもアバターとして投影されています。
寝子島での現実とは別の、独立したキャラクターとお考えください。
以上になります。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしています!