もはやモデルさんでＳＨＯＷ！｜リアクション

もはやモデルさんでＳＨＯＷ！

「へ、衣装を着て撮影会？」

　白真白は突然の事に思わず動きを止め、驚きを露わにしている。
　だが、いきなり衣装を着て撮影をしなければならないなんて状況にもなればそれも仕方のない事だろう。

「ま、まぁ、それくらいなら……って、なにこれ！？」

　それでもまだそれくらいならば真白からすれば許容範囲ではあった。しかし、それも着る衣装を確認するまでの話だ。
　真白の為にと用意された衣装は――園児服であった。勿論、彼女にちゃんとサイズを合わせたものである。

「私こんな背だしその、おむつもしてるけど紛れもない高校生なんだよ！？」

　確かに真白の背は低い。中学生どころか小学生低学年の平均身長くらいだろう。
　だが、それでも本人の言う通りに高校生である事は事実なのだ。そんな真白がこんな服を着るなど恥ずかしいどころの騒ぎではない。しかし、当然の事ながらその抗議は悪魔に聞き届けられる事はなく、ただステージを鞭で叩くと言う返事が返って来るのみだ。

「え、やらないと帰れない？　う、うぅ……あー、もう、やってやりますよ！」

　それは正しく見本であるかのようなヤケクソ具合だ。どの道行わなければ帰れないというのは事実であり、それしか真白には道がない。
　今年一番の不幸はこの日であったと、もしかしたら未来の真白は振り返る事になるかもしれない。それぐらいにはヤケクソになっていた。

「うう……。着たけどやっぱり恥ずかしい。ていうか、誰よ、こんな服用意したの……」

　幾度も迷いながらもちゃんと着替えた真白であるのだが、その姿はアンバランスと言う他ない。
　確かに真白の背は低いのだが、所謂トランジスタグラマーというべきスタイルをしている。そのグラマーな身体に園児服は似合っているとは言える筈もない。
　しかも、全体的にはサイズは合っているのにバストの部分だけがパツンパツンになっているところがそれをより強調していた。

「何かこれバストの部分だけおかしくない？　おっぱい、ちょっと苦しいんだけど……」

　その豊満な胸が圧迫され苦しそうな真白。だが、悪魔はそれもまたスルーしてポーズを取れと促してくる。

「あー、もう！　ポーズとればいいんでしょ！　ちゃっちゃっと終わらせるわよ！」

　こんな恥ずかしい事はさっさと終わらせたい。真白の心の中はただそれだけで一杯であり、勢い良く悪魔にそんな事を言う。
　だが、そんな勢いも次第に過激化する悪魔の要求に殺がれて行く事になる。

　両腕を後ろで組んで、胸を突きだすかのようなセクシーポーズなんて序の口。
　前屈みになって両腕で豊満な胸を寄せ、胸の谷間を強調するポーズや床にぺタンと座った状態から下着が見えかねない程足を広げたものやうつ伏せから上半身を起こして捻り、右足を畳みながら上半身だけをカメラに向けるポーズなどグラビアアイドルであるかのようなポーズを要求される。
　だが、重ねて言うが真白の格好は水着などではなく園児服である。はっきり言えばこんなポーズを取るならばまだ水着の方が恥ずかしくないのではないだろうか。

「いやー、写真撮らないでー！？」

　ステージの下から聞こえてくるシャッター音。撮影中そんな悲鳴にも似た懇願の台詞が真白から上がっていたが、それも仕方のない事だろう。
　しかし、無情にも撮影は続き、終わった時には真白はその名の通りに白くなっていたとかいないとか。

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